ワールドカップブログ サッカー日本代表を始め、ドイツワールドカップで活躍する各国の選手を紹介。サッカーの観戦コラムや過去のワールドカップに関しての情報も掲載

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7.14ファイナルコ…
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7.14ファイナルコラム  中田英寿

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   今回がワールドカップ特集、最後のコラムとなる。テーマは「中田英寿」。実は、彼が引退を発表したときから、最終コラムの題材は決めていた。私ごとになるが、偶然に出版業界に入り、偶然に情報誌でスポーツの担当ライターをすることになった。そのときから今回のドイツ大会をきっかけに、フリーのスポーツライターとして活動することを心に決めていたし、「いつか中田英寿選手が現役の間にインタビューをし、記事を書きたい」と、ずっと目標にして努力をしてきた。彼とは学年が同じというだけで、なんの面識もない。なぜ「中田英寿」という存在に興味があるのかというと、自分と考え方がよく似ているし、行動のとり方も似た部分が多々あるからだ。時代を生き、同じような考え方と行動をしている。私にとって、彼の発言や行動は少しだけ自分を見ているように感じてしまう。こういえば、彼のファンに批判をかうかもしれない。だが、ファン同様に、私にとっても彼は特別な存在だし、想い入れがある。だから、彼についての著書や雑誌、このドイツ大会での戦いぶりと、私が知る限りの情報をもとに、今回はつづっていきたいと思う。


 中田選手はU-15代表からずっと日の丸を背負い、世界と戦ってきた。またイタリアやイングランドと、海外のクラブを6チームも渡り歩いている。そのなかで、彼は人間のもつ五感のすべてで世界のフットボールを感じてきている。だから、ほかの日本人と違う。単純にいえばそうだろう。だが、そこで終わったら、引退した意味がなくなってしまう。中田英寿というフットボーラーが辿ってきた道のりを考えたうえで、これからの日本代表に何が必要なのか、世界で通用する選手になるためにはどうしたらいいかを考えなければ。彼は世界に通じるフットボーラーだったのだから。その点について、私なりに分析してみた。


 彼の一番優れた点は「考える → 決断する → 実行する → 良し悪しを判断できる → そのうえで状況に応じて行動できる → それを経験として積み重ねられる」ということ。これはフットボールだけでなく、普段の生活でも自然に行っていることなのだと思う。ユース代表で海外遠征に行き、代表でも海外で試合をする。常に、日本と海外の違いを肌で感じてきた。どこへ行っても通用する人間にならなければならない。そう感じながら、彼は成長をつづけてきたのだろう。海外へ出たら、だれも助けてくれない。自分の行動に責任をもたなければならない。だから、世界を意識したときから、日本基準ではなく、世界基準で考えるクセがついた。この積み重ねで、中田選手はだれもが認めるフットボーラーとして成長してきたのではないか。ここに、これからの日本代表の選手に必要なヒントがかくされている。


 中田選手が世界への扉を開いた大会が、1998年にフランスで開催されたワールドカップだ。代表のなかで一番若いが、名波や中山といった年上の選手たちに大声で指示を出し、ピッチの中央でプレーする姿は戦国時代の武将だった。まさに、自由に自分が考えるフットボールを体現していた。ドイツ大会前のインタビューで、彼はフランス大会のことをこう語っていた。「あのときは一番年下だったし、ある意味自由だったのかも。いいたいことをいって、わがままもいえた。あの時代の選手たちは練習中にお互いの意見をぶつけあっても、あとになればすっきりしてたし」。プレーの面でもそうだが、精神的にも一番自由にやれた大会だったのだろう。だからこそ、実力を発揮し、世界に自分の存在を示せた。この大会をステップに、イタリアのペルージャへの移籍を果たしたのが、なによりの証だ。


 その後はローマに移籍し、スクデッドに貢献。パルマ時代には国内のカップ戦も制覇している。そして、着実にステップアップをとげてきて迎えた、2002年の日韓共催のワールドカップ。フランス大会を経験しているので、「自分がどれだけやれるのか」と楽しみだったに違いない。それに小野や稲本など、テクニックや技術では世界に引けをとらない仲間もいた。だから、実力を出せたら上にいけるという自信も少しあったはずだ。だが、ホスト国として最低でも“決勝トーナメント進出“という大きなノルマがあった。年齢も中堅どころになり、フランス大会とは少しずつ立場が違ってきていた実情がある。おまけに、海外で活躍していたのもあり、チームを牽引する立場に変わっていたのだ。ホスト国としての重圧を背負い、しかも大黒柱として先頭に立って戦わなければならない。彼の肩にかかる重圧は、想像できないほどのものだったろう。普通、中堅どころの選手であれば、プレーの面でも精神的にも一番自由にやれる。が、彼はそうではなかった。世界への扉を開いた先駆者として、日本では唯一無二の存在。だれしもが彼を特別扱いし、そういう目で見る。だから、この大会はただ勝つためだけにプレーしていたのかもしれない。もちろん、プロの選手だから勝つためにプレーする。しかし、自分のプレーを表現したうえで勝つ。これこそが、プロ。「もっと自由にプレーしたい」。そんな想いを心にもちながら、ずっと葛藤を続けていた大会だったのだろう。敗退したトルコ戦後の表情が物語っている。もちろん、内容が悪かったのもある。でも、「もっと上を目指せた」という気持ちがにじみ出ていた。裏を返せば、「もっと自分を出していれば違う結果になっていたかも…」という感情があったからかもしれない。あと味の悪い大会となった。だからこそ、ドイツでのワールドカップのモチベーションにつながった。


 これ以降が、彼にとっては試練のときだった。イタリアのフィオレンティーナやイングランドのボルトンといったクラブでは出場機会に恵まれず、おまけにケガに悩まされる日々を過ごす。だからこそ、「もう一度ワールドカップに出たい」という気持ちが強くなったのかしれない。そして「ドイツ大会を最後に…」という気持ちをもったのかもしれない。だから、よけいに悔いは残したくないし、納得した形で現役を終えたい。それが、予選中の彼の発言に表れている。


 一次予選のときには「このチームには何かが足りない。その何かをチーム全員が考えないと、とりかえしのつかないことになる」。最終予選のときには「戦う姿勢の問題。チーム戦術がどうこう言う前に、まず1対1。1対1で負けなければ、試合に負けることはないのだから」。そして、予選を突破したときの記者経験の場でも「このチームは、まだワールドカップで勝ち抜ける力はないと思う。これから、もっとレベルアップが必要。チームに戻って、個人の技術をあげることからはじめたい」。彼の意気込みは、ほかの選手を圧倒していた。というか、比較にさえならなかった。


 フランス大会、日韓大会と経験し、そして8年近くも海外で戦っている。だからこそ、今回のメンバーの実力を認めていたし、チームの可能性をだれよりも感じていた。だから、ドイツ大会で「勝つ」ために、仲間たちの力をもっと発揮させるために、こういう発言をしてきたのだと思う。もちろん、自分が納得した形で現役を終えるためにも。すべては「勝利」のためだ。ドイツ大会へ向け、ジーコに本来のトップ下からボランチにコンバートされたときもそう。ポジションを下げることで、チームがうまく機能するならと素直に従った。そして、これまでのようにガンガンと自分の意見をいうのではなく、相手の意見にも合わせるようにもした。精神的にチームを支える方に自らまわった。これも仲間の実力を認めていた裏返しではないか。大会前に、カズのところへ話を聞きに行っている。彼は「オーストラリア戦の情報収集に行った」と語っていた。しかし、ベテランとして、中心として、エースとして、チームを支えるためにはどうしたらいいのかを感じるために、カズのところへ足を運んだのかもしれない。私にはそう思える。


 フットボールは一人ではできない競技だ。まわり協力しながら戦っていかなければならない。彼はまわりの実力を認めているけど、まわりは実力を発揮できていない。それを発揮する術を知らない。だから、自己改革を促すような発言につながり、自分は聞く側に立つ。そんな行動につながった。そして、それが少しずつ実を結ぶようになる。まわりの選手たちが自分の意見をぶつけあい、自己改革しはじめたのだ。それまで絶対的な存在として自分を見てきた選手たちも、一人の選手として見るようになり、意見を伝えてくる。マスコミで取り出された、福西との口論もそれの表れ。自分たちのスタイルは自分たちでつくりあげる。中田選手とほかの選手のフットボールスタイルがシンクロした瞬間だったのではないかと、感じた。


 そして5月30日のドイツ戦で、完全ではないが、実践できた。自分たちが構築してきたスタイルがより明確になったし、手応えをつかむことができた。なによりも自分たちの行動が間違いではなかったと、確認することができた。そんな内容だった。それを象徴するようなことを彼はいっている。「今までで一番いい試合だったと思う。後半のセットプレーでの失点は改善できるものだし、これからもっとレベルアップできるという自信につながる試合だった」と。この試合で、選手たちも自信をもったに違いない。ドイツ大会のホスト国、しかも強豪国を相手に内容で圧倒し、後半の中盤まで2-0と勝っていたのだから。セットプレーで2失点して引き分けたものの、失点も修正できるもの。引き分け以上に、自信を手に入れた。一つの形につながった試合だった。


 調子をあげながらワールドカップへ突入した。しかし、結果と内容はみなさんがご存知のとおり。結果が出ないと自信がなくなり、うちにこもってしまう。特に、日本人選手たちはそうなのかもしれない。今回のドイツ大会でも、そういう雰囲気を出していた。オーストラリア戦後、はじめてスタメンの選手たちが練習を見に行ったときにそう感じた。中田選手のまわりにはだれ一人近づこうとはしなかった。もちろん、彼もそんな雰囲気をつくっていたが。彼が会話したのはジーコと通訳の鈴木氏だけ。あとは、一人でボールをけって、練習中も話すことなく黙々とこなしていた。私の目には、まわりの選手たちも仲の知れた者とだけ会話をし、気を紛らしていたように見えた。本当はこういうときだからこそ、みんなが意見を出し合って乗り切っていかなければならないと思うのだが。日本代表の選手たちに、そんな考えや心のよゆうはなかった。たぶん、中田一人の力ではどうしようもなかったのだ。だから、そんな行動になったのだと思う。しかし、こういう状況で試合に勝てるほど、ワールドカップは甘くない。どんどん流れが悪い状況に傾き、結果、消化不良のようなゲームを続けてしまった。ブラジルは抜きにしても、オーストラリアとクロアチアは確実に勝てる相手だった。最後までピッチで戦っていたのは、中田選手だけ。あとは暑さで体力がなくなれば走らない。ボールを受けたがらない。競りたがらない。なんのためにドイツまでやってきて戦っているのだろうと、感じてしまうほど。極論だが、選手たちは試合を捨てていた。


 そしてブラジル戦後、中田選手は泣いていた。ピッチの中央で大の字になって。単純に悔しくて泣いたのだろう。自分自身に…。彼が思ったことは、すべて自分が主語だったはず。「自分がまわりに伝えられることはなかったのか、自分がみんなにできたことはなかったのか」…。今大会を最後に現役を引退することを、心に秘めて全力で戦ってきた。だから、動けなかった。いろんな想いが頭をめぐっていたに違いない。15分はピッチで大の字になっていただろう。その後、ゆっくりと起き上がり、サポーターのところへあいさつに向かった。そのとき、彼からプロフットボーラーとしての生気はすでに感じられなかった。もっといえば、今までのようにプロフットボーラーという硬い鎧を身につけた中田選手ではなく、ごく普通の、一般人としてのオーラにもどっていた。そう、私は感じた。あのピッチでたおれていた間に、心と頭の整理をしていたに違いない。立ち上がったときには、もぬけの殻の状態。だから、次の日にはすっきりしていたはずだ。例えば、別れた女性が泣いたあとに心の整理をして、次に日には晴れた日のようにカラッとしているように。だから、マスコミに「あれは泣いていたのですか?」と聞かれて、「オレ、泣いてましたっけ」という軽いコメントをしたに違いない。彼はすでに引退の二文字をしっかりと心に受け止め、次を考えていたと思う。


 7月3日、「中田引退」の報道がマスコミから流れる。たぶん、この日の発表になったのは諸事情によるもの。彼の引退発表の文面にもあったが、一人では動けない部分が多い。所属事務所、クラブとの話し合い、スポンサー関係など。引退発表の内容は彼の素直な思いだった。だから、私には伝わった。意味がわからないという人がいたかもしれないが、あの言葉以外に表現できるものはなかったように思う。フットボールが好き。楽しみたい。心からあふれでた素直な言葉だ。


 結局、私の目標は叶うことなく終わりを告げた。しかし、彼が引退を覚悟して臨んだ大会でフリーの活動をはじめ、偶然だが、彼の現役最後の試合をスタジアムで、間近で見られたことを運命に感じる。引退文のなかで、「…フットボールを愛してくれているサポーターがいるから、日本のフットボール界は大丈夫…」という一文があったが、彼のバトンを受け取った気がした。そして、鹿児島実業の松澤監督が語っていたことを思い出した。「高校でプレーしている人の2%しかプロにはなれない。しかし、残りの98%の人がフットボールを支えている。私はその98%の人を育てるためにフットボールを指導している」と。彼もそんな想いで現役にピリオドを打ち、あとの人に託したはずだ。


中田英寿LAST

 中田選手は日本フットボール界の礎を築いてきた。海外への扉を開き、日本代表が世界に通じることを自らがチームを牽引して示した。この功績はとてつもなく大きい。一生、色あせることはない。彼も間違いなく、フットボール史に名前を残すプレーヤーだ。アジアというフットボール発展途上の土地、しかも島国・日本という強豪国の人間がだれも知らない国。その国から世界へ羽ばたき、日本という国のフットボールを世界に広めた。私は「いつかフットボールを通じて彼といっしょに仕事ができる」と信じている。彼ほどフットボールを愛する者はいないからだ。そして、彼からのバトンをしっかり握りしめてフットボールの記事を書き続けたいと思う。これからもフットボールがこのドイツのように、欧州のように、南米を含めて文化として根づいている国のようになれることを願って。そうなれろうように、フットボールの文をつづりながら、最終コラムにしたい。




最後に… 中田英寿選手、ありがとう。

コラム | 投稿者 木之下 潤 23:16 | コメント(14)| トラックバック(12)

7.13コラム  欧州の人々にとってのフットボールとは…

■野球で例えると…


 今回、ドイツでワールドカップを取材して、あらためて欧州の人々にとって「フットボール」が生活になくてはならないものだということを知った。簡単に例えると、日本で野球が根づくのに、欧州では野球が根づかない。この違いから説明がつくので、少し述べたいと思う。


熱狂

 戦後の日本は高度経済成長とともに生活が豊かなになり、現在ではほとんどの家庭の子どもが遊びたいものはなんでも手に入れられるようになった。それが野球道具であり、ゲーム機器であり、パソコンであり…すべて高いお金を支払って購入するものだ。しかし、欧州の人々は貧困の差が日本よりも激しい。欧州で生活したことのない人には想像つかないだろう。例えば、ベルリンでは街の近くになればなるほど、経済的に豊かな人が集まっている。しかし街から離れるほど、経済的に苦しい人が多く生活している。もちろん、単純にはいえない部分もあるが…。


 そういう人々にとって、野球道具は非常に高い。よく考えてみてほしい。ユニホーム代で15,000円、スパイク代で10,000円、ほかにグローブやソックス代なのを加味していれば、30,000円以上はかかってしまう。日本人にも高いと感じてしまうほどだ。欧州の家庭では、たぶんこんな高価なものを買ってあげられない。だから、野球が根づきにくい実情がある。


 理由はほかにもある。野球をするためには、今ある芝のグラウンドを内野の部分だけ土に変えなければならない。整備し直すのにもお金が必要だ。こんな手間を国や市が負担していたら大変なことになる。だから、難しい。フットボールはボールが一個あれば、みんなで楽しむことができる。経済的に豊かであろうが、なかろうが、関係ない。人種も言葉も必要ない。たった一つのボールをゴールに入れるために、みんなが自らの想像力を働かせて競い合うだけ。道具もユニホームも必要ない。ボールさえあれば、何人でも遊びことができる。だから、欧州ではフットボールが盛んに行われている。


休日

 こちらの人々は遊ぶことにお金をかけない。日本人が遊ぶといえば、遊園地に行ったり、温泉に行ったり、ショッピンに出かけたりとお金を使うことばかり。しかし、こちらの休日の過ごし方は違う。家族やカップルで公園に休みに行ったり、自転車でツーリングしたり、川に行ってバーベキューしたりと、自然のなかでお金を使うことなく、遊んでいる。もちろん、一概にはいえない部分があるが、それでもほとんどの人がそうだろう。だからなのか、創造性が豊かだ。日本人のように、決め付けはない。「こうだから、こう!」というような。だから野球のような「投げて打つ」という単純なスポーツは好まれない気がする。フットボールは90分間、休むことなく考え、想像力を最大限に発揮したうえで自分を表現できる。野球にはないもの。それがフットボールにはある。自由がある。私自身も小さいころからフットボールをしているので、この点に関してはよくわかる。野球もやった経験があるが、「ポジションが決められ、攻守が分けられ、自分を表現する場が少ない。おまけに考えることが少ない」、こういう理由で長くは続かなかった。広いグラウンドをポジション関係なく、自由に走りまわり、自分の考えをプレーで表現する。常に、たった一つのボールを奪い合い、攻守が激しく入れかわり、ゴールを目指す。これを90分間もやれることの喜びは、口ではいい表わすことができない。自分らしく存在感を示すことができる。野球では絶対に味わえない。バッターボックスに立ったときだけ、ボールが飛んできたときだけでしか、自分を表現する場がない野球には絶対にないことだ。もちろん野球にも、野球でしか味わえない醍醐味はたくさんあるが、少なくとも前述で述べたようなことは体感することがないと思う。





■フットボールは空気みたなもの


 欧州は、「フットボール」が生活の一部として成り立っている。どんなに小さい村にいっても芝生のグラウンドがあり、子どもたちがフットボールを楽しんでいる。トータル的な設備も、キレイだとか汚いとか関係なく、Jリーグのチームと変わらない。芝生にまく水の設備、シャワー室、ボールなどを管理する倉庫、そしてグラウンドなど。小さい村のチームの施設なのに。どこへ行っても、フットボールのグラウンドがある。先日、ベルリンからプラハへ移動したのだが、国境近くで百人も住民がいないほどの村でもグラウンドがあった。フットボール専用の。想像がつくだろうか。


 こんな環境で育ってきた人々が、フットボールに熱狂しないわけがない。しかも、それがワールドカップ。4年に一度の大会で、優勝を経験したことのある国がまだ7カ国しか存在しない、貴重な大会。自国のスター選手たちが出場し、自分の好きな他国のスター選手が一つのボールを競い合っている。それを目の前で見ることができる。こんなに興奮することはない。


フットボールのある生活

 欧州のサポーターは子どもから老人まで幅広い。それは、フットボールの歴史が長いから。100年以上もある。だから家庭でも、自然とフットボールの話題に集中してしまう。だから、子どももフットボールをする。それは、そうだろう。おじいさんもフットボールをしていたし、おばあさんもおじいさんを応援していた。その子どもの両親もフットボールをする。そうすれば、その子どもがフットボールをしないわけがない。そんな循環を得て、過ごしてきた。フットボールは身近だ。週末になればプロ・アマ問わず、試合が行われ、その試合を観戦する。週末以外でも、週に2・3日は練習があり、フットボールが存在する。子どもも、その親も。だから生活のなかで、フットボールの占める割合は多い。


 欧州の人々にとって「フットボール」はなくてはならないもの。ボールが一つあれば人々が遊べ、会話でき、想像力を働かせることができる。他国の人々ともコミュニケーションをとることができる。自然も感じることができる。いろんなことが、たったボール一つのことに込められていることを、彼らは知っている。欧州の人々にとって「フットボール」とは、空気みたい存在なのかもしれない。「いつか日本もそうなってほしい」と、そう願っている。
コラム | 投稿者 木之下 潤 15:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

7.12コラム  日本代表について

■ドイツ大会での日本…


 今日は「日本代表の今後」というテーマで書きたいと思う。まず、今大会の戦いについて少しふれ、今後どうすべきなのか。そういう順序で追っていく。ドイツ大会ではオーストラリア、クロアチア、ブラジルという3チームと対戦した。最終成績は2敗1分で勝ち点1。得点は2、失点は7だった。結果を見れば、もちろん完敗。そして選手たちの戦いぶりに関しても、体力、そして精神力で3チームに劣っていた。総合的に考えても、この成績については妥当なもの。私はそう感じる。たぶん日本代表の試合を見た人、すべてがそう感じる試合だったに違いない。それが他国の人であっても、そうだろう。


 私はオーストラリア、ブラジルとスタジオで観戦したが、5月30日のドイツ戦のように攻守で攻める気持ちをもち、自らが主導権を握って試合を進める。後半にセットプレーでゴールは決められたものの、流れのなかで2ゴールを奪ってドイツを圧倒する姿。あれこそがジーコジャパンのスタイルだったはず。しかしドイツ大会では、相手のペースに合わせてカウンターをねらうスタイルに変わってしまった。相手に合わせる…その時点で、これまでのいいスタイルを捨ててしまったのと変わらない。ドイツ戦のように生き生きとプレーする選手たちの姿が、完全に息をひそめた。だから、この成績は妥当なものだろう。

 



■選手たちの「戦う気持ち」


 結果的に、ドイツは3位だった。そのチームにあれだけの試合をしたのだから実力がない、というか個人のテクニックや戦術が格段に劣るわけではない。しかし、何かが足りないから負けた。それは単純かもしれないが、「戦う気持ち」、そして「意識の違い」にあると思う。


 「戦う気持ち」というのは、1対1の戦いに凝縮されている。フットボールは1対1の連続で争っているゲームだからだ。玉ぎわの競り合い、ドリブルで攻守の争い、セットプレーでのマッチアップの選手とのポジション争い…あげたらキリがない。しかし、どれも「絶対に負けない」という一人一人の選手の気持ちが重要なもの。アジア最終予選でのイラン戦の前、中田英寿が発言していたものもこれだった。「技術やテクニックや戦術の前に大切なものがある。それは1対1の攻防で絶対に負けないという気持ち。それが大切だ。フットボールは1対1が基本のスポーツだから」。テクニックや戦術を語るうんぬんの前に、「戦う気持ち」があるかどうか。これが重要だということを、あらためて知らされた大会だった。


 技術やテクニックと「戦う気持ち」はいわば、お金みたいなもの。セットだ。どちらが欠けても価値がない。日本代表に選ばれて、ワールドカップに出場しているのだから、技術やテクニックがないわけではない。しかし、なぜ実力が発揮できなかったのか。それは、「戦う気持ち」が足りなかったから。表に出さなかったから。相手に伝わるように、そして味方のやる気へと発奮させるような形で出せなかったから。これに尽きるだろう。


 ワールドカップで好成績を収めた強豪国は、すべて気持ちがあるうえでチームへの戦術へとつながり、結果を残している。それがあるから、負けたあと、試合が終わったあとにヘトヘトに倒れ込む。日本代表で倒れ込んだ選手は何人いただろう。終わったあと、涼しい顔をして、後悔をしている顔をしてサポーターにあいさつし、足早に控え室に戻っていける。「歩いて控え室に帰れる?」。全力を尽くした選手たちがピッチで休むことなく、悔しがることなく。この時点で、負けるべくして負けたように感じる。ワールドカップに出場しているチームなのに、「戦う気持ち」と書くことすら失礼かもしれないが、これが事実だ。





■意識の違いとは?


 次に「意識の違い」だ。これは意味がひろいし、深すぎてすべてを書くことはできない。しかし、私がワールドカップ期間中にドイツで取材し、感じたことを加味したうえで述べたいと思う。


 ドイツというか、欧州は陸続きなのでいろんな人種の人が存在している。陸続きという点では、南米もそうなのかもしれない。普段から、言葉や文化の違いを感じながら生活を送っている。欧州に限っていえば、異なる文化の人々とコミュニケーションを交わさなければ生活できない実情がある。自分の考えを伝え、相手も思ったことを返す。そうすることでお互いにわかり合い、自分がやりたいこと、そして相手のやりたいことを理解する。単純に買いものするのでもそう。だから、自分の主張だけでは生活できないし、相手の主張だけを受け入れ過ぎても生活はできない。この生活のなかで、彼らはその場の状況に合わせて対応する行動力を、自然に身につけている。自分の意見を持ち、決断を下す。そのうえで失敗や成功をくり返し、自ら成長していく。欧州は個人主義の人の集まり。他国や他人とのちょっとした違いを「意識」していなければ、自分が困ってしまう状況に陥る。この「意識をする」という点が日本人とは大きく異なることだと感じる。


 「これとフットボールと何が関係あるの?」と思うかもしれない。スポーツはその国の生活や精神が大きく繁栄される。特に、フットボールはそうだ。ひとつのボールを11対11で奪い合い、ゴールを決めるスポーツ。1対1がベースになっているので、これまでの生活で培われてきた考え方や精神がそのままプレーに表れる。日本に比べたら、個々の引き出しは多いし、対応力も確実にある。日本で生活していれば、言葉は通じるし、同じ人と常に行動をともにする。だから「違いを意識する」ことが少ない。「だったらどうすればいいの?」と思うだろう。すでに、その時点で違うのだ。違いを意識することなんか、普段の生活でどこにでも転がっている。


 例えば、同期で保険会社に営業マンが二人入社したとする。そして、一人は成績が上昇して昇進する。一方は成績もあがらず、昇進すらできない。成績の悪い人はいい人を追い越したい。あなたならどういう行動をとるだろう? 正直、答えは無数に存在する。だから答えなんかない。一番重要なのは、自分自身で考えて、決断し、行動を起こして、失敗したら方向転換をはかる。そして、成功したらよりよくなるためにはどうすべきか、次を考える。そうして、どんどんと自分のなかに取り込んで成長していく。本などに頼ってマニュアルやマネをしても、たぶん成績は上がらない。上がったとしても、そこで成績の伸びは止まってその後の成長はない。自分で考えてないのだから。自分の性格をしっかりと知ったうで、自分にあった形を見つけていく。これにつきると思う。「考える力」なのかもしれない。これが子どもでもいっしょだろう。勉強の得て不得手や音楽の得て不得手…うまくなるにはどうしたらいいのか。親が教えるのではなく、子ども自身が考え、行動をする。そのあとに、どうしようもないときに親が手を差し伸べる。こんなささいなことが、今後の日本代表を強くすると感じる。


 普段から次から次へと変わる状況に、自分がどれだけの考え方をもてるか。一つの目的に対して、自分の考えで行動をして失敗や成功をくりかえす。頭や心を触媒にして、自分流の考え方として変化させ、どんどん経験として積み上げる。そして、どんどん成長していく。こういう点で、日本人と欧州人が違うと感じる。


 「意識の違い」。これを普段から少しだけ意識して生活していれば、きっとフットボールにも生きてくる。こういう意識をもってプレーしていれば、経験をうまく積み重ねることができる。今後の日本代表、まだ候補の選手たちだが、こういう普段の生活からいろんな「意識」をもってもらいたい。そうすれば、2010年の南アフリカ大会では悔いの残らない、いいゲームが期待できると思う。オシム監督がどういう戦術をとるのかという前に、選手の意識や考え方。ここが大切だ。次のワールドカップでは、中田英寿のような選手がどれだけ育っているか。楽しみに待ちたい。
コラム | 投稿者 木之下 潤 21:22 | コメント(2)| トラックバック(2)

7.11コラム  ドイツ大会

■ドイツの人々も普段とおりの生活にもどる


 6月9日に開幕したワールドカップも終わり、先日からドイツの人々も普段通りの生活を送っている。ベルリンの街に出てみたが、大会にやってきて観光を楽しんで自国へ帰る人は、まだワールドカップの余韻にひたっていた。が、それ以外の人は仕事し、友達とのショッピングを楽しんでいる。先日まで、あんなに盛り上がっていたのがウソのように。


交流

 4年に一度に行われるワールドカップという大会は、世界中の人々にとって「お祭り」であり、各国のフットボールを成長させる触媒でもある。ワールドカップに来た人々は、もちろん自国を応援する。しかし、それだけではない。「フットボール」を通じて輪をひろげ、他国のサポーターと交流する。意識してはいないが、自然に他国の歴史や文化を吸収している。生活にもふれる。そこでたくさんのことを得て、吸収する。そして、自国へ帰ったら家族や友人たちに伝える。伝達された情報は、各自のアイデンティティが触媒となり、あらたな形へと変化していく。それが、各地域のフットボールにも反映される。そうして選手たちが各自のスタイルへ取り込む。その選手たちが代表に入り、自らの世代の代表チームへのスタイルに変えていく。ワールドカップというのは、あらたな血を自国へとりいれる場でもある。そうして、どんどんと世界各国でフットボールが発展していく。ワールドカップは、そういう特別な大会である。だからこそ、4年後までにこの循環が起こした、各国のフットボールを見てみたい。私はそう思っている。





■ドイツの活躍が成功の大きな要因!


 今回は、本当に波乱のない大会だった。ドイツやイタリアをはじめ、ブラジルやフランス、アルゼンチンといった強豪国が順当に決勝トーナメントに勝ち進んだことからもわかるだろう。その要因は、ドイツというフットボール先進国で大会が行われたことにある。フットボール発展のため、アメリカや日韓で開催された大会は環境や生活スタイル、食事の面で強豪国といえども何かしらの影響を受けた。そして実力を出し切ることができずに敗退した。しかし、今回はフットボールの環境や雰囲気という面では、自分たちの国とは違うが、なんとなく自然に感じられる国。さらに強豪国の代表クラスの選手たちにとっては、一度はドイツの地をふみ、数日でも生活を送ってフットボールを経験している。だから、実力を出し切ることができたのだ。後進国の選手たちは、大会前に親善試合ではドイツで生活したことはあっても、ほとんどはじめてといったところ。この点は大きなものだ。


ドイツ国民

 そして大会成功の最大の要因は、ドイツ代表がしっかりと結果を残したこと。3位という結果を出したことだ。これは順位という面だけではない。ワールドカップはグループリーグの予選から決勝戦まで勝ち進むと、最大で7試合を戦うことになる。ドイツは準決勝戦で負けはしたが、3位決定戦を含めるとMAXの7試合を戦っている。しかも、最後は勝利して大会を締めくくった。これは大きなことだ。ホスト国の国民が大会の日程終了ギリギリまで、興味をもって応援する。演出家の人間からいわせたら、これほど絵に描いたようなシナリオはない。ほかにもある。数日前のコラムでも書いたが、大会前にドイツ国民は代表に対して大きな期待をもっていなかった。しかし、フタを開けてみたら試合ごとに成長し、さらに試合の内容もいい。このギャップに国民が触発され、よけいに代表を応援した。大会中は勝った国だけが盛り上がることはなかった。ホスト国も含め、全体が盛り上がる。この理想的な形が今大会にはあった。だから、ドイツ代表の躍進は成功の大きな要因だ。





■攻めた国が最後まで勝ち残った


W杯舞台裏

 フットボールのことでいえば、「攻める気持ち」をもち続けた国が勝利を手にした。だから、エキサイティングなゲームが多く、大会全体が盛り上がった。日本代表が戦った、グループFで例えたらわかってもらえるだろう。決勝トーナメントに勝ち上がったブラジルとオーストラリア、敗退した日本とクロアチア。ブラジルもオーストラリアも自分たちのスタイルを貫き、決して守備的な試合をしていない。おまけに、自ら主導権を握ろうと積極的にプレーしていた。しかし、日本もクロアチアも相手の出方を待ち、それに合わせて戦おうとした。この2カ国は受身で、主導権も結局相手がもっていた。勝ちあがった2カ国は攻める気持ちを忘れることなく、自らが主導権を握ってゲームを進めた。結果、勝ち上がった。


南米勢

 ベスト8で南米勢が負けた敗因も「攻める気持ち」が左右している。ブラジルもアルゼンチンも攻撃を得意とするチームであるはずなのに、守備的な変更やプランの変更をしてきた。相手に合わせ、自分たちのペースを乱した。結果的に受身になっていた。攻める気持ちが足りなかった。ブラジルはスタートからFWを一枚減らして自らのスタイルを急に変更し、アルゼンチンは後半開始早々に1点を守りに入ろうと、エースを外して守備を得意とする選手を投入し、逃げ切りをはかろうとした。結果的に、ここで敗退した。


 フットボールは点を取り合うスポーツ。攻撃しなければ点は入らないし、勝つことはできない。攻撃は最大の防御。それが、今大会ではしっかりと体現されていた。自らが主導権を握り、ゲームを進める。そして、ゴールを奪っても攻める気持ちだけは忘れない。この基本をしっかり実行した国、それがイタリアやフランスであり、ドイツだったということ。フットボールの本質を、あらためて知らされる大会だった。日本も4年後には、これを体現できる国になってほしい。オシムジャパン、一体どう進んでいくのか。今後、期待して見ていきたい。またワールドカップの舞台にもどってきてほしい。国民全員がそう思っているだろう。
コラム | 投稿者 木之下 潤 20:52 | コメント(1)| トラックバック(0)

7.10コラム  アズーリ、4度目の優勝

■ドイツ代表の報告会で決勝戦の朝がはじまる


 朝からベルリンの街はにぎわっていた。特に、ドイツ人たちが。その理由はベルリンのファンフェスタがあるメイン広場で、ドイツ代表がワールドカップの報告会を開くからだ。今大会がはじまる前の国民の代表への評価は低く、「ベスト8に残ったら、ホスト国としての責任は果たしたことになるだろう」というのが正直な気持ちだった。しかし、フタを開けてみたらドイツ代表の最終成績は3位。立派な順位だ。期待していなかった分、国民の代表への印象と評価は急上昇。だから、よけいに報告会には、たくさんのドイツ国民が集まったというわけだ。


 報告会では選手と監督が勢ぞろいし、あらためて結果を報告。そのあとは大会のテーマソングを歌っているバンドの演奏など、いろんな催しものがあった。結果は3位だったが、スタッフを含め、監督と選手たちも自分たちの力を出し切っての成績。プロのフットボーラーとして、すっきりした顔で国民に結果を伝えて、バンド演奏のときには全員で歌っていた。もちろん、監督のクリンスマンも。


 むしろ、彼が一番はしゃいでいた。大会中も見せていたが、試合中はベンチに座ることが他の監督よりも少ない。常に、立ち上がって選手に大声で指示を出し、チャンスやピンチを乗り切ったあとは必ずオーバーリアクションで自分を表現。熱血監督ぶりを披露していた。日本の監督でいえば、松木安太郎さん。歌っているときも選手よりも、ノリノリで歌っている。その姿が微笑ましく、選手たちがクリンスマンを信頼しているのが、なんとなくわかる気がした。彼は、まだ40歳前半。ドイツフットボール協会の人間で、一番選手に年齢が近いので気持ちがわかる。しかも、彼はワールドカップで優勝しており、選手時代に豊富な経験をつんでいる。だから、クリンスマンは選手の気持ちを、とても大切にしていたのだろう。選手といっしょに勝利を喜び、敗戦を悔やむ。そして、バンドとのセッションのときも。なんだか決勝戦の前に、ホッと一息つける瞬間だった。





■スタジアムは各国のサポーターでいっぱい!


スタジアム

 試合前のスタジアムの雰囲気を味わいたくて、足を運ぶことにした。スタジアムへ向かう電車はサポーターでいっぱい。駅に着くと、各国のサポーターたちであふれかえっていた。とにかく、今日は青い。アズーリ・ブルーとフランスのレ・ブルー…両代表の象徴するカラーが青だからだ。空の色にも負けないぐらいの、ブルーがあたりをいっぱいにしていた。そして、今日はワールドカップの決勝戦であり、最終日。各国のサポーターが特別な日を楽しもうと、たくさん訪れている。ブラジル、イングランド、メキシコ、スイス、日本…何カ国の人々がこの場にいるのか、検討もつかない。4年に一度の祭典を惜しむかのように、ワールドカップの、しかも決勝戦という特別な日の雰囲気を体いっぱいで感じていた。


 ちなみに、ワールドカップの決勝戦のチケット。ダフ屋で買うと、いくらかリサーチしてみた。通常、一番安い席でも220ユーロぐらいから。日本円で2万8千円ほど。試合開始、5時間前で幅はあったが、1200から1600ユーロ。これは高価な値段だ。興味がある方は、計算してみてください。





■アンリのアクシデントで試合がスタート


ラストフランスサポーター

 スタジアムの前では、ドイツで知り合った数人の友人に出会った。日本では会えるが、たぶんドイツで会えるのは最後。いろんな思い出を少しだけ話して、スタジアムを後にした。ファンフェスタでは、友人を介してあらたに知り合った人といっしょに観戦することになった。彼もチケットを持っていない。ワールドカップも最後の日だし、人数は多い方が楽しい。「今日のファンフェスタは人が多くて、入場規制をやっているかも?」という話を聞いたので、彼と足早にファンフェスタへ向かった。現地には試合開始1時間前に入ることができた。そのあとは友人と話しながら、メインビジョン側に進んだ。人が多い方が、決勝戦の雰囲気を味わえる。そして、飲みものや食べものを買っていると、すぐに試合時間となった。いよいよ、決勝戦がはじまる。わくわくしながら、試合開始のホイッスルを待った。


 そして、ホイッスルが鳴った。場内が歓声に沸く。しかし、その直後にすぐに静まり返った。なんと、フランスのFWアンリがDFと接触し、脳しんとうを起こしてしまったのだ。心配そうに見つめるドメネク監督とサポーターたち。試合は波乱の予感をにおわせた。その直後の7分、フランスにPKが与えられたのだ。フランスの左ウイングのマルダがペナルティエリアへドリブルで侵入し、イタリアのDFマテラッツィと接触して倒れたのだ。主審がペナルティスポットを指差す。やはり、予感は的中した。試合の動きが速い。今日は簡単に試合が決まりそうにない、そんな直感が働いた。


 PKをけるのは、もちろんジダン。対するのは、アズーリの守護神ブッフォン。2人の間では、微妙な空気が流れていた。そして、審判がスタートの笛を吹く。ゆっくりと助走しながらけったジダンのボールはブッフォンが右に飛んだあと、そのブッフォンをあざ笑うかのようにゆるやかにバーの上に当たってゴールラインを越えた。フランス先制。その瞬間、一気に喜びを爆発させる選手とサポーター。ジダンの引退へのサクセスストーリーがはじまるかに思えた。


 しかし、すぐに試合はふり出しにもどる。イタリアは前半19分にえたCKをゴールにつなげたのだ。MFトッティのけったボールはきれいな放物線を描き、DFマテラッツィの頭へどんぴしゃり。打点の高い彼のヘディングシュートは、ゴールのなかへと吸い込まれた。このゴールで一番喜んだのは、DFのマテラッツィ本人。ゴールを決めたのもあるが、PKを与えてゴールを決められ、そのカリを自分で返したからだ。さすが、プロフェッショナル。自分のミスは自分でとりかえす。プロとしての基本だ。


 その後は一進一退の攻防が続いた。両チームともセンターサークル付近からプレスをかけ、ボールを奪ったらしっかりとシュートまで持ち込む。攻守ともに、自分たちのペースで試合を展開していた。とにかく、中盤でのボールの奪い合いがはげしい。どちらも固い守備をベースに試合を勝ちあがってきたチーム。なかなか崩れない。前半は1-1のまま終了した。緊張感のある、決勝戦にふさわしいゲーム。後半が楽しみだ。






■ジダンの退場! これがフランスの敗戦を示していた


 後半20分ぐらいまで、イタリアは守備位置を自陣にまで下げて、フランスの攻撃をコントロールする作戦に変更していた。一方のフランスは、ボランチのマケレレとヴィエラがしっかりと攻撃の芽をつみ、ジダンを支えていた。まさに、縁の下の力持ち。彼らがフランス代表の生命線だ。


 しかし、20分過ぎあたりから両チームに疲れの色が出始める。その証拠に、ところどころにスペースが空きはじめたのだ。両チームともピッチレベルで35度を超えるなか、1ヶ月で合計7試合を戦っている。疲れが出て当然だ。ここからは精神力の勝負となった。動きは鈍いが、ワンプレーワンプレーに自分の持つ技術のすべてを注ぎ込む。それは優勝への執念。選手たちは懸命にプレーをしていた。そして、後半が終了。決着は延長戦へと持ち込まれた。


 延長後半5分に、またしても波乱が。しかも、試合を決定づけるような。なんと、ジダンが退場してしまったのだ。信じられないというリアクションをとるドメネク監督、味方選手たち、サポーター。この前のプレーでDFマテラッツィとポジション争いでもめていた。そのあとに口でやりあい、結果的にジダンが彼に頭突きをくらわして退場になった。この件については、いろんな報道がされていると思う。ジダンのとった行動は決して許される行為ではないし、判定も確かにそうだろう。しかし、彼は今大会で引退を表明している選手。少しぐらいのことでは、こんな行動はとらないはず。事実は本人たちにしかわからないが、よっぽどひどい内容のことをマテラッツィが発言したのだろう。ジダンの現役最後の姿は最後まで見られなくなった。


 そのあとは、イタリアペース。数的優位に立っているうえに、精神的にもうえに立っている。フランスはジダンがいなくなり、攻撃のタクトを振るう人間がいない。そのために、ボールがまわらずに、サイドを上下動するのみ。これでは、イタリア伝統のカテナチオは崩すことはできない。残り10分、なんとか体を張って守り、PK戦にまで持ち込んだ。


フランス敗退

 だが、精神的な疲労という点では、フランスの方が多いだろう。精神的支柱の退場。この時点で、フランスは勝利の女神から目を離されたのかもしれない。最後は力尽きた。PK戦でイタリアの勝利。この瞬間に、4度目のワールドカップの優勝を決めた。いい意味でも悪い意味でも、イタリアのDFマテラッツィが主役。そして、彼がジダンにした発言は一生後悔するものになるかもしれない。それはあとになってわかる。ジダンの退場がフランスの敗戦を決定づける要因となったのは間違いない。そして、ジダンを攻めるフランス国民は一人もいないだろう。彼がフランスにもたらしたものは、とてつもなく大きいものだから。とにかく、今大会はイタリアの優勝で幕を下ろした。



イタリア勝利!

最終順位は以下

優勝 イタリア

準優勝 フランス

3位 ドイツ

4位 ポルトガル














コラム | 投稿者 木之下 潤 22:33 | コメント(3)| トラックバック(6)

7.8コラム 勝利を手にできるのはドイツ? ポルトガル?

■3位決定戦のもつ意味!


 ワールドカップも今日の3位決定戦を含め、残り2試合となった。話は急にそれてしまうが、3位決定戦といえばある人の発言を思い出した。柔道の柔ちゃんこと、谷亮子選手が昔テレビのインタビューで答えていた。オリンピックのメダルの色は金、銀、銅の3種類。でも、一つだけ最後に悔しい想いをしてもらうメダルがある。それは銀だ。理由は、試合に負けてもらうメダルだから。銅メダルも結局勝って試合を締めくくる。だから、銀というメダルは印象として決してよくない。確かに、最後に悔しい想いをしたままで終わるのは銀だけ。納得である。


 ならば、3位決定戦も、最後に勝利で終われるかどうかという点では同じではないか。最後に勝って大会を締めくくれるか、負けて大会を悪い印象のまま終わるか。今日対戦するドイツとポルトガルにとっては、特に選手たちにとっては重要な試合である。ワールドカップという4年に一度の大会は、選手たちにとって夢の舞台である。何度も経験できる大会でもない。だからこそ、自分のキャリアのなかで、この3位決定戦という意味はとても大きい。勝つか、負けるか。選手たちは最後の力を振りしぼって、勝利を目指すはずだ。





■最後に喜びを爆発できるのはどっちの国?


C・ロナウド

 数日前の新聞にC・ロナウドの記事が載っていた。もちろんドイツ語なので、意味はわからない。しかし、その意味がわかる出来事があった。イギリスの大学に留学している友人と話をしていたら、C・ロナウドの話題になった。C・ロナウドはイングランドのマンチェスターUに所属している。今イングランドでは、彼がイングランドを敗戦へと追いやった張本人だという報道が流れているそうだ。理由は、彼がFWルーニーの退場したあと、ポルトガルベンチに向かってウインクをしていたからだ。私が一週間前の記事で、C・ロナウドのルーニーと審判とのかけひきの件で書いたものが、そのままイングランド中で話題となっている。やはり、彼はねらっていたのだ。


3位決定戦・ポルトガル 

 でも、私にはフットボールをよく知っているとしか感じない。これは勝つか、負けるかの勝負であって、平等な結果など、絶対にありえないからだ。彼のような老獪な選手が多いポルトガル。一方、ドイツはオーソドックスなスタイルをつらぬく。ドイツ人は欧州のなかでまじめな人種。「頭が固いよ。ドイツ人は」と言われているそうだ。この一戦は、ある意味でおもしろい。ポルトガルがドイツの守備陣を出し抜いてゴールを奪い、勝利を手にできるか。ドイツはポルトガル選手の老獪さに左右されずに、真っ向から攻めてゴールを入れ勝利を飾れるか。試合展開の見方にもよるが、こんな視点もおもしろいだろう。簡単にいえば、だますか、だまされるか。曲がったことが大嫌いなドイツ人は、ポルトガルに負けるのは屈辱のはず。しかも、前述で話をしたとおり、負けて終わるのはホスト国としてのプライドに傷がつく。とにかく、いろんな意味でおもしろい対戦。最後の最後に笑うのはドイツか? それともポルトガルか? 今日の夜に結果がわかる。一体どちらの国が「勝利」という美酒に酔いしれるのか。
コラム | 投稿者 木之下 潤 21:41 | コメント(1)| トラックバック(0)

7.7コラム  本日はワールドカップのオフ日

■屋上のテラスにて、この原稿を…


 今日はワールドカップのオフ日。つまり、試合がない日だ。オフ日は本当にのんびりとしたもの。先日もオフ日だったため、夜遅くまで騒いでいた人が多く、いつもよりもみんなの活動時間が遅い。そういえば、ドイツ人は日本人よりも活動時間が早い。朝8時には会社に出勤し、夕方4時ぐらいには帰宅する。だから、夕方5時にはみんなビールを飲みながら、友人や家族との会話を楽しんでいる。フライブルグに住む友人夫婦に聞いたのだが、労働時間も1時間休憩を含めて8時間ときっちりしているそうだ。それを越えて働くことは、ほとんどないという。デュッセルドルフは日本企業が集まり、日本人が6000人生活している。もちろん、ドイツ企業ともたくさん取引している。しかし、ドイツ人は時間外、また土曜日と日曜日は絶対に仕事をしないため、日本企業の人々は困っているそうだ。それでも、ここは欧州で、おまけにドイツ。「郷に入っては郷に従え」。どっちが困っているのかは考えものだ。


 たぶん日本人は仕事に生活に、なにかに追われすぎている気がする。そういう私も一ヶ月前まで日本にいて、企業で働いていた人間。日本で生活していたときは、休みもなく働いていた。特に、出版業界という特殊な業界で働いていたため、はじめてこちらにきたときは、生活がすごくゆるやかに感じた。今はドイツでの生活にも慣れ、こちらのペースに馴染んでいる。だからこそ思うのだが、なにかに追われている日本人は心のゆとりがない。なにかにとりつかれたように、自分のすることを探し、せかせかとしている。


 それが、フットボールのプレーにも表れているのではないか。欧州の人々から見れば、落ち着きがなく、焦っているように思える。だから、はじめから欧州の国々と試合をするときに、日本代表はなめられている。「プレッシャーを与えたら焦り、ミスをする」と思われているのだ。もっとまわりに気をとられずに、どっしりと自分の今やるべきプレーに集中をして、自信をもってプレーすること。現在の日本の選手たちにできるかは別だが、これができたら少しずつ変わる気がする。小さいころから「常にまわりを見ろ。協調性を大事にして味方を生かせ」。「じゃあ、今自分のやるべきプレーはどうするの? 自分の得意なプレーはどこで生かすの?」と問いたくなる。まず、自分がボールを持っていればその人が中心。だから、まわりのことばかりに気をとられずに、自分のイマジネーションや得意なプレーを出して、そのあとでまわりを生かす。そうすれば、おのずと協調性を大事にする日本人スタイルが確立していくのではないか。と、そう思う。「とにかく、心に余裕を持とう」。少し意識したら、生活は楽しくなるし、充実したものになる。今までとは別に視点でものを捉えられるようになる。欧州の人々の自由な発想は、こういった普段の生活から生まれている。日本人もやれば、できる。欧州人よりもディテールを大事にする人種なのだから。かゆいところに手が届くのだから。





■いよいよ、明日は3位決定戦!


 ワールドカップもいよいよ大詰め。各紙の新聞にも、決勝戦や3位決定戦の記事がたくさん並んでいる。と同時に、シュート数やファウルが少なくフェアプレーだった国のランキングなど、細かいデータ関係もたくさん載っている。この記事からも、ワールドカップが終盤を迎えていることがわかる。


 そして、明日はこのワールドカップを成功に導いた、ホスト国のドイツが最後の登場となる。ドイツ人たちは、ワールドカップで最後となる試合に勝って、有終の美を飾ってくれることを願っているに違いない。相手はポルトガル。準決勝では、意外なもろさを見せて敗退したが、3位決定戦では勝利を目指して全力を尽くしてくるはずだ。いずれにしてもここまで、すばらしい試合を見せて勝ち上がってきたチーム。目が離せない試合となるはずだ。ホスト国のドイツが勝利を手にするか、それともポルトガルが最後の試合を勝利で締めくくるか。いずれにしても、注目度の高い試合になることは間違いない。明日の試合が本当に楽しみだ。
コラム | 投稿者 木之下 潤 19:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

7.6コラム  ポルトガルの焦り

■日本語を話すドイツ人のおかげで…


 決勝戦への最後の切符をかけた、「ポルトガル×フランス」の朝を迎えた。今日はドルトムントからベルリンまで移動する日だったため、朝早くからホテルを出発して電車に乗り込んだ。ドルトムントからベルリンまでの移動時間は約3時間半。こちらの特急電車は時速300kmほどのスピードが出るため、移動時間も短くてすむ。それでも、やはり移動は疲れるものだ。


サッカーファン

 ベルリンに到着すると、ガラス張りの近代的なホームが目に飛び込んできた。今まで滞在した、どの都市のホームよりも新しく、大都市の雰囲気を漂わせている。さすがは、ドイツの首都。それでも駅周辺はまだ開発途中の段階で、たくさんの工事現場が目についた。駅のインフォメーションでホテルの場所を聞き、普通電車と地下鉄を乗り換えて、ホテル近くの駅にたどり着いた。外に出ると、私を照りつくような太陽の日差しが迎えてくれた。疲れた体にはこたえる。早くホテルに移動しようと周辺を歩いたが、大都市であるがゆえに民家やマンションが密集していて、地理がわかりづらい。うろうろとしながら探したが、見つからなかったので、歩いている人に道をたずねることにした。


 そうしたら偶然、日本語を話せるドイツ人に出会った。はじめに英語で道をたずねたのだが、突然「日本の方ですか?」と丁寧な日本語で返事が。私はびっくりした。こちらで日本語を話す機会は日本人とだけ。しかし、外国人の顔で日本語を突然話されると、けっこうびっくりする。和歌山県で一年間留学した経験があるそうで、完全ではなかったが、しっかりと日本語を理解し、しゃべっていた。忙しいなか、ホテルのあるストリートまで案内してくれて、とても親切だった。彼とはすぐに別れたが、あとで気づいた。名前とメールアドレスを聞いていなかったので、お礼のメール出すことができない。かなり後悔した。こちらの人々はとても親切にしてくれる。そのときにお礼はいうものの、あらためて丁寧にメールでお礼の言葉を伝えたいと、こちらにきて感じている。別れぎわに名刺とアドレスを書いて渡したので、いつかメールが来てお礼を伝えられる日がくるまで、のんびり待とうと心に決めた。 本当に「ありがとう」。





■ベルリンのファンフェスタは今大会で最大規模!


ベルリンファンフェスタ

 「ベルリンのファンフェスタが一番大きいよ」と、こちらで出会った日本人の友人から聞いていた。準決勝をそこで見ることを決めていた私は、早速ファンフェスタへ向かった。こちらにきて、ちょうど一ヶ月。切符を買い、目的地近辺の駅で降り、目的地へたどり着く。この当たり前のことが、自然にできていることに気がついた。ドイツにきたときは、こんな当たり前のことも自然にはできなかった。はじめての場所に着いたときも、「ココはどこだ?」と焦る気持ちもなくなった。なんとなくだが、欧州の生活に馴染んできている。こちらのことを一ヶ月前よりも理解できるようになっているし、「自分が少しは成長しているんだな」と安心した。


 ファンフェスタに到着したが、他の場所と変わらない気がした。しかし、ベルリンのファンフェスタは約1kmほどの通りにビジョンが5台ほどあり、何万人という人がワールドカップをその場で楽しめるようになっていた。日本では考えられない。さすがは、フットボール先進国。このあたりからもスケールが違う。試合開始まで2時間程度あったので、ゆっくり通りを歩いた。料理をふるまう露店が並び、グッズ販売店、フットサル場、公園、ほんとうに人々が楽しめるような会場となっていた。





■いよいよ試合開始


準決勝

 夜9時になり、いよいよ試合がはじまった。試合はポルトガルペースで進んだ。中盤のMFマニシェ、デコ、C・ロナウド、フィーゴの4人が細かくパスをつなぎながら、フランスのプレスをかいくぐる。ドリブルあり、ミドルシュートあり、ポストプレーでタメありの自由なフットボール。玄人にはたまらないフットボールのおもしろさが凝縮内容だった。フランスもワントップをはるFWアンリのスピードを生かして、攻撃を仕掛けようとするが、なかなか形にはまらない。それでも、今大会のフランスはベテランが多いのか、こういう試合展開になっても焦らない心の余裕をもっていた。


 そして、逆にフランスが前半31分にPKのチャンスを得る。ペナルティエリアでボールを受けたアンリが相手をあざわらうかのようなターンをして、抜きかけたところを、ポルトガルのDFが足をかけられ、倒れた。主審がペナルティスポットを指差す。その瞬間のフランスサポーターの喜びといったら、言葉ではあらわせないほどの迫力があった。ファンフェスタにいる何千人、何万人というフランスサポーターの歓喜の声で、地響きがするほど。決勝戦をかけた戦いなだけに、それもよくわかる。このPKをフランスの司令塔MF・ジダンが落ち着いて決めて、フランスが先制点を奪った。


 このあと試合が動くかと思われたが、ポルトガルは焦ることなくポゼッションフットボールを展開。フランスは落ち着いた守備をしながら、アンリや両サイドのリベリーとマルダのスピードを生かした速攻を武器に攻撃をする。お互いが自分たちのペースで試合を進めて、そのまま前半が終了した。





■ポルトガルの焦り…そしてフランスの落ち着き


 後半に入ると、ポルトガルの選手たちに焦りの色がではじめる。おそらく、連戦による疲れで運動量が落ちている部分もあるのだろう。徐々にプレーにキレがなくなっていた。一方のフランスは、ボランチのヴィエラとマケレレがしっかりと連係をはかりながらポルトガルの攻撃の芽をつんでいる。そのせいもあり、どんどんポルトガルの選手たちが焦っていた。それがプレーにも表れている。とにかく、ペナルティエリアでは少しでも接触したら倒れ、PKをもらおうと必死だ。それ以外のエリアでも、接触プレーがあったら倒れ込む。運動量の低下とともに集中力が切れている。おまけにはじめて体験する決勝戦をかえた戦いによるプレッシャーで焦りが増す。どの試合でも老獪に試合を進めていたはずのポルトガルが、はじめて見せる姿だった。


 逆にフランスは1998年に優勝を経験しているメンバーが何人もいる。この差は大きい。優勝へたどり着くためのハードルを経験している者と、経験をしたことがない者の姿。この試合は、まさにそうだった。フランスは、ポルトガルが焦って自らでペースを崩しているのを横目に、最後までしっかりと自分たちのスタイルをつらぬいていた。


フランス勝利

 そして試合終了のホイッスルが鳴る。フランスサポーターが歓喜に沸く。一方、ポルトガルサポーターは涙にひたった。決勝という夢の舞台をかけた戦い。サポーターにとっても、大きなものであることを垣間見た瞬間でもあった。いつか日本もワールドカップの決勝の舞台をかけて戦えることを願って、この試合のレポートを終わりとしたい。


いつ、やってくるのか…
コラム | 投稿者 木之下 潤 20:18 | コメント(0)| トラックバック(1)

7.4コラム  ベスト4・出場国の注目選手

■ドイツ代表 トルステン・フリンクス/守備的MF


 今大会における、フリンクスのチームへの功績は大きい。豊富な運動量で攻守の要としてピッチをかけまわり、まわりの選手たちを支えているからだ。日韓大会の日本代表のボランチ、稲本と戸田のプレーを思い出してほしい。戸田は気迫を前面に出した守備で、相手の攻撃をシャットアウト。ときには相手を威嚇する鬼気迫る守備を見せ、仲間にも勝つ意識を再確認させるほどの意志の強さを感じさせた。また、稲本は豊富な運動量でプレスをかけ、ボールを奪ったあとの攻撃参加とミドルシュートは、日本の武器として役立った。


 フリンクスは、日韓大会の稲本と戸田のプレーを両方持ち合わせている。いや、最後まで途絶えることのないスタミナ、MFバラックのうしろからボールを散らしてゲームをコントロールする冷静な目、チャンスとあらばミドルシュートを放って攻撃にも参加する意識、すべてが彼ら2人を上回っている。


 簡単にいえば、フリンクスはドイツ代表の心臓だ。彼がボールという血を全員に流し、全員の動きをスムーズにするために働いている。ボールという血を流すために、つぶし役として激しくボールを奪う。仲間たちに勝つ意識をうえるために、ゴールという新たな活力を与える。バラックのうしろで目立つことはないが、彼の働きはとても重要だ。彼が守備ばかりに追われているときはピンチで、攻撃に参加しているときはチャンスだ。フリンクスをドイツ代表のバロメーターとして試合を見れば、また違ったおもしろさを見ることができる。


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■イタリア代表 ルカ・トニ&アルベルト・ジラルディーノ/FW


 守備が主体のイタリアにあって、FWの役割は非常に重要だ。当たり前だが、ゴールを奪わなければ勝利することができない。単純な理由だが、各国の代表チームが頭を抱えるところだ。しかし、イタリア代表には一本のパスでシュートまで持ち込むことができ、ゴールを決められる、強力なストライカーが2人いる。ルカ・トニとアルベルト・ジラルディーノだ。彼らは両方ともセンターフォワード。しかし、ポジションや仕事が重なり合うことはない。一流の点取り屋であるがうえに、ゴールをとるために必要な判断をくだすことができるからだ。だから、彼らは最良のパートナーである。


 ルカ・トニは今季のセリエAの得点王。193cm・88kgとフィジカルに長け、空中戦のめっぽう強い。特に、相手にとって打点の高いヘディングは脅威とも呼べるもの。おまけに器用な面もあり、しっかりとポストプレーをこなして味方のサポートや攻撃の起点にもなれる。今大会のベスト8でもウクライナから2点をあげており、評価はうなぎのぼりだ。彼が何度シュートをできるかが、勝利の行方を左右するといってもいい。


 アルベルト・ジラルディーノは、アテネ五輪でイタリア代表のエースとして活躍した。183cm・76kgと大柄だが、スピードと俊敏性を持ち合わせている。体も柔らかく、無理な体勢からでもシュートを打ち、センタリングをあげてチャンスもつくることができる。彼のいい部分は状況判断のよさ。トニの動きに合わせながらポジションを移動し、しっかりとボールに絡む。しかし、チャンスとあらば自分が前面に出てシュートを放つ。だからこそ、貴重な存在として若手でありながら、トニとともにエースとして君臨している。


 彼ら2人がポジションを自由に変えながらボールに絡み、攻撃をしているとき、イタリア代表の勝利への確立があがる。足や頭、胸、彼らはすべての部位をつかってアシストやボールをゴールへねじこむ強さがある。ベスト4では彼らの動きから目が離せない。


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■ポルトガル代表 マニシェ/守備的MF


 04年の欧州選手権で準優勝したときの中心選手。とにかく、豊富な運動量で幅広いプレーエリアを持ち、積極的な攻撃参加でチームのダイナモとしてフル活動する。フィーゴ、デコ、C・ロナウドといった攻撃的MFばかりが注目されるポルトガルだが、マニシェなくして、彼らの働きはない。それほど、彼の役割は重要だ。このポジションの選手は世界的に見ても、つぶし役が多く、それ以外のプレーは並といったところ。しかし、彼はボールを奪ったあとも、正確なパスでゲームにリズムを生み出すことができ、攻撃のキッカケをつくることができる。


 彼の持ち味は正確で強力なミドルシュートと、積極的な攻め上がりで自らも得点できる攻撃センス。今大会でも1ゴールを決めている。相手と味方のポジションを見極め、パウレタがポストプレーに入り、彼に守備が集中したところを見はからってボールをうけやすいスペースにポジションを移す。そして、ボールが入ってからのプレーが速い。受けた瞬間に守備がつく。それをあらかじめに予測しておいて、素早く交わして、交わした一歩目でシュートを放つ。彼の攻撃センスが凝縮されたプレーだ。ミドルシュートに関しては、2004年の地元開催された欧州選手権でも、十分に代表の武器として力を発揮され、今大会でも攻撃にアクセントを加えている。


 彼がボールをしっかりと左右の攻撃的MF、そして司令塔のデコとパス交換をしながら積極的に攻撃に絡むとき、ポルトガル代表のゴールへのルートが見えてくる。彼の動きはゴールへの道。マニシェに注目していれば、ポルトガルのリズミカルで細かいパスまわし、そしてシュートが生まれる機会がわかる。フランス代表を相手に、どれだけ彼の積極的なプレーが見られるか、期待したいところだ。


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■フランス代表 ジネディーヌ・ジダン/攻撃的MF


 フランス代表の注目選手は、ジダンをおいてほかにはいない。こちらに来て、フランス人と部屋をシェアする機会があったので、フランス代表について話をしたことがある。フランス代表で一番いい選手は誰だと聞いたら「ティエリ・アンリとシルバン・ビルトール。でも、それ以上にジダンが上だ。彼はベストだ。フランス人にとって彼は特別な存在だし、ジダンを超える存在はいない」と答えた。それほど、ジダンという選手はフランス人にとって偉大なのだ。


 大会前に、ドイツ大会を最後に現役を引退することを公表しており、モチベーションも最高だ。シーズンの疲れや、現役引退への迷いでの精神的な疲労で、予選は調子が今ひとつだった。しかし、決勝トーナメントに入ってから徐々に調子をあげている。特に、ブラジルと戦ったベスト8でのプレーは、今大会のベストプレーだった。しっかりと守備をし、攻撃の際には自慢のテクニックを駆使してチャンスを生み出す。ブラジル選手を手玉にとるような、すばらしいプレーを何度も披露していたし、FKでアンリのゴールもアシストした。予選では調子が上がらなかったことで判断力が鈍り、ボールをもち過ぎていた面も見られたが、それも解消された。ブラジル戦ではボールを離すタイミングとキープするところを、味方選手のポジションの状況で使い分けていたし、何よりも一つ一つのプレーに花があった。1998年のフランス大会で優勝したときのパワーはないが、ベテランらしい魅力あるプレーを随所に見せている。


 ポルトガルとの準決勝、そして決勝へとコマを進めて、フランス代表を優勝へと導くことができるか。そして、ワールドカップ制覇という花を手に、現役を引退できるか。ベスト4でのジダンのプレーは見逃すことができない。


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コラム | 投稿者 木之下 潤 18:34 | コメント(0)| トラックバック(0)

7.2コラム  イングランド代表とサポーターのきずな

■イングランドサポーターの涙


 試合終了後、イングランド代表の選手たちは泣いていた。サポーターも泣いていた。結果はPK負け。しかも、後半の序盤にFWルーニーが退場し、一人少ない状況だったにも拘わらずだ。延長戦を戦い抜き、勝利への可能性をPK戦にまで残しながら負けた。選手たちやサポーターの悔しい気持ちが、ストレートに伝わってくるシーンだった。


 イングランド代表の選手たちとサポーターは、固い絆で結ばれている。代表が勝てば大喜びし、負けたら腹いせに大暴れする。皆さんもご存知のとおり、フーリガンというイメージの悪い人間もいる。それは良くも悪くも、フットボールを愛しているから。代表はイングランドフットボールの象徴。だから感情移入も普通ではいられない。昔からイングランドサポーターのフットボール狂は知っていた。しかし、はじめてワールドカップを現地で見て、あらためて彼らの代表に対する想い、またフットボールに対する愛情を確認することができた。


 今大会、予選からイングランド戦のスタジアムはイングランドのサポーターであふれかえっていた。特に驚いたのは、決勝トーナメント・一回戦のエクアドル戦。ほぼ、イングランドサポーターでいっぱいだった。もちろん、エクアドルは南米に位置して遠いし、経済状況もよくないのだろう。それを抜きにしても、すごかった。テレビで観戦していたが、私の目から見て、エクアドルのサポーターは一割から多く見ても二割といったところ。試合がはじまってから最後まで、ずっとイングランドサポーターの応援が続いていた。


 もちろん、どの国のサポーターもすごい。確実に、日本よりはすごい。韓国代表のサポーターは人気がある。彼らを見ていれば、応援を通してフットボールと代表への愛情、そして祖国への愛を感じられるからだ。その証拠に、私が出身を聞かれる際、必ず「コリアンか?」と問われる。フットボールへの愛が感じられれば、世界中どこへいっても友達になれる。フットボールは万国共通の話題なのだ。


 そのなかでも、イングランド代表はものすごい。フットボール発祥の地だけあって、プライドがほかの国とは違う。フーリガンのようにねじまがった愛情の形もあるが、それほど「すごい」という証拠ではないか。選手と同じ気持ちで戦い、同じ気持ちで泣く。だからこそ、イングランド代表の選手たちは、どんな状況に追い込まれても最後まで戦う。死力を尽くす。それが、ファンに対する愛情表現だからだ。だからこそ、ファンの期待を裏切る形になり、涙する。この試合で、私はイングランド代表とサポーターのきずなを実感した。敗北から感動することはスポーツでは少なくないが、この試合も間違いなく、今大会での感動シーンのひとつだった。





■ポルトガルが老獪(ろうかい)さを見せ、ベスト4に一番乗り!


 この試合は、移動のために前半終了の直前からしか見られなかった。だから、見た範囲のことで、試合内容についての意見を述べさせてもらう。たぶん前評判では、イングランド有利の情報が新聞をにぎわせていたはず。理由は、ポルトガルはデコといった主力選手が前試合で退場やイエローカードを受け、この試合に出場することができなかったからだ。イングランド代表はベストメンバーで戦うことができる。それが大多数の意見だったはずだ。


 しかし、ポルトガルが勝って、イングランドが負けた。そのポイントはどこにあったのだろう。私は、ポルトガルの老獪さにあると感じている。その意味は、かけひきが上手だということだ。確かに、イングランド代表はフィジカルが強く、勝利への意志も並ではない。それに守備が安定しており、攻撃面においてもタレントがそろい、強力だったに違いない。でも、老獪さが足りなかった。ポルトガル代表の選手たちは、実にフットボールを知っている。というか、かけひきを知っている。それが試合を決めたといっていい。そのシーンは、FWルーニーが退場したシーンに凝縮されている。


 ルーニーはボールをキープしようとしたが、ボールが足につかず、少し足元からボールが離れてしまった。それをDFリカルド・カルバーニョが奪おうと迫ってきた瞬間、ルーニーがボールを守ろうと足を出して彼の足と交差し、倒れてしまった。通常であれば、このシーンはイエローカードも出ず、ファウルだけですむところだろう。しかし、このあとすぐにポルトガル代表のC・ロナウドがやってきて、主審に抗議した。彼はルーニーと同じ、マンチェスターUのチームメイト。ルーニーの「カッとなる!」性格をよく知っている。予測だが、私の目にはそれをわかっているうえで、主審に抗議したように見えた。案の定、ルーニーは彼の罠にまんまとはまり、C・ロナウドを手で突き飛ばした。それを見た主審は、ルーニーをレッドカードで退場にした。


 このシーンのC・ロナウドは、ルーニーともかけひきをし、主審ともかけひきをしている。ルーニーの性格を見越したずる賢さ、主審にイエローカードをもらわないような抗議の仕方をした老獪さ。幼いころから、フットボールが選手のプレーだけでなく、主審や副審を含めて試合の流れがつくられていくことを肌で感じてきた証拠だ。もしルーニーはレッドカードをもらっていなくても、この後、ことあるごとに厳しいジャッジが下され、ストレスをためて自分の力を発揮することが難しかったに違いない。C・ロナウドの抗議は、そういう意味をもっていた。


 このほかにも、ポルトガル代表の選手たちはたくさんかけひきをしていた。1対1の局面やファウルを受けたあとの時間を遅らせる対応など、いろんなシーンでかけひきをしていた。わざと突破できるシーンでキープしてみたり、イングランド選手が前線からプレッシャーをかけてくるところも見透かしたようにツータッチのパスで交わしたり。まるで、イングランド代表選手たちの心を見通したようなプレーを披露していた。これに、イングランド代表の選手たちはペースを乱された。


 この試合はイングランド代表も予選を通じてベストのプレーをしていた。予選のときには、後方から前線にロングボールを放り込むだけのつまらないフットボールを見せていた。が、この試合は、中盤で正確にパスをつなぎながらチャンスをつくっていた。丁寧な試合をしていた。だが、ルーニーの退場が痛かった。ポルトガルとのかけひきに負けてしまった。ポルトガルはベスト4でフランスと当たる。ベテランぞろいのフランスを相手に、ポルトガルのかけひきのうまさがどこまで通じるのか。また、どんな手をつかって、どんな方法でフランス代表との試合を行うのか。彼らの試合には、そんなテクニックや技術とは違った視点のフットボールの楽しみ方がある。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:49 | コメント(0)| トラックバック(0)

7.1コラム  イタリアの強さ

■同部屋の陽気な住人たち


 「ドイツ×アルゼンチン」のあと、少し顔を洗おうと部屋にもどった。考えてみれば、今日はフライブルグから移動して、原稿を打ってインターネットカフェに行ってデータを送り、ばたばたファンフェスタに向かったので、息つくひまもなかった。同じ部屋の人間も知らなかった。部屋に入ると、外人ばかり。でも、ラテン系だとすぐに気づいた。みんなが部屋に入るなり、親しくあいさつをしてくる。ドミトリーに泊まったので、同部屋にあと5人。すべてスペイン人だった。一気に5人の名前と顔は覚えられず、いきなり日本選手のことを聞いてきたので、面食らってしまった。疲れてはいたが、笑顔で答え、話をしていたらすごく仲良くなってしまった。話で一番盛り上がったというか、からかわれていたのかもしれないが、とにかく盛り上がったのは、選手の名前をあてる質問ゲーム。これは話のなかで、私がスポーツライターだといったことがキッカケだ。はじめは日本人選手の名前当てるゲームだった。が、私が全部答えておもしろくなかったのか、他国の選手の名前まで質問し始めた。それが有名選手の名前で、さらに私がすべて答えるために、少しムキになってトーゴやエクアドルなどマイナー国の選手の名前をいってきた。さすがに、すべては把握していないので答えられない。逆に、私が答えられないのが楽しくて仕方ないようすで、それがコミュニケーションになり、よけいに仲間みたいになった。


 夜の「ウクライナ×イタリア」は、彼らと試合を見ることにした。ホテルの大きめのテレビで。テレビのまわりには多くの人が集まっていた。とにかく、彼らは陽気だ。席に座ると隣にいたブラジル人に話しかけ、音頭をとって歌い始める。ラテン系の血がそうさせるのか、国民性としてそうなのか。実は、結果的な話だが、試合中も内容そっちのけで自分たちの話題で盛り上がっていた。スペイン人の気質なのか、その場が楽しければそれでいい。飲んで話して、でもゴールのときだけはテレビを見ている。よく考えると、フットボールでもスペインは自分の役割の仕事だけは抑えている。悪くいえば、自己中心的!? こういうところにも国民性があらわれていておもしろかった。




■イタリアが実力を見せつけ、3-0の完勝!


 試合の方に話をもどすと、結果はイタリアの圧勝だった。だが、今までと違うのは序盤から前線でプレスをかけていたこと。イタリア代表は勝負どころで、たまに序盤からプレッシャーを与えてくる試合をする。この試合もそうだった。いきなりのイタリアのプレスにとまどったウクライナは何もできない。たぶん予想していなかったのだろう。というか、誰も予想していなかったはずだ。カモラネージやトッティがハーフウェイラインより20mも前からプレスをかける。それに呼応するように、うしろの選手たちも苦し紛れのパスをカットしようとねらっている。イタリアのねらいに完全にはまっていた、ウクライナは手詰まりの状態。ボールを奪ったあとの攻撃も積極的で、どんどんシュートを放っていた。ゴールは前半8分に生まれた。ボールを奪った瞬間、右サイドバックのザンブロッタが素早くオーバーラップを仕掛ける。彼にボールが渡り、なかに切り込みながら前にDFがいないのを見ると、思い切ったシュートを打った。それが、見事なシュートでゴールの右スミに突きささる。


 予選や決勝トーナメント1回戦までは、自陣のペナルティエリア手前の15mほどで守備をしていたのに、この試合ではハーフウェイライン手前の10mからプレスをかける。この30mほどの距離が、ウクライナの選手たちにプレッシャーを与えていたのは間違いない。ただでさえ、イタリアの守備は相手の攻撃をコントロールできるほどの高いレベルにあるのに、それが30mも手前にきたら…。ウクライナの選手にしたら、たまったものではない。これが試合を完全に決定づけるポイントとなった。


 ウクライナのシュートも、DFカンナバーロとGKブッフォンのコンビが、ことごとくシャットアウト。本当に守りが堅い。特に、今日の試合はMFトッティのプレーがカギとなっていた。彼は「タメ」をつくることができる。イタリアはボールを奪った瞬間、トッティにボールをあずける。彼がタメている間に、みんなが攻撃をする準備ができるのだ。もっと細かくいえば考える時間をつくることができるのだ。それに、彼はキープ力があるから数的優位をつくることができる。この試合でもゴールが生まれたシーンは、2点はトッティが絡んだもの。DF・2人に囲まれても、その間を通してパスを出すので、パスを受けた相手は完全にスペースと数的優位な状態。もっといえば、彼がパスを通したあとは、相手守備陣が陣形を立て直しているので、イタリアにとっては必ずスペースと数的優位の状況が生まれている。その後もトッティを経由して、どんどんとチャンスをつくっていた。前半は1-0で終了したが、内容は完全なイタリアペースだった。


 後半に入ってからもイタリア有利な状況は変わらない。2点目もMFトッティがあげたセンタリングにFWトニが合わせたもの。3点目もトッティがDF・2人の間を、パスを通してチャンスをつくったもの。とにかく、イタリアの王子様・トッティの一人舞台だった。その後のイタリアはしっかりと守り固めの選手を投入し、しっかりウクライナを0点に抑えて完勝。最後までウクライナは何もできずに終わった。イタリアは守備から速攻というパターンが確立されている。おまけに守備も堅い。「これは久しぶりの優勝?」と感じさせるには十分の試合展開となった。もしかしたら、もしかするイタリア。大会前のイタリアをにぎわせた問題も、ぶっ飛ばすニュースが、ワールドカップ後に新聞一面を飾るかもしれない。


コラム | 投稿者 木之下 潤 23:18 | コメント(1)| トラックバック(0)

6.30コラム  ドイツの歓喜

■局面でのはげしい戦い!
ハイレベルな攻防で延長戦…PK戦



ドイツの新聞

 肌が焼けるほどの熱い日差し。いよいよ、ワールドカップもベスト8の戦いがはじまる。一発目にホスト国・ドイツが登場するとあって、フランクフルトの街は朝から活気に満ちていた。通りすがりの人は、みんなドイツカラーの彩ったペイントや応援グッズを身につけ、試合開始を待ちわびている。ドイツの試合+日差しが熱いのもあり、ビールが尋常ではないほど売れている。ドイツ人のお腹に吸い込まれる。道路は水浸しならぬ、「ビール浸し」といったところだ。


 国歌が流れ、試合がはじまった。開始から両チームとも激しい。この試合を決める要素は、局面での戦いだと予想していた。時間が進むにつれ、まさに予想通り、個々の激しい戦いがチャンスやピンチを左右していた。まず序盤に見せたのは、DFラーム(ド)とMFマキシ・ロドリゲス(ア)の戦い。ラームは攻撃力を買われ、ドイツ代表になった選手。一方、ロドリゲスは攻守での抜群のポジショニングと、おもいきりのいいダイナミックなプレーが持ち味だ。ドイツの攻撃の生命線である左サイドで、ラームがオーバーラップを仕掛けるが、ロドリゲスが食い止める。わかりづらいところだが、ポジショニングの取り合いでいい戦いを見せていた。ラームのオーバーラップを仕掛ける位置を、ロドリゲスがしっかりと見極めて守備をする。またロドリゲスがおもいきりのいい上がりを見せようとするタイミングで、ラームがアタックをする。一瞬でも判断が遅れたらチャンスになることを十分に理解し、攻守にいい見どころの多い争いだった。まさに、その集中力の高さに脱帽だ。


 そんな戦いが続くなか、アルゼンチンが主導権を握りつつあった。ドイツはアルゼンチンの細かいパスまわしについていけず、少しずつラインが下がって守備をする時間が多くなった。MFリケルメをおとりに、DFソリンが左サイドをかけ上がり、積極的に攻撃を仕掛ける。FWクレスポも前線で起点となりながら、シュートの機会をうかがう。一瞬でも気を抜けばゴールが入るにおいがぷんぷんしてきた。


 アルゼンチンが右サイドでコーナーキックをとった。これが最初のゴールになる。MFリケルメが蹴ったボールに、FWクレスポがつぶれ役となり、DFアジャラが見事のヘディングをゴールの右スミに決めた。一瞬にしてアルゼンチンサポーターが歓喜に沸く。逆に、ドイツサポーターは頭を抱え込む。私はここで、若いドイツ代表選手たちは、はじめて先制点を奪われ、精神的にくずれるかと思った。しかし、国民の期待と希望を背負った若い選手たちは、ここから強さを見せた。さすがは、ゲルマン魂の遺伝子を受け継ぐ者たち。


 まず、アルゼンチンのGKアボンダシェリが負傷で交代。次に司令塔のリケルメがMFカンビアッソと交代し、明らかにアルゼンチンが守備的布陣にシフトチェンジをする。それを見たドイツは、積極的に攻撃を仕掛けてきた。主将のMFバラックが前線に顔を出し、シュートを放つ。主将が戦う姿勢を見せると、まわりの選手がゴールへの意欲を前面に出してくる。それに合わせるように、監督のクリンスマンもMFオドンコール、ポドルウスキ、ノイビルとフレッシュな攻撃的な選手を投入する。


 ここで同点ゴールが生まれる。バラックをあげたセンタリングをポドルウスキが見事なヘディングでクローゼの前のスペースに流し、クローゼが飛びこんでゴールが生まれた。暑さでストレスをいっぱいにしていたドイツサポーターが歓喜を爆発させた。ドイツ国旗がところ狭しと踊る。ビールが舞う。


 そこからはドイツ代表に落ち着きがもどった。一方、アルゼンチンはもともと攻撃のチームというのもあり、守備にまわって歯車が少しずつずれる。しかし、何とかドイツ代表の攻撃をしのぎきる。試合は延長戦に突入した。局面がポイント。その試合を象徴するかのように、110点で発表された時点でのファール数が、ドイツ・20でアルゼンチンが31。いかに、アルゼンチンが守備に力を入れていたかがわかるし、お互いに局面での戦いで激しくぶつかりあっていたのかがわかる。延長戦も必死に戦った両チーム。ついに決着がつかず、試合の行方はPK戦にもつれ込んだ。





■すべてが優勝のため。象徴するカーンとレーマンの熱い握手!


 PKの前に、両チームの選手たちは味方に声を掛け合う。はげまし、鼓舞する。そのなかで、ワールドカップ前に、ドイツで話題になった。GKのレギュラー争った、カーンとレーマンが話している姿が映った。カーンはレーマンに熱くアドバイスを交わしたあと、がっちりと握手をかわす。ドイツ代表はレギュラーも控えも関係なく、本当に勝利を欲し、支えあっている。自分ために、家族のために、国民のために。その精神が感じられ、感動した。


 私は、PK戦になればドイツが不利だと読んでいた。それは、国民の期待がプレッシャーになるからだ。しかし、その予想を見事に覆してくれた。キッカーたちは見事にプレッシャーを力にかえ、シュートを決める。カーンと熱い握手を交わしたレーマンもアジャラのシュートをブロックする。結果は4-2でPK戦を制した。


ドイツの歓喜

   私はフランクフルトのファンフェスタで試合を見ていたのだが、その歓喜は日本人の頭では理解できないほどのすごさだ。あるカップルは熱くキスをかわし、男性4人は便所のうえによじのぼって雄たけびをあげる。「いっしょに喜んでくれ!」とばかりに、とおりゆく人は誰であろうが、ハイタッチをする。こんな光景は日本ではない。心から代表を応援し、愛していないとできない行動だ。「いつになれば、日本でこんな光景が見られるようになるのか?」。いや「なってほしい!」。そんなことを心に思いながら、ドイツ人たちにもみくちゃにされつつ、写真を撮っていた。


コラム | 投稿者 木之下 潤 23:06 | コメント(2)| トラックバック(2)

6.29コラム  こちらのユース事情

■田舎クラブにもクラブハウス付きのグランドがあり!
地元のお店がスポンサー広告を出して支援している



 今日は、フライブルグに住んでいる友人夫婦の家に遊びに行くつもりだ。地元で子どもたちのフットボールの指導をしている。ちょうど練習日ということもあり、こちらのユース年代の様子をのぞきに行くことにした。フライブルグはスイスとの国境近く。ほかの街とはまた違う雰囲気が漂っている。太陽が降り注ぎ、のんびりとした空気が流れている。


 練習場はフライブルグから電車で15分程度の場所。かなり田舎だ。たぶん人口も1000人に届かないほどだろう。友人と2人で歩いて練習場に足を運ぶと、日本と同じように、練習が楽しみで仕方ない子どもたちが自転車を急いでこいでいる。その光景を見て、すごくうれしくなった。フットボールをしている世界中の子どもたちは、きっと練習日を楽しみにしているのだと。友人とともに歩いているので、子どもたちも興味本位で私の顔をのぞきにくる。「この人は一体だれ? コーチの友達なのかな?」。そんな顔つきだ。


 ここのクラブは大人から子ども、女性やシニアにいたるまで、しっかりと組織されている。それぞれにコーチも2人ついており、日本の田舎町とはまるで異なる。クラブ専用のグランドがあり、隣にはテニスクラブもあった。芝生のグラウンド、土のグラウンド、小さい芝生のグラウンド。さすが、細かく区分けすると10チームほどが練習しているクラブチームだ。練習場の横には木でできているが、クラブハウスもしっかりある。なかに入るとボールが並び、シャワー室があり、コーチ陣の部屋がある。その部屋に入ると、過去にとった優勝トロフィーが並び、練習日程や試合日程を書いたカレンダーが張られていた。本当に、日本では考えられないほど、フットボールが生活の一部になっている。


 ドイツでは大人のチームの試合はすべて有料試合。それが1部でも、7部でもそうだ。日本でいえば、市の社会人フットボールリーグ。それがお金をとって試合をする。日本で考えると、客が来ないと思うだろう。しかし、地元チームを応援するのが当たり前のドイツでは、毎試合観戦に行く。ドイツでは、地元のクラブはその街の象徴であり、誇り。それがブンデスリーグだろうが、地方の社会人リーグ10部だろうが、地元民にとって価値は同じだ。このあたりに、日本との価値観の差があらわれているし、地元密着の意味も違う。J1のチームでも、ここまで地域に密着しているかと問われれば、答えは「NO」だろう。フットボールに関していえば、ふところが深い。日本はお金や勝利だけに価値を求め、本当の意味での地域密着が少しずれているような気がする。日本のクラブに地域密着の本当の意味を考えてほしい。そして、欧州でも南米でもいいので、フットボール大国の小さい街のクラブチームをのぞいてほしい。そうすれば、きっと今までもよりも違う価値観をもってクラブ経営をすることができるはずだ。




■「フットボールは楽しむもの」。ドイツの子どもたちはその本当の意味を知っている


 子どもたちが、練習場に続々と姿をあらわす。常にボールを触っているところは、日本の子どもたちと同じ。今日は大会が終わったばかりのブレイク期間。練習内容は子どもたちの精神的なリフレッシュをはかるために、ゲームだけの練習だった。私も練習に入ることにした。子どもたちのレベルが、どの程度のものかを肌で感じたかったから。プレーすれば、だいたいのレベルはすぐにわかるし、見ているよりも簡単だ。


 実際に試合をしてみての感想は、正直日本の子どもたちの方がうまい印象をもった。だが、テクニックは特に日本の方が上だろう。しかし、ゲームを通じて感じたのは、こちらの子どもの方がフットボールをよく知っているし、各自が自分のプレースタイルをもっている。日本では、すべてのプレーがコーチの見せたお手本と同じようにプレーしないといけない。だから、みんなテクニックは身につくが、自分独自のプレーにはつながらない。フットボールというか、スポーツは個々の選手によって体の大きさも違えば、しなやかさも違う。だから同じようにプレーできるはずがない。しかし、日本の指導者たちは基本の型に当てはめることばかりに気をとられ、選手自身との対話ができていない。こちらでは、子どもたちも自分の体の大きさや特徴を知ったうえでプレーをする。それに、それぞれに憧れの選手がいて、その選手をお手本に自分なりのプレーを身につけようと努力する。この「自分なりのプレー」というのがキーだ。


 ドイツの指導方法は個人の自主性にまかせる部分が大きい。日本では練習からすべて緊張感を持ってのぞむような雰囲気づくりをする。それから試合でも同じように緊張感をもってのぞむ。こちらでは、大会から1カ月ほどあけば、のんびりとした雰囲気で練習をし、試合が近くなれば緊張感を高めて練習をする。メリハリがある。このメリハリは大きいように感じる。日本人選手が試合中、常に全力で同じようにプレーするのはこのためではないか。強豪国の選手たちは試合中でもメリハリをつけて、集中力が持続するようにコントロールをしている。今大会で日本人選手たちが試合中に見せた集中力の持続性のなさは、この点も関係しているのではないか。


 子どものころから、自然に自分たちでメリハリをつけられるようになる。これはこういう練習の仕方のたまものかもしれない。それに個人の特徴を重要視されるドイツのフットボールでは、試合に出るためには「自分なりのプレー」を求められているように感じる。ワンパターンだが、そのプレーだけは絶対にほかの選手に負けない。日本のようにユーティリティプレーヤーをつくりだす今の指導法では、絶対に生まれない選手が出てくるのは、これが理由だ。とにかく、日本とは何もかもが違う。この話題については、まだ頭の整理がなされていない部分があるので、また次の機会に強豪国との底辺レベルの違いについて語ろうと思う。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:52 | コメント(0)| トラックバック(0)

6.28コラム  中田英寿が欧州で認められる理由

■中田が実行している当たり前のプレー


 今日は久しぶりのワールドカップのオフ日。街に出るとたくさんの観光客であふれていた。日本代表が帰国して5日。「中田英寿」という存在を中心に、日本代表の今後について触れてみたい。ここをたどっていけば、成長する何かがつかめるはずだ。


 日本代表は今回のドイツ大会で何を得たのか。それは、ピッチ上で起こるすべてのことに、個々の選手が責任を持って対応することだと感じた。フットボールは、戦いそのものがチーム対チームの図式だが、その末端にいるのは選手。つまり1対1の戦いの連続だ。では、今大会で日本代表がブラジルやオーストラリア、クロアチアといった実力のある国を相手に、1対1の勝負で勝っていたかというと、明らかに答えは「NO!」だ。しかし、中田英寿だけは違う。たしかに、まだまだ技術的に足らない点もたくさんある。でも、ピッチでプレーするうえでは、世界の一流選手たちが集まるワールドカップという大会で、彼らと対等に戦っていた。では、中田英寿とほかの日本人選手の違いはどこにあるのか。そこに、今後の日本代表の進むべき道、またワールドカップ・南アフリカ大会への成功のヒントが隠されている。


 まず、中田英寿がなぜ欧州で認められているのかを検証していきたい。彼のプレーの持ち味は「①正確な状況判断 ②シンプルなプレー ③豊富な運動量 ④勝利への意志」この4点が大きな要素だ。チーム戦術の理解の良し悪しで、試合出場の頻度が大きく変わってくる欧州フットボールでは、この4点は特に必要とされること。スペースのないピッチ上では正確でシンプルなプレーが求められるし、攻守両面での貢献度が問われる現代フットボールではFWでもゴールするだけではなく、守備をする運動量を必要とされる。チームが負けていても、勝利への意志を持ってプレーすることは当たり前のこと。21歳でイタリアのペルージャに渡り、プロ生活のほとんどを欧州で過ごしている、中田にとっても当たり前のこと。はじめは戸惑いもあり、意識をしながら身につけていったことかもしれない。それは、ワールドカップという特別な大会でも、中田英寿はこの当たり前のプレーをしっかり実行していた。




■例えば、中村俊輔では…


 では、ほかの選手たちがこの4点をクリアしていたか。例えば、中村俊輔で単純に○×で採点をしてみたい。「①正確な状況判断 × ②シンプルなプレー △ ③運動量 × ④勝利への意志 ×」と、私の独断と偏見だが、前述のようになってしまう。具体的にひとつずつ検証してみよう。①は、パスとドリブルでしかけるタイミング、ポジショニングにおいてほぼ正確な判断がなされていなかった。それは、日本代表の得点チャンスがなかった理由に表れている。3試合でたったの2点。彼がキッカケに生まれた得点は、オーストラリア戦の偶然のゴールだけ。あれもねらっていないので、実質的には0だ。②は、速攻を仕掛ける際、ワンタッチプレーで柳沢に叩いたりしていたので、ゴールにつながるプレーとしては少しだけ評価できるものだった。が、それ以外はムダにボールをキープし、ねらいもなく近くの選手にあずけるようなプレーの連続。これでは、司令塔としての役目は果たせていない。③は、まったく評価に値しない。ほぼ無に近かったのではないか。自らがポジションを下げるために、FWの高原や柳沢がその分のスペースの守備もしなければならなかった。暑さのために足元でボールをもらってばかり、クロアチア戦では中田英がスペースに出したボールに体力がないために追いつかないシーンも見られた。④については、彼から「勝利」の二文字を感じることはできなかったから。感覚的なものもあるかもしれないが、運動量にも表れているのではないか。本気でスポーツをしていた人ならわかるだろう。体力的なものは、精神力でカバーできるもの。彼からは勝利の前に、ゴールへの意志も感じられなかった。ゴールへ向かう直線的なパスもほとんど出ていなかったし、得意のはずのスルーパスやロングクロスも出ていなかった。簡単に分析したが、これだけでも何一つピッチ上で実践できていないことがわかる。




■自己責任を持ってプレーすることが、日本独自のスタイルを生み出すヒント


 もちろん、中村だけでなく、ほかの選手で見てみても○や△が1つぐらいあって、あとはほぼ×が並ぶだろう。この4点だけをやれば、試合に勝てるわけではないが、最低限に必要なこと。では、どうしたら日本代表の選手たちが、試合で実践できるようになるのか。ここが大切なところだ。②は試合を重ねながら意識して行えばできるようになる。③はトレーニングするだけ。④は今回の最終予選のイラン戦やバーレーン戦でも見せたように、気持ちの問題だから個々で立て直せるレベル。しかし、①だけはとても難しい。常に試合に出場しなければいけない状況、客観的に自分のプレーを分析できる目…。あとは、日本社会などの風潮など深いレベルで重なり合う部分がある。自己責任を負うことをしない日本人に正確な状況判断を求めても厳しい。


 例えば、仕事で自分がミスをしても、会社の責任になり、上司の責任になる。別に、自分の給料が下がるようなシステムがあるわけではない。価値観の問題だが、協調性ばかり求めて、個性を尊重しない日本の社会事情がフットボールのプレーに表れている。たぶん、スポーツ全般ではないか。バレーボールであれ、バスケットボールであれ、日本の集団スポーツで成功している例は少ない。


 唯一の成功例は野球だ。なぜWBCで日本が優勝できたのか。それは王監督が日本人選手の特徴を見極め、攻守に適材適所に選手を置いて、勝つ意識を植えつけていったからだ。大会前から王監督は語っていた「日本人の選手の特徴である、スピードと緻密で細かい野球で世界一をねらう」と。ジーコも日本人の特性を生かそうとしていた点では、そうだった。日本人の持つ創造性と勤勉さをピッチでうまく表現できれば成功すると。でも、日本人選手には正確な状況判断ができなかった。


 野球と異なり、フットボールは90分間動いているスポーツ。常に頭を働かせ、判断を下し続けなければならない。一度やったことや決まっているパターンでは状況判断が下せても、それ以外の状況になった場合に正確に判断を下すことができない。中田英寿にはこれができるのだ。彼はパターンに当てはめず、時間やポジションなど、常に変わっていく状況のなかで正確な状況判断をして、それをプレーに実行することができる。パターンに当てはめずに柔軟な頭を持つ。これが中田英以外の選手に、一番必要なことだ。


 マニュアル好きの、責任を背負わない日本人。これを作り出している社会。このなかで生きてきた選手たちに身につけることができるのかはわからないが、必要なこと。若手でも松井大輔のように柔軟な頭脳を持ち、欧州で実力を発揮している人間もいる。自分らしさを主張し、チームのために努力を惜しまないこと。簡単にできるようだが、できない。まず自分の行動に責任を持つこと。いろんな状況で答えをひとつではなく、たくさん考えてみること。こんな単純なことの積み重ねが、意外と大切なのかもしれない。


 「ピッチ上で起こるすべてのことに柔軟に対応し、選手が責任を持ってプレーする」。どこかで聞いたことのあるセリフ。フッチボールアレグリを説いたフットボールの神様、ジーコが言ったのでは。選手たちは本当にジーコのいっていた発言を理解していたのか。それは今後のフットボール人生で、選手たちが少しずつ理解していくに違いない。そして、この本当の意味を理解して実践できたものが、2010年のワールドカップのピッチに立っているだろう。今後、中田英寿が代表に興味を示すのかはわからない。しかし、現段階でこれを実践できているのは中田だけ。彼を押しのけて、代表に入る、この4点を実践できるような選手がでてきたら、でてきたときが本当の日本のスタイルを世界に見せられるときだろう。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:39 | コメント(9)| トラックバック(4)

6.26コラム  チョイ悪オヤジの井戸端会議

■イタリア、ウクライナがベスト8進出!


 今日は「イタリア×オーストラリア」「スイス×ウクライナ」がベスト8をかけて戦った。結果はイタリアが1-0で勝利、ウクライナがPK戦を制して次のラウンドへ進出した。4チームとも自国のチームの色を存分に発揮して全力を出し切った。特に、イタリアには独特の色があった。それを少し紹介したい。




■チョイ悪オヤジも大興奮!?


ファンフェスタ


 「イタリア×オーストラリア」はファンフェスタで見ることにした。数日、天気が悪くファンフェスタまで足を運ぶのが難しかったので、久しぶりに興奮した。会場に到着すると、イタリアファンで埋めつくされていた。イタリアのサポーターは、他国のファンと雰囲気が違う。それはブランドのシャツやジーパンを身につけ、サングラスをしている。いかにも、イタリアらしい。フットボールを応援に来るのにも、オシャレは必要なのだ。もちろん、代表のユニホームを着ている人もたくさんいるが、「チョイ悪オヤジ」がゴロゴロいる。代表チームの応援なのに男性はカッコつけ、女性は髪をさわりながら男性の目線を気にするあたり…これがイタリア流なのか!?


 さて試合の内容にもどると、イタリアはトッティを外して4-3-3の布陣を敷いた。一方のオーストラリアはキューエルを外して3-5-2のシステム。展開としてはイタリアがしっかり守って、オーストラリアがサイドから攻める形になった。序盤から完全に自陣にひいたイタリアは、オーストラリアの攻撃をまったくよせつけない。むしろ、守っているはずのイタリアがゲームをコントロールしている。オーストラリアはイタリアのねらいとおり、ボールをまわさせられている感じが選手のプレーからを見ることができた。どんなにイタリアゴールにせまっても、最後のシュートまではもっていけない。この心理的な影響がオーストラリアから大胆さをうばっていた。


 ここでイタリアサポーターの反応を。イタリアはセリエAに象徴されるように、守備重視のフットボールを展開する。それが顕著に表れていたのが、サポーターの反応だ。いい守備をすれば全員が代表選手たちをほめ、攻撃でシュートをミスすれば選手たちにヤジを入れる。攻撃面は普通だと思うが、それが違う。FWデルピエロやトニ、ジラルディーノの3トップが何度もおしいシュートを放ったが、それを誰一人ほめようとしない。むしろシュートをミスするたびに、タバコを吸い、ストレスを発散している。ココがブラジル選手だと攻撃面でいいプレーがあると盛り上がるのだが、イタリア人の気質なのか、守りの文化がここまで浸透しているのか、攻撃に関する反応はシュートが決まる以外はほとんど興味がない。実力主義!?、結果主義!?…とにかくイタリア人のフットボール感が全開だった。


 前半は結局0-0のまま。どちらにもチャンスはあったが、決められず試合の行方は後半に持ち越された。後半開始早々、イタリアのDFマテラッツィが足元まで深く入るようなタックルをみまい、退場してしまった。これでオーストラリアサポーターは大喜びし、大合唱が始まった。逆にイタリアサポーターは審判に対するジャッジで大騒ぎだ。何度もVTRが流されたが、そのたびに「あの判定はなんだ。レッドカードではなく、イエローだ」と叫びながら頭を抱えながらも、「結局オレたちが勝つのさ」という自信がでている。ブランド×裸にペイント(=イタリア×オーストラリア)。この時点でも、イタリアの負ける要素は何もない気がした。


 その後、イタリアは2トップに切り替え、ゴールへの姿勢を出していた。オーストラリアは数的有利を生かし、攻め続けているのだが、シュートを放つまでにいたらない。前半から心理的な面で、攻め続けているはずのオーストラリアが不利になっている。イタリアと戦うチームは重圧を受けるものなのか。試合を見ていて感じた。選手たちは攻められていても焦るそぶりを一向に見せない。しかも、攻めさせていることを十分に認識しているうえに、余裕があった。これではオーストラリアにプレッシャーがかからないはずはない。時間の経過とともに、焦りの色がにじみ出ていた。


 サポーターたちは意外と静かだ。さすがにフットボール先進国で、歴史が長いだけのことはある。試合の内容に釘づけ。ブッフォンが好セーブを見せるたびに「チョイ悪オヤジ」たちのタバコにも火がつく。たまにサングラスの位置を気にしつつ、女性の顔をちらり。見られていることを知っている女性たちも、そのたびに髪をさわる。一体なんなのか、イタリアサポーター! 試合が大事なのか、自分たちの見た目が大事なのか。隣にいた、ドイツ人もその異様な雰囲気に少し戸惑いを見せていた。


トッティ


 いよいよ、イタリアの王子様が登場。FWトッティの準備がテレビで映されると、ファンが大騒ぎ。やはりイタリア国民のスター。ハリウッド俳優を見るかのような眼差し。本当に、トッティがピッチに表れるのを心待ちしていた。その後、トッティが登場に安心したのか、隣の「チョイ悪」軍団の一人はついに葉巻を吸い始めた。ここでも「チョイ悪」ぶりを発揮。ビールを片手に、夕日にあたる彼の様子は「ジローラモ」さんも顔負け。トッティが登場した瞬間、イタリアの勝ちを確信する不適な笑みを浮かべていた。


 トッティは代表のエースとしての働きを十分に見せていた。華麗なヒールパス、ロングパス、スルーパス。自分にDFを引き付けながら、まわりの選手を生かす。仕事がはっきりしていた。それに呼応するように、イタリア選手たちも攻撃の意識が高まった。明らかにオーストラリアのゴール前に行く回数が増えた。オーストラリアはさらに焦りの色を出していた。ヒディングは立ちっぱなし。何度攻めてもシュートが打てない状況に、嫌気がさしているようにも見えた。


イタリア勝利

 そして、フィナーレがやってきた。本当にこんなことがありえるのか。左サイドでボールを受けたDFのグロッソが一人を交わし、ペナルティエリアに侵入。カバーに入ったDFをさらに交わしにいった瞬間、足をかけられ、ピッチに倒れこむ。審判がペナルティスポットを指差した瞬間、イタリアサポーターから大歓喜がわきおこった。キッカーはもちろん、王子様トッティ。手を合わせて祈りながら、そのようすをジッと見つめていた。シュートが入った瞬間、試合も終了。シュートが入った喜びと、試合に勝利した喜びとが交じり合い、会場はイタリア化した。


チョイ悪オヤジ

 終わったあとの「チョイ悪オヤジ」はというと。サングラスをかけた4人の集団で井戸端会議をはじめていた。ベスト8の予想をしているのか、それとも自分たちのブランド自慢をしているのか。喜ぶ自国のサポーターを横に、怪しい怪しい話!?をずっと続けていた。とにかく、イタリア×ウクライナの試合もイタリア、いや「チョイ悪オヤジ」の様子から目が離せない。


 








コラム | 投稿者 木之下 潤 23:38 | コメント(3)| トラックバック(20)

6.25コラム  ブラジル人の見る目

■ベッカムの直接フリーキック一発で、イングランドがベスト8進出!


 決勝トーナメント1回戦も2日目。いよいよ、優勝候補の一角に推されているイングランドの登場だ。相手は南米の新鋭・エクアドル。どちらかといえば、個々の才能よりも組織力を重視するチーム。イングランドから考えれば、戦いやすい相手といえるだろう。


 イングランドはFWルーニーをワントップにすえ、MFキャリックをワンボランチに置いた変則的な4-5-1の布陣。一方、エクアドルは中盤が横並びになる従来とおりの4-4-2でスタートした。序盤はイングランドがMFランパード、ジェラードを中心にハーフウェイラインまでは細かくパスをつなぎ、スペースにボールを放り込むフットボールを展開。FWルーニーやMFベッカム、ジェラードが前線のスペースを生かしながらポストプレーを披露し、シュートチャンスを演出した。


 エクアドルは全体的なラインを下げながら、DFラインやキーパーからのロングボールを主体に、ツートップにボールを当ててこぼれ球をひろってシュートをねらう作戦。やはりイングランドの屈強なMF陣を前に、中盤での攻防は厳しいと読んだのか、決勝トーナメント1回戦に進んだチームにしてはさびしい限りだった。


 試合は両チームとも中盤を省略し、中長距離のパスを主に使って攻めるため、見応えのない試合となった。DFから相手DFの間をボールが行ったり来たり。チャンスらしいチャンスがなく、隣で見ていたブラジル人の老人は退屈そうにあくびをしていたほど。試合が終わるまで、ずっとこんな調子だった。


 試合結果は1-0でイングランドの勝利。60分過ぎにゴールから28mほどの距離で得たフリーキックをMFベッカムが決めた。さすがはプレースキックのスペシャリスト。どんなに試合展開がおもしろくなくても、彼のフリーキック一発で試合を決めてしまうあたりは役者が違う。このときばかりは、イングランドサポーターでほぼ埋まっていたスタジアム全体が割れんばかりの歓声につつまれた。


 それよりも隣で観戦していた5人のブラジル人。ブラジル人はパスを細かくまわさず、単純に放り込むだけのフットボールが嫌いらしい。この試合は10分過ぎから、試合そっちのけで、ずっとサンパウロやコリンチャンスの話題で盛り上がっていた。たまに2、3本の細かいパスがつながってチャンスが生まれると「ウウー!」と声をあげるが、それ以外はまったく反応なし。FWルーニーのドリブル突破だけは気に入ったようすで、やたらとルーニーのプレーに見入っていた。ラテン系の血が、細かいサンバのリズムが体に染み付いているからか、細かいパスまわしや小気味のいいドリブル突破しか楽しくないようだ。さすがはフットボール王国ブラジル。なんでもない老人でもフットボールを見る目が肥えている。優勝はどこだと思うと質問すると「今大会は全体的に実力が拮抗していて、優勝はどこかわからない。でもブラジルが少し頭ひとつ抜けているけどね(笑)」と笑顔で語っていた。







■退場者が続出。結果は辛くもポルトガルが勝利!


 今日の2戦目は注目の対決「オランダ×ポルトガル」。どちらもタレントがそろい、実力があるだけに、どんな試合展開になるのかが予想も立たない。ホテルのテレビで観戦していたのだが、たくさんの人が集まってきていたので、その注目の高さがうかがえた。


 オランダはFWファン・ニステルローイを外し、カイトをセンターフォワードにすえた4-3-3の布陣。ポルトガルはいつも通りの4-5-1のシステムでスタートした。序盤はポルトガルペース。特に、MFフィーゴの熟練された相手のタイミングを見透かしたドリブルに、オランダのDF陣は手を焼いていた。口で説明するのは難しいが、彼のドリブルは間合いで抜いていく。そのタイミングとかけひきは彼にしかできない、まさに職人の技だ。必ずDF2人を引きつけてパスやセンタリングをあげるため、オランダの守備が手薄になる。そこをMFデコがうまい具合に走りこんだり、パスを出したりしながらチャンスをつくっていた。


 一方、オランダはFWファン・ニステルローイがいないため、センターフォワードにクサビのボールがおさまらない。今日先発したFWカイトは運動量が武器で、ポストプレーヤーというよりはハードワーカータイプ。ボールをさばくよりも、自分からスペースへ走り込んでしまうためにクサビのボールがセンターに入らないので、ポルトガル側からいえば恐さを感じない攻めになっていた。ウイングのロッベンとファンペルシーの個人技頼みのところが大きく、変化のない単調な攻めになってしまった。


 ポルトガルは狭いスペースでプレーするのがとてもうまい。MFデコ、フィーゴ、C・ロナウドは相手にとっての小さい穴を見つけて、そこをドリブル突破したり、パスを出したりしてくる。24分の先制点も彼らの展開から生まれた。右スペースを抜け出したデコが、エンドライン際の手前でDFを十分に引きつけて横パスを流す。そこでペナルティエリアでFWパウレタがポストプレーでボールをキープし、飛び込んできたMFマニシェにやわらかいパスを送る。マニシェはDF1人をかわし、即座にシュート。ゴール右すみに決まった。


 これでオランダに火がついたのか。突然、オランダのポゼッションがよくなった。ポルトガルが少しひいたのも要因だが、DFからMF、MFからFWといった具合にしっかりボールをつなぐ意識が高くなった。その証拠に、35分過ぎのボール支配率はオランダ・60%×ポルトガル・40%と、断然オランダが上回っていた。途中でC・ロナウドにアクシデントがあった。これもひとつの要因かもしれない。C・ロナウドがいなくなったポルトガルの攻めは明らかにひとつの変化を失っていた。彼のドリブル突破と、思い切りのいいシュートはポルトガルのアクセントになっていたからだ。ボールがデコか、フィーゴかしか選択肢のないポルトガルは少し単調になっていた。


 さらにオランダに追い風が吹く。なんと、ポルトガルのMFコスティージャが2枚目のイエローカードを受けて退場になったのだ。人数で有利に立ったオランダは果敢に攻めたが、前半はここで試合終了。後半戦の展開が楽しみだ。


 後半に入ると、ポルトガルは守備的になり、オランダは数的有利を生かしてボールを支配した。しかし、体を張ったポルトガルを前に、オランダはなかなかシュートチャンスがつくれない。ファンボメルがミドルシュートを積極的に放ち、スペースをこじ開けようとするが、ポルトガルのうまさに意図通りの展開にならなかった。それ以降、試合は荒れた。全部でイエローカードが16枚も飛び出した。ポルトガル2人、オランダが2人と退場者を出す始末。ベスト8に進みたい気持ちが両チームとも前面に出ていた。自分たちが主導権を握ろうという意志があったし、イエローカードが多くはあったが、勝負どころでは必ず体を張って相手にペースを握らせまいと必死だった。


 そのままポルトガルが1-0でベスト8進出を決めた。両チームとも自分たちの持ち味を出していた。ポルトガルの老獪さ、オランダのパスワーク。荒れた試合も、フットボールをよく知っているからのように感じる。たぶん、日本であれば、こんな試合展開にはならない。一瞬のスキを見逃さなかったポルトガルのうまさを見習いたいところだ。決勝トーナメントも半分が終わり、明日から残り半分。イタリア、ブラジル、スペイン、フランスが登場する。ブラジルがどんな戦いを見せるのか、本当に楽しみはつきない。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:17 | コメント(0)| トラックバック(22)

6.24コラム  マッチレポート

■ドイツは順調に勝ちを決める!


 早速、決勝トーナメントの1回戦が行われた。まず登場したのは、ホスト国のドイツ。相手は予選グループでイングランドと引き分けた北欧の強豪国スウェーデンだ。大会前のドイツ国民の代表への期待度はとても低いものだった。しかし、日本戦を皮切りに、どんどん成長する代表への期待は膨らむばかり。ベスト8に進出できれば、ホスト国としてのワールドカップは成功だということが国民の大多数を占めていたが、現在は「優勝できるのでは?」という淡い期待も生まれてきている。果たして、今日の結果は…。


 ドイツはワンボランチの4-4-2というシステムでスタート。一方、スウェーデンは中盤をダイヤモンド型に配置した4-4-2の陣形で、ドイツとの戦いに臨んだ。序盤からドイツは積極的に攻撃を仕掛ける。中盤のフリングスとバラックを中心にボールをサイドへ展開。サイドの選手がしっかりとクローゼ、ポドルスキのツートップを起点にボールを集め、攻撃を組み立てる。スウェーデンはドイツの勢いに飲まれるようにボールを支配され、苦しい状況に。25分時点でのボール支配率がドイツ65% / スウェーデン39%と数字で示すように、一方的な試合になった。


 あっという間に先制点が生まれる。左サイドからトップのクローゼにクサビのボールが入る。すると、クローゼは3人のDFを相手に突破を見せる。シュートの手前でDFと交錯しながら倒れると、ボールがフォローに来たポドルスキの前にこぼれる。思い切ったシュートはみごとにゴールマウスに吸い込まれて、ドイツに待望の先制点が生まれた。歓喜に沸くスタジアム。割れんばかりの歓声が街中に響き渡った。


 これで完全に勢いにのったドイツ。前半のうちに試合を決めてしまうぐらいの勢いで、積極的に攻撃を仕掛ける。スウェーデンもイブラヒモビッチやラーションにボールを集めようとするが、ドイツDF陣の固い守備の前に歯がたたない状態。1対1の状況にも慌てず、しっかりと状況を見極めてスウェーデンの攻撃を遮断していく。中盤の選手たちの運動量も多く、完全に試合をリードしていた。


 守備陣から中盤の選手にボールをあずけ、トップの選手のポストプレーからサイド、ミドルシュートを積極的にねらう。この一体感のあるドイツのプレーは、今大会のチームのなかでも上位にランクされる。決して派手さはないが、堅実なプレーは相手チームにとっては嫌な存在だ。大会前はバラックが一人で気を吐く場面が多く見られたが、現在のチームは個々の選手で状況に応じたプレーを選択し、責任感をもっている。例えば、アルゼンチンのリケルメのように大黒柱となる選手がいない。選手の平均年齢は若いが、大人なチームへと変貌した。


 そして前半12分に追加点が生まれる。左サイドからペナルティエリア付近にいたクローゼにボールが渡る。そのままドリブルで真横に流れながらDF3枚を引き付けてスペースをつくった。その空いたスペースに、またもポドルスキが流れる。絶妙なタイミングでクローゼからポドルスキにパスが渡ると、左足を振りぬいた。ドイツ2点目。スペースをつくる動きがうまいクローゼと、スペースに入り込むタイミングがうまいポドルスキの見事なコンビネーション。なんと、ドイツが前半15分のうちに2点を先制してしまった。


 このあと、スウェーデンが戦う姿勢を前面に押し出しながら、なんとか攻撃に出る。しかし、ドイツはチーム全体で守る。まさに試合は一進一退の好ゲームになった。だが、ポイントをつかんでいたのは、ドイツだった。とにかく、積極的にミドルシュートを放つ。バラックやフリングスが小さいスキも見逃さない。この姿勢が効果的で、スウェーデンのDF陣の陣形を微妙に崩していたのだ。ミドルシュートとクサビのボールが入るタイミングがいいのが、ドイツが主導権を握れるポイント。本当に、スウェーデンはなす術がない状態だった。そうしている間に、スウェーデンはDFのルチックが退場。さらに苦しい状況に追い込まれた。前半は2-0のまま試合終了。ドイツの一方的な試合展開となった。


 後半に入ると、ドイツも落ち着いたのか、少しペースダウンをした。さすがにワールドカップの決勝トーナメントに勝ち上がるチームだ。スウェーデンはこのスキを見逃さず、ラーションが少しずつシュートを放ち、ペースをつかもうと動いてきた。52分に、そのラーションがペナルティエリア内で倒され、PKのチャンスをつかむ。キッカーはラーション。息をのんで見守るなか、蹴ったボールはゴールバーを大きく外れた。落ち込むスウェーデンサポーター。これで試合はほぼ決まってしまった。


歓喜のドイツ

 その後も堅い守備でシュートを打たせず、MF陣が攻守に走り回り、FW陣はボールをキープしてシュートチャンスにからむ。個々の選手がしっかりと自分の役割をまっとうし、スウェーデンを圧倒した。ボール支配率も62分の発表でドイツ62%×スウェーデン38%だったので、これからもドイツが完全にゲームを支配していたことがわかる。終始、ドイツペースで2-0の圧勝に終わった。


見守る警察

 街は大騒ぎだ。国旗を振り回し、勝利の歌をうたい、みんなでさけんでいる。この日ばかりは警察もただ見守るしかない。ドイツ国民の勝利はいつまで続くのか。ドイツ代表の快進撃はいつまで続くのか。フットボールの内容がいいだけに、楽しみなところ。ホスト国が勝ちあがるとワールドカップが盛り上がる。ベスト4ぐらいまで、ドイツが勝ちあがりそうな気配が少しずつしてきた。




■アルゼンチンの勝利で、今大会は強豪国が順調にコマを進める!


 その日は、夜「アルゼンチン×メキシコ」が行われた。結果は2-1で、アルゼンチンがベスト8にコマを進めた。しかし、延長戦にまでもつれこむ、大激戦。メキシコも粘った。南米大陸同士の戦いは、まさに個人技の勝負となった。両チームともしっかりつなぐのだが、最後の突破をはかるのは個人技。ブラジルもそうだが、南米のチームは1対1の連続がチームとしての戦いにつながっていることを理解している。個人の判断がしっかりしている。1試合目のドイツとは別の意味で大人な両チーム。個が主役で、まわりが個の判断を尊重する。チームの決まりごとは、個の判断の「二の次」。


 この試合を見ていて、日本代表のことを考えてしまった。個々の選手がしっかりと状況に応じて自分の判断でプレーできれば、ワールドカップでも戦えるチームへと変貌するはずなのに。そんな気持ちになってしまった。個の判断とプレーがどれだけ大事か。ジーコも常々そのようなことをいっていた。ピッチ上で起こるすべてのことは、選手の判断の元にプレーされなければならない。日本の選手たちはどうしてもマニュアルにたより、自己の創造性を発揮しようとなしない。1対1の連続がチームプレーにつながる。日本は…チームプレーのなかに1対1が存在する。これでは、勝てない。この試合を見て、そう感じてしまった。日本のよいところに頼るのはいいが、最終的なプレーの判断は自分。これを忘れてはいけない。


 今大会は順調に強豪国が勝ち名乗りをあげている。明後日からの残りの決勝トーナメント1回戦が待ち遠しい。イングランド、ブラジル、ガーナ、イタリア、すべての国に優勝のチャンスがある今大会。一体どこの国が優勝カップを手にするのだろうか。
コラム | 投稿者 木之下 潤 20:01 | コメント(0)| トラックバック(3)

6.23コラム  これから日本は…

■底辺とトップのベクトルが同じ方向に向かうこと


 代表が合宿地のボンを出発し、完全に日本のワールドカップ・ドイツ大会が終わりを告げた。これから日本フットボールはどういう道のりを進んでいくのか。先日、こちらで某新聞社の通信員をしている知り合いの人と話をした。


 日本代表と世界との差は何なのか。彼と私の意見が共通していたのは、底辺レベルのフットボールの違いだった。ドイツフットボールは1996年の欧州選手権で失敗をした。それを糧に、協会が代表の理想とするフットボールを掲げて、底辺レベルでも同じ考えやシステムの指導を一環して行うようになったという。それのひとつの形が、今回のドイツ代表のスタイルだ。確かに、今大会のドイツ代表は今までにないスタイルを見せている。まず4バックをしいて、中盤でしっかりとボールをまわし、最後は高さといったフィジカルの強さを生かしてドイツの特徴を出している。


 では、「現在の日本のスタイルは?」と問われたら、県の協会によって打ち出しているフットボールスタイルが異なっていたり、方向性もないような協会もあったりとバラバラだろう。日本には、スタイルがない。こちらにきて思ったが、街でフットボールをしている人たちは、おぼろげながらその国の代表のスタイルを垣間見ることができる。もちろんやっている人たちの年齢はバラバラだし、レベルも違う。しかし、パスやドリブルをしかけるタイミング、しっかりと体を張ってディフェンスをするところ。すべてが代表につながっている。やはり、どんなスポーツも底辺レベルの拡大とシステムが大切だ。


 彼はこちらで子どもたちの指導もしている。練習は週2回で時間は約1時間半。日本では1時間半の練習時間が少ないと感じるが、こちらでは集中力のない状態で練習をしてもムダなのでしないそうだ。週1回は試合があり、地方のリーグ戦や小さな大会をして、トップリーグと変わらない日程とシステムのなかで試合をこなすそうだ。そのあたりでも、日本は下部組織とJリーグで大きく異なる。こちらでは、子どもでもリーグの重要性や集中力の続かない練習はムダだと理解している。それにトレセンのメンバーに選ばれている選手などは代表と同じように、地元のクラブとトレセンの練習を平行しながら試合も行う。そういう点から、すでに代表顔負けの日々を過ごしているのだ。


 日本でも、底辺レベルの子どもたちからリーグ戦のシステムをしっかりと導入し、その日程に合わせて、練習メニューを組んでいけばいいのではないか。協会が日本のフットボールスタイルを打ち出し「日本フットボールはこうだ」と指し示せば、いい方向に進む気はする。少し閉鎖的な日本社会においては難しいことが多い。しかし、どこの国の協会もそれほどの責任と将来を背負って仕事をしている。日本はどこか、代表監督任せのところが多い気がする。まずはそこを変えるところから。すべては、そこがスタートのような気がする。彼も各国の小さいクラブと試合をするが、結局その国の代表のスタイルにつながっていると感じると語っていた。


 2010年のワールドカップで、今大会示すことができなかった日本のスタイルを世界に見せてほしい。まずは底辺レベルから変えていくこと。失敗を糧に、これからの日本代表が変わることに期待したい。




コラム | 投稿者 木之下 潤 22:31 | コメント(4)| トラックバック(34)

6.22コラム  日本代表が得たものとは…

■日本人サポーター、必死のチケット購入!


ドルトムント

 朝から街の空気がそわそわしている。日本とブラジルの両国のサポーターにとっては予選グループも最終戦を迎えるとあって、テンションがあがっていた。ブラジル人はラテン系の血がさわぐのか、それとも日本に負けるわけがないと思っているのか、みんな陽気だ。日本人サポーターも「今日は勝つ!」という意気込みがこれまで以上に感じられた。気合いが入っている。その微妙な空気が入り混じり、そわそわした雰囲気が街に漂っていた。


 こちらにきて感じたことがだが、ブラジル戦はとても人気がある。ブラジルと対戦する国以外の人々もブラジル戦のチケットをほしがっている。メンバーを見たら、そうだろう。彼らのフットボールを見たくない人はいない。駅に出れば、ダフ屋がゴロゴロしている。さすがに、今日は「I need a ticket! Japan×Brazil」と書いた日本人サポーターをたくさん目にする。チケットを手に入れようと必死だ。今日の値段はカテゴリー1で250ユーロ。日本円にして約4万円といったところ。それでも買っている人がたくさんいた。朝からチケット購入のために活動していたので、長い人では6時間以上もかけて運命の一戦をスタジアムで見るために、駅の構内で多くの日本人サポーターが奔走していた。

 スタジアムまで約3.4㎞。友人4人と歩いて向かうことにした。ブラジル人はサンバのリズムを奏でながら踊っている。彼らは本当に陽気だ。ラッパや太鼓をたたき、騒いでいる。スタジアムまでの道のりの半分は、サポーターで埋め尽くされていた。やはりワールドカップは普通の大会ではない。ドイツ国民や、警察は本当に大変だろう。日韓大会のときは、街でこんな状態に出くわすことなどなかった。これが、フットボール先進国で行われるワールドカップ。そんな光景が街のいたるところで広がっていた。





■先制点をあげるも、自分たちのペースで試合を運べない


 スタジアムのなかに入ると、すでに選手たちがアップをしていた。サポーターの数はブラジルサポーター側にいたので、数えにくい点があったが、半々といったところ。ブラジルサポーターの黄色ばかりが目に入ってくる。よく考えてみれば、日本人サポーターはあんなに苦労してチケットを手にしていたのに、ブラジルサポーターはなぜこれだけ多くのチケットをもっているのだろう。不思議だった。


 そんなことを思っていると、選手たちのアップが終わり、スターティングメンバーが発表され、国歌が流れた。30年生きているが、「君が代」がこんなに自分自身の胸に刻まれた日はないだろう。日本人であることの誇りと、ワールドカップという大舞台で王者ブラジルと戦える喜び。日本人サポーターと選手から「絶対に勝つんだ」という強い念を感じることができた。日本は川口、加地、坪井、中澤、三都主、小笠原、稲本、中田英、中村、玉田、巻の11人。ジーコはメンバーを変更してきた。このメンバーに驚きはないが、ブラジル代表のメンバーには驚きはあった。それは、予選突破が決定していた強豪国は主力組を外すなか、ブラジル代表はロナウジーニョ、カカ、ロナウドといったメンバーを日本戦で起用してきた。日本にとっては、本気のブラジルを倒す、またとない機会にめぐまれた。


 前半はここまで互角に渡り合えるのかと関心するほど、日本代表の選手たちはよく動いてチーム内で連係をはかっていた。ブラジル代表の「個のテクニック」には手を焼く場面が見られたが、連携でよく守備をしていた。体を張って、ブラジルの攻撃を止めていた。全員から勝利への闘志がうかがえた。特に、小笠原と中田英と稲本からは気迫が感じられた。前半、彼ら3人を中心に攻撃と守備が展開されていた。日本はサイドから攻撃を仕掛けていた。昨年のコンフェデレーションズカップでもブラジルを相手に、サイドから何度も突破している。特に、加地は大胆なオーバーラップを見せて、右サイドからチャンスをつくっていた。


 ブラジルはロビーニョが生き生きと動いていた。ロナウドと連係をはかり、得意のドリブルで自慢の攻撃力を存分に発揮。坪井や中澤は、彼のテクニックに手を焼いていた。日本でも大人気のロナウジーニョは、本領発揮とまではいかないまでも、中盤や前線でパスをさばいてゲームをしっかりコントロールしてチームに貢献していた。明らかに、「決勝トーナメントからエンジンがかかるんだろうな」というのを感じさせる動きだった。が、それでも日本代表の選手たちをそれぐらいの力で軽くいなしていた。


 ずっと勤勉に動き回っていた日本に、最初のチャンスがおとずれる。左サイドの三都主がボールをもつと、DFの裏のスペースをついて走っていた玉田にスルーパスをくりだした。玉田がうまく流れ込んで放ったシュートが、みごとにブラジルゴールにすいこまれた。日本先制。日本にとっては、シナリオどおりの展開だ。ブラジルサポーターからは一瞬言葉がなくなった。太鼓やラッパの音が消えてしまった。それほどの驚きだった。これ以降、ブラジルは尻に火がついたように怒涛の攻撃を見せる。中田英を中心に必死に守り抜いていたが、前半のロスタイムに、ここまでノーゴールとブラジル国民に非難を浴びていたロナウドに、待望の先制ゴールが飛び出す。苦し紛れにあげたセンタリングの折り返したボールを、不得意のヘディングでシュートを決めたのだ。その瞬間、ブラジルサポーターの歓喜の声と楽器が鳴り響く。たった30秒守りきるだけで、後半をリードした状態で迎えられたのに。そんな想いが胸いっぱいにひろがった。


 ここが今大会の日本の悪い癖である。守りに入ると、急に気持ちとプレーの間にギャップが生まれてしまう。その影響で体と心のバランスを崩した状態で、プレーをせざる得ない状況だった。プレッシャーに弱い日本。いつのまにか、心のなかにそんな言葉が刻まれていた。それに事実、先制点をあげると動き出しが悪くなり、自分たちのペースがくずれる傾向にあった。そのまま、ハーフタイム。最悪の終わり方だ。


 ジーコの気持ちを察するに、1-0のまま後半へ進みたかったに違いない。いくらブラジルとはいえ、連係プレーで粘り強く守備をしてくる日本に嫌なイメージをもっているように感じていたからだ。あのまま後半へ突入すれば、はじまってすぐか、終了間際ぐらいに追加点を加えて2-0で勝つシナリオができていた。しかし、ここがフットボール王国たる由縁なのだろう。しっかりと前半のロスタイムに同点までもっていける強さを備えている。さすがだ。




■怒涛のゴールラッシュで4-1という実力通りの結果に…


 後半がはじまってから、日本はブラジルに攻撃されっぱなしだった。ロビーニョ、ロナウジーニョ、カカ、ロナウド、それにジュニューニョ・ベルナンプカーノがボールを素早くまわすうえに、個人技をうまくつかってくる。中盤からうしろの選手たちは守備で後手にまわっていた。そうこうするうちに、ロナウド、ジュニーニョ、ロビーニョにゴールが生まれる。あっという間に、4-1になってしまった。日本とブラジルとの間には、決定的な仕事をできるか、できないかの大きな差があった。いつのかにか、日本代表の選手たちの間で声がなくなっていた。守備に走らされ、体力が落ち、冷静な判断力がなくなり、指示を出すことができない。ただ、ただ、守備をして体力を消耗していく。サポーターの間にも「早く終わってほしい!」。そんな空気が流れていた。


 2列目でボールをもてない中村が、ボランチの位置まで下がってボールをさわる。すると、オーストラリア戦同様に中田英が窮屈そうにプレーし、走り役に徹してどんどんと体力がそがれていく。まさに、悪循環のくり返しだった。後半から登場した中田浩も守備はがんばっていたが、攻撃では効果的なプレーができない。点数を奪って決勝トーナメントにあがりたいはずの日本に、ゴールを奪いにいく姿勢が見られなくなっていた。それほどブラジルの攻撃は迫力があり、結果をしっかり出して、相手チームに精神的なダメージを与えられる。そんなフットボールを実践していた。長い間、勝ち続けると自然と、実践できてしまっているのだろう。ブラジル代表の選手たちは、本当に試合巧者だった。ついに試合終了のホイッスルがなった。


 呆然となった。こんなに悔しい想いを久しぶりに体験した。それも自分以外のことで。中田英がピッチの中央で「大の字」になって倒れこんでいた。それを見た瞬間、少し涙があふれてきた。理由はわからない。ほかの選手はサポーターにあいさつをすませたあと、ピッチを引き上げていくのに、彼だけは少しも動く気配がなかった。きっと、相当な想いでドイツのピッチを踏んでいたに違いない。不完全燃焼で終わった今大会が「後悔」の二文字で心を占拠していたのではないか。彼は静かに立ち上がり、サポーターにあいさつをして、ピッチをあとにした。


 先日、私がいったことは何一つ実現されなかった。今大会は日本フットボールにとって基盤となる大会であった。日本フットボールの方向性を世界に示し、2010年のワールドカップにつながるはずだった。またトルシエ時代、ジーコ就任当初の方向性のない時代へ逆戻りだ。また、日本のフットボールスタイルの方向性から選手たちは探さなければならない。日本フットボール協会は現状を理解しているのか。監督以前の問題で、日本のフットボールスタイルがどういうものかを示すのが先だ。それを突き詰めて、はじめてトップ10入り、そして強豪国の仲間入りをする。韓国はすでに韓国フットボールスタイルを世界に示している。日本は…。選手、スタッフ、サポーター、すべての人にとってドイツ大会とは何であったのかを問いたい。少なくとも、私にはまだその答えがわからない。これから決勝トーナメントがはじまり、優勝チームが決まって、大会が終了したあとに、日本フットボールと比較して答えがみつかるのかもしれない。私自身、しっかりと今大会のなかで日本フットボールの将来を考えてみたいと思う。





コラム | 投稿者 木之下 潤 02:06 | コメント(3)| トラックバック(9)

6.21コラム  運命の一戦、前夜

■ハイレベルな強豪国同士の戦い!


 予選グループで最大のカードがある。オランダ×アルゼンチン。今日は夜9時からその試合が行われる。この試合だけはテレビではなく、大きなビジョンと人々の様子がわかる場所で見ることを決めていた。もちろん、ドルトムントの街で一番大きなビジョンがある、ファンフェスタである。私は1時間前から会場入りし、注目の一戦を楽しみに待った。


注目の戦い!アルゼンチン vs オランダ



 会場のなかはたくさんの国の人々でいっぱいだった。オランダやアルゼンチンのサポーターはもちろん、ブラジルやメキシコ、ドイツ、クロアチア、さまざまな国の人で埋めつくされていた。両国の国歌が流れ、いよいよ、両国のスターティングメンバーが発表された。オランダは伝統の4-3-3でスタート。メンバーは予選突破を決めているのもあり、ロッベンといった主力を温存している。またアルゼンチンは4-4-2のシステムで、クレスポなどのレギュラーは外していた。予選突破を決めている両国は、完全に決勝トーナメントをにらんでの戦いをしようということがはっきりしていた。


フォーメーション


 試合がはじまった。両チームとも自分たちのペースとスタイルをしっかりとたもつ。相手のフットボールに合わせようなどとは全く頭になかった。強豪国のオランダとアルゼンチンが、である。オランダはボールを常にツータッチ以内で放しながら全員がボールをさわっている。クサビやスペースを使いながら攻撃のきっかけを待っている。一方、アルゼンチンはリケルメにボールをあずけて、まわりの人間がスペースに走りこんだり、クサビを受けながらシュートチャンスをうかがっていた。試合をしていると、将棋の名人の対局を見ているようだった。しっかり守りを意識しながら、自分たちのペースで攻める。名人の対決ともなれば、大きな動きはないが、細かい戦略や1対1の勝負が見え隠れする。まさにピッチがそんな状態になっていた。

 
 シュートをうったり、コーナーキックになったりと、ゴールチャンスはあるものの一人一人が落ち着いた対応を見せている。連係プレーで攻撃を仕掛けても、個がしっかりしているから崩れない。とにかく守りが堅い。オランダは両ウイングのファンペルシとカイトにボールを集め、アルゼンチンはリケルメを中心にチャンスを演出。両チームとも、高い集中力をもっていたため、ミスが少なく、緊張感のある内容の濃いフットボールをしていた。


 試合は0-0で終了をしたが、両チームの監督は納得していた。これだけレベルの高い争いをしていると、引き分けが頭にあったのか、別のねらいがしっかり実行されて納得していたのか。次の決勝トーナメントのことしか頭にないような、そんな顔をしていた。




■自分たちが主張していくもの…

 
 この試合を見て、日本も自分たちのペースでゲームを展開できるだろうかと感じた。この大会を見て思ったのは、強豪国であればあるほど自分たちのペースで試合を進める。日本はカウンターねらいにしてみたりと、相手のペースに合わせて試合をしようとする。そんなことができる実力があるわけではないのに…。主導権を握ることがどんなに大切なことかを「オランダ×アルゼンチン」に見ることができた。とにかく、自分たちの国の色を見せる。なんだかフットボールの話ではないのかもしれない。自分たちの主張が先、プレーが先、スタイルが先、すべてが自分たち中心。世界王者のブラジルを相手に、日本はそうなりきれるだろうか。


 しかし、そうなってもらわないと明日は勝てない。アウェイの地で一勝もあげることができず、このまま帰れない。攻撃こそ最大の防御。フィジカルが弱い、1対1が弱いなら、スペインのように、オランダやアルゼンチンにように、自分たちのペースでひたすら攻め続けようといいたい。フットボールはゴールを入れあうスポーツ。得点を決めなければ、一生勝てない。ゴールを奪いにいってこそ、見えてくるものがたくさんある。チャレンジしなければ何もみえない。


 このまま帰国してしまったら、日本が得るものは何もない。この4年間はむだに終わる。また日本フットボールのスタイルを探すところから、ジーコが監督に就任してからの時代に逆戻りだ。もう何年、こんな時間のすごし方をしているだろう。日本のスタイル、意地、プライド、サムライ魂、何でもいいから「日本」と呼べるものをドイツの地に残してほしい。世界中の人たちに見せてほしい。とにかく、自分たちのフットボールを…。ボールと人が流動的に動く、ドイツ戦のような自分たちのフットボールを!

コラム | 投稿者 木之下 潤 19:36 | コメント(1)| トラックバック(1)

6.20コラム  強豪国は順調に勝ち上がり!

■ドイツは1位でグループリーグ突破を決める!


ドイツサポーター

 ドイツが予選最後の試合を迎えていた。相手はエクアドル。ファンフェスタの近くのホテルにいたので、会場まで足を運んでみた。さすがにホスト国。試合前から会場が割れんばかりの応援で、最高潮の盛り上がりを見せていた。ドイツはすでに予選を突破しているが、順位次第で決勝トーナメント1回戦の相手が決まってくるので重要な試合だ。


 今回のドイツは、これまでになく内容のある試合をしている。ドイツといえば、トップに身長の高い選手を入れて、彼らの高さを生かすスタイルが伝統だった。しかし、今大会はサイド攻撃とポストプレーをうまく融合させた、現代的なフットボールをしている。ポイントとなっている選手は2人の若手だ。FWのポドルスキとMFのシュバインシュタイガー。彼らはドイツ人に似合わないテクニックを備え、ドイツの攻撃にアクセントを加えている。ポドルスキの足元のテクニックと多彩なキックは、相手の守備陣に嫌な印象を与える。例えば、今までのドイツ人であれば、フィジカルを抑えたらボールを奪えたのに彼にはテクニックがあるため、ボールを奪えないうえにチャンスをつくられてしまう。シュバインシュタイガーは、右サイドで積極的にドリブル突破を仕掛けてチャンスをつくり、しっかりと守備もしている。ポジションにこだわることなく、自由に動く彼の存在は対戦相手にとって嫌な存在だ。彼らをバラックやシュナイダーがサポートし、自由に働かせているのが予選突破の最大の要因だろう。おまけにベテラン選手たちが、決定的な仕事をするために勢いと抜け目なさの両方をもっている。昨日の試合も、ドイツが最初から最後まで淡々とゲームを進めて3-0で勝利を収めた。ホスト国だから有利な点は多いが、それを差し引いてもなかなかのチームであることには間違いない。


■イングランドはルーニーが不発で、2-2のドロー!


 昨日のメインは「イングランド×スウェーデン」だった。イングランドは2連勝、スウェーデンは1勝1分で両チームともほぼ予選通過は間違いない。それでも、1位通過と2位通過では、今回のドイツ大会では大きく差がある。それは順当に強豪国が勝ちあがっているからだ。イングランドは予選ではじめてルーニーを先発させた。エリクソン監督もすでに決勝トーナメント1回戦をにらんでいるようで、エースのルーニーの調子をあげたいのが、ねらいだった。開始早々、オーウェンが足を痛めて退場してしまった。代わりに入ったのは、身長2mのクラウチ。ここからゲームプランがくるったように感じる。長身選手が入ったことで、細かくパスをつなぐはずだったのが、ロングボール一辺倒になってしまった。中盤にはジョー・コール、ランパードといったパスをつなげる選手がいるにもかかわらず、いきなりクラウチにボールが渡ってしまう。ルーニーも足元にパスがこないと自分のよさが出ないことを知っている。彼の魅力はドリブル突破だし、意外な場所から放つ強烈なシュートだ。はじめはパスをまわそうという意志が見られたが、ロングボールで早く相手陣内にボールを入れるイングランドスタイル一色となっていった。


 唯一の救いは、左サイドのコンビ。サイドバックのアシュリー・コールとサイドハーフのジョー・コールだ。彼らは所属チームで細かいパスをまわしたり、コンビネーションで攻撃や守備をすることに慣れている。どちらかといえば、イングランド代表のなかでは異色の選手かもしれない。イングランド代表選手たちもそれを理解しているのか、自然に左サイドにボールをまわしてくる。明らかに、彼らは代表の中心だった。アシュリー・コールがジョー・コールにボールをあずける、それからボールをキープしつつオーバーラップのタイミングを待つ。オーバーラップ後はおとりに使うか、パスを出すかがはっきりしていてサイド攻撃のお手本のようなコンビネーションを見せていた。ジョー・コールは得意のドリブルをキープと突破の両方で有効的に活用していた。昔は無謀な仕掛けをくり返して、チームに迷惑をかけていた印象が強かったが、今はそんなことは全くない。不動の左サイドハーフとして自信満々にプレーしていた。前半34分の先制点も、彼のみごとなシュートから生まれたもの。チームへの貢献度でいえば、右サイドのベッカムよりは確実に高かった。


 だが、決勝トーナメントは厳しいだろう。ボールがまわらない。というか、パスをまわすスタイルをイングランド人は知らない。あのドイツでさえもしっかりとボールをまわしているのに。ロングボールを放り込み、ゴールをねらうスタイルではブラジルやアルゼンチン、ドイツやオランダ…強豪国には通じない。結局、試合も2-2のドローだったのだが、スウェーデンの方がパスをまわしていたし、いいフットボールを実践していた。勢いだけで倒せるチームはいいが、決勝トーナメントからはうまくいかないだろう。早めに、エリクソンが手を打って試合の進め方をチームとして確立しないと、優勝はなかなか厳しい。ジョー・コール、スティーブン・ジェラード、ベッカム、ランパード…彼らの才能が宝の持ち腐れにならないことを祈るばかりだ。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:30 | コメント(1)| トラックバック(10)

6.19コラム  スペイン代表のスペクタクルなゲーム

■トンカツ定食、最高!



 今大会でスペイン代表の試合をはじめて観戦した。もともと、リーガ好きのバルサファン。スペインのフットボールについては、他国のフットボール事情よりも詳しかったりする。というよりバルサだけかもしれないが…。それでも、ここ2年ほどリーガの試合は見ていない。仕事が忙しかったからだ。本当に、久しぶりに見るスペイン代表の試合に期待をしていた。


ローテンブルグ-ドルトムント

 その前に少し余談になるが、先日はこちらで知り合った友人と、日本料理を食べにいった。さすがに、こちらの生活を半月も続けると、日本食が恋しくなる。今日はローテンブルグからドルトムントへの移動日で、ちょうどフランクフルトで乗換えがあったため、日本食を出してくれる定食屋に足を運んでトンカツ定食を食べた。味は、欧州の人に味覚を合わせているので日本で食べるものと少し違う点があるが、ごはんに味噌汁、トンカツ、漬物、豆腐のまわし食べが「こんなにいいもの」だとは気づかなかった。生活スタイルは合わせることができても、さすがに食生活だけは短い生活で合わせることは難しいようだ。それに、体が一番正直だ。胃がこちらのかたいパン、ハム、チーズの組み合わせを受けつけず、拒絶反応をしめしていた。昨日ほど、自分が日本人だと認識したことはなかった。トンカツ定食を食べ終えると、不思議と元気が沸いてくる。食べものそのもの以上に、精神的なストレスが加わっていたのだろうか。夜食べたパスタもすごくおいしく感じた。「ああ、日本人でよかった。日本人、最高!」。




■ノンストップ! スパニッシュラッシュ!


 話をスペイン代表に戻すが、ラウルを先発から外すほど、現在のスペインはタレントが豊富である。それに、リーガで見せているような攻撃的なスタイルを、そのまま代表でも見せているようで、システムを4-3-3にしていた。スペインといえば、代表に関しては4-4-2で攻守のバランスを重視する傾向があり、監督によっては守備重視のときもあった。リーガと代表のスタイルがまったく一致しない、強豪国のなかではめずらしい部類の国であった。しかし、今大会のスペインは違う。世代交代を進め、若い攻撃的な選手をガンガン並べている。「だれが守備をするの?」と、こちらが心配したくなるほど。平均年齢は約24歳前後だと思う。まるで、2002年の日韓大会での日本代表を見ているような爽快感が漂っていた。


 実際に試合がはじまると、「すごい」のひと言だった。前線からノンストップで休むことなくプレッシャーをかけ続け、ボールを奪ったらシュートまで持ち込む。永遠に前半はそれを繰り返していた。これだけ読むと、「どこがすごいの?」と感じるだろう。例えば、バスケットボールの選手が第4クオーターまで一度も休むことなく、試合を続けているようなもの。もっといえば、マラソン選手が42.195㎞を4・5回分ぶっつづけで走るようなものだ。それぐらいペースを考えずに、走ってパスをまわして、攻撃をして、守備をして、を繰り返していた。それに、ゲームがきちんと成立していた。中盤のシャビ・アロンソとシャビを中心に2タッチのパスをこまかくまわし、前線のフェルナンド・トーレスとビジャ、ルイス・ガルシアにクサビのボールを配給する。そのあとはスルーパスあり、オーバーラップあり、中央突破ありと攻撃のバリエーションが豊富で、見ているほうが圧倒されるほど。とにかく、相手のペナルティエリア付近から積極的に守備をして攻撃をする。ゴールを目指すことしか、彼らの頭には目標がなかった。リーガは3点とられて試合が負けていても、1点をとりにいく。お客さんも1点を奪いにいく姿勢を見せないと評価しない。そういうスタイルなのだが、代表もそのままの試合を実践していたのが、すごく新鮮だった。


 しかし、先制点はチュニジアがとった。カウンターを鮮やかに決めた。これで、少し試合が落ち着くかと思ったが、それまで以上に、攻めに転じたスペインは本当に圧巻だった。もともと、スペインは連邦国家。いろんな人種が集まってできている。クラブチームのレベルで見ると、いいチームが多いのだが、代表になると人種や部族が違うために、統一性のない普通のチームになりさがる傾向があった。しかし、今のニュージェネレーションの選手たちは、海外リーグに所属している選手が多く、母国を意識することが代表でしかないため、よけいに気持ちがこもっているようだ。それが見事にうまくはまり、一体感が生まれている。


 フットボールのパターンは、本当に基本的なことだけ。パス&ラン、2タッチ以内でボールを簡単にはたく、ボールをうばわれた瞬間から守備をする、この3点だけだった。だが、これだけレベルの高い選手たちが基本的なことをしっかり守りながら、あとは創造性を合わせるだけ。試合自体は想像もつかないほどおもしろいものになっていた。結局、前半は0-1のままで試合を終えたのだが、スペイン代表は負けるなどみじんも感じていなかった。


■後半はラウル効果で3-1と大勝! 


 後半に入り、いよいよラウルの登場。彼が入ると、試合がしまる。若い選手の勢いに、彼の経験と抜け目なさが加わり、点数のにおいがぷんぷんしていた。案の定、開始5分程度でラウルがゴールポストのはね返りを流し込んで先制点をあげた。ラウルが完全に試合をコントロールしていた。少しタメをつくり、左右にパスをちらし、前線の選手たちのスペースをうめる。彼は本来ゴールゲッターで、スペイン代表の歴代ゴール記録のトップを走る選手である。こんな仕事をするような選手ではないのに、ベテランというポジションでしっかりと若い選手たちのフォローにまわっていた。こんな偉大な選手がバックアップしてくれるのだから、若い選手が頑張らないわけがない。しっかり責任感をもってプレーをしていた。ラウルと同様に、後半から登場した右サイドのホアキンと中盤のセスクも、前半の勢いをきらないようにリズムにのってプレーをしていた。


 試合は3-1でスペインの圧勝。残り2点をとったのはスペインの若きエース、フェルナンド・トーレスだった。彼は現代フットボールを象徴するような選手で、世界でもトップ5に入るであろう選手だ。高さとフィジカルにめぐまれ、足もとがうまく、連係プレーの中心として働け、決定力が高い。それに、なによりも気持ちが強く、負けん気がある。これは思いのほか大きい。ディフェンスとの細かいかけひきをする際、負けん気の強さで精神的に優位に立てる場合があるからだ。2点目のDFの裏に抜けてワンタッチで入れたゴールも、PKを決めたゴールもすべて気持ちがこもっていた。ブラジルのアドリアーノ、スウェーデンのイブラヒモビッチと並ぶ、次世代のエース候補のなかに間違いなく入る逸材だ。


 一度、スペインの試合を見ることをおすすめする。フットボールってこんなに速くておもしろいものだったんだと感じられるだろう。今大会の優勝は難しいと思うが、センセーションを起こすことは間違いない。もしかしたら、韓国との再戦、ブラジルと試合をすることになるかも…そうなったら、また私の眠れない日々がつづく。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:50 | コメント(0)| トラックバック(16)

6.18コラム  灼熱のスタジアムのなかで…

■静かな一日のはじまり


ニュルンベルグ

 朝、9時にホテルを出た。ローテンブルグから試合会場のある街、ニュルンベルグまで約1時間半。電車に乗り込むと、第1戦のオーストラリア戦を一緒に観戦した友人にばったりと出会った。彼とは今日のクロアチア戦の話や、他国の試合の話で盛り上がった。特に、ガーナはすごくいいチームだったことで。4日の韓国との親善試合のレポートでも書いたが、みんな絶賛していた。電車のなかには、日本とクロアチアのサポーターがたくさんいたが、オーストラリア戦よりは比較的静かで落ち着いた空気が流れていた。今日はチケットをもっていなかったが、スタジアムの雰囲気を知りたくて、試合会場まで足を運ぶことにした。まだ開場されてなく、多くのサポーターがゲートの前で応援していたり、休んでいたり、フットボールをして遊んだりしていた。ファンフェスタで試合を見るつもりだったため、チケットは買うつもりがなかったが、念のためチケットの値段をダフ屋に聞いてみることにした。すると、「250ユーロ」。日本円にして約3万円程度。カテゴリー1だといっていたので、約2.5倍ほどの値段がついていた。これが安いのか、高いのかは、買った人が価値を決めることなのでコメントは控えよう。それぞれで少し考えてみると、母国の試合のスタジアムに入るための価値が分かるだろう。


日本サポーター

 ゲート前で友人と話をしていると、テレビや新聞社の関係者がやってきて、取材をはじめた。取材対象となるのは、目立った格好をしている人。例えば、鎧を着ている人やボールの気ぐるみを着ている人、カップルでブルーの浴衣を着ている人など、テレビ栄えする人たち。彼らは、クロアチアサポーターにも人気があり、カメラのフラッシュをかなり浴びていた。鎧を着ている2人組は盛り上がりすぎて、クロアチア人に相撲までとらされていた始末。これも国際交流のひとつなので、よしとしよう。でも、まわりで見ていた人は、かなり腹を抱えて笑っていた。なんだか、試合開始前に両国の間で笑顔が出ていたことに、友人と少し拍子抜けしながら「のどかだー」と目を合わせてしまった。



■ファンフェスタはクロアチアサポーターで一色!



 そろそろ、開場時間も迫ろうとしていたので、ファンフェスタの会場へ移動することにした。スタジアムの駅からひとつ前にある駅で、距離にして500mほど。大きな池の隣にあり、たくさんの人たちがのんびりビールを飲みながら試合開始のホイッスルを待っていた。ファンフェスタや試合会場周辺に行くと、たくさんの企業が宣伝のために試供品を配っている。例えば、タバコやジュース、水、チョコなど。やはりワールドカップのような大きなイベントでは、宣伝効果が高いのだろう。配っている数は、想像できないほどだ。


クロアチアサポーター

 なかに入ると、ほとんどクロアチアサポーターで一色だった。お腹がすいたのでクレープを口にほおばりながら、日本人サポーターがでてくるのを待っていた。しかし、姿をあらわす気配がまったくない。仕方ないので、会場の中央のアスファルトで座っていると、2人の子どもがストリートフットボールをはじめた。すると、クロアチアサポーターの大人2人が一緒にプレーをはじめた。子どもはドイツ人だと思うが、今までみたなかでは上手な方で、大人を相手になかなかいいプレーを見せていた。両国ともフットボールが国技といえるほど盛んであることがプレーを見ただけでわかるほど、日本人の素人とはレベルが違う。そのようすを見て、うらやましく思いながらスクリーンの方へ目を向けると、イベントが行われていた。スクリーンの隣にあるステージでは、クロアチアのバンドが陽気な音楽を奏でている。その音につられるように、クロアチアサポーターがますます元気になっていった。


 いよいよ、試合開始という時間になり、日本人の顔がちらほらと見つけられるようになった。それでも、3千人ほどのなかで200人といったところ。応援でいえば、完全にクロアチアサポーターに圧倒されっぱなし。唯一の救いは、ドイツ人が日本の応援をしてくれたこと。ドイツ人は日本人に好意的で、どこの会場へ行っても日本の応援をしてくれる。本当にドイツ様々である。



■前半は一進一退の好ゲーム


日本メンバー

 両チームのスターティングメンバーが発表になった。日本のメンバーは、川口、加地、宮本、中澤、三都主、小笠原、中田英、福西、中村、高原、柳沢の11人。練習どおりのメンバーだ。クロアチアは3-5-2でメンバーはブラジル戦と同じ。戦術もカウンターねらいといった様子で、ほぼ変わりないようだった。実際に試合がはじまると、やはり日本は中盤でパスをまわし、試合の主導権を握ろうという意志が見られた。小笠原、中村、中田英がひんぱんにポジションチェンジをくり返しながらパスを交換する。すると、それに呼応するように両サイドの加地と三都主がオーバーラップをして、攻撃のリズムをつかんでいた。それとともに、日本サポーターのボルテージもあがる。気温もどんどん上昇しているみたいで、ファンフェスタの会場は35℃以上あっただろう。たぶん、ピッチは40℃近くあり、選手はそのなかで戦っていた。


開始直前

 今日は、中村のボール離れがオーストラリア戦よりは速く、全員がリズムにのれていた。小笠原が中村のスペースをうまくカバーしながら守備をしつつ、中田英のあがるスペースもつくっていたので、中盤を4人にしたのは成功だといえた。だが、前半最大のビッグチャンスをつくったのは、クロアチアの方だった。宮本がロングボールの処理を誤り、FWプルショの足をひっかけてしまったのだ。審判がペナルティスポットを指差す。最悪だ。正直、あやしい判定ではあったが、審判の判断をくつがえすことはできない。ここは川口のスーパーセーブに期待するしかなかった。川口がボールに集中する。ボールが右に飛んだ瞬間、川口が左手一本でボールをエンドラインへと弾き飛ばした。その瞬間、日本人サポーターが「ドッ!」とわく。ピッチでは、宮本や中田英が川口と抱き合って喜んだ。


 それからは、クロアチアもプルショとクラスニッチのツートップにボールをあずけ、攻撃を仕掛ける。しかし、PKを止めたことで勢いにのった川口が好セーブを連発する。オーストラリア戦、あれだけ両サイドの攻撃が皆無だったのがうそのように、両サイドバックが生き生きとプレーしていた。シュート数も17本ずつと互角。攻守にかみ合いを見せて、好ゲームとなった。


 前半の感想だが、中盤の選手がクサビのボールとサイドのスペースを利用するパスを使いわけたら、もっとチャンスが広がっていただろう。むだな横パスが多く、大胆な縦パスが入らなかったため、クロアチアも「こわさ」を感じていない部分があった。



■後半はクロアチアとの戦いではなく、暑さとの戦い!


 後半スタートから、ジーコが動いた。前半、ニコ・コバチともつれて、わき腹を痛めた福西に変えて、稲本を投入してきた。稲本が入ったことで、日本はより中盤の動きが活発化した。積極的にボールにアタックにいく稲本に合わせて、中田英がこぼれ球をフォローする。前半とは違い、ポゼッションでは日本が圧倒していたように思う。三都主が前半よりも積極的な攻撃を見せ、センタリングを何本もあげるが、なかなかシュートにまで至らない。ここで、アクセントとしていいプレーを見せたのが、稲本だ。得意の3列目からの攻めあがりで、フリーキックを得たのだ。フリーキックはバーの上に外れたが、攻撃のリズムを変えるためのいいヒントを出してくれた。明らかにクロアチアは、3列目からのあがりに対応できていなかったのだ。中田英や三都主がミドルシュートを放ちながら、ペースを日本にもってこようとがんばっていたのだが、じょじょに灼熱のピッチが両チームの選手の体力を吸いとっていく。そこまでの体力がこの時間にはなくなってしまっていた。


 動きがにぶくなる両チーム。勝負は目の前の敵よりも、はるかうえの頭上にある太陽に変わっていた。本来なら間に合うはずのパスにも足が届かない。中盤からは完全に両チームの足は止まった状態になっていた。ここからは気力の勝負。日本はこの試合に勝たなければならない。理由はひとつ。次はブラジルとの試合だからだ。勝てる可能性が高いのは、間違いなくこの試合。ジーコも動きが鈍くなった柳沢、高原に替えて、玉田、大黒を投入し、スピードのあるフレッシュな選手を前線に並べてきた。クロアチアのクラニチャール監督には、余裕があった。うっすら笑みを浮かべているところが、テレビに映った。理由は明らか。最終戦がオーストラリア戦だからだ。この試合を引き分けに持ち込み、オーストラリア戦に勝利すれば、グループリーグ突破の可能性が高い。無理することなく、もし1点入ればラッキーというような試合運びをしていた。


 日本は、後半の中盤から判断を下すのに時間がかかりすぎていた。パスを出すのに時間がかかるため、早めにスペースに走っている玉田や大黒に出そうとしたときは、すでにマークがついている状態。これでは、スピードが武器である彼らが勝負できるわけもなく、マークがついた状態でパスが出てくるために平凡なポストプレイヤーと化していた。チャンスが生まれるわけがない。それならばと、サイドのスペースにロングボールを入れて攻撃のリズムをつくればいいのだが、それを行うアイデアすらほとんどない。暑さがこれほど敵になろうとは、試合前に誰が予想しただろう。私もファンフェスタにいたが、応援しながら正直、頭が「ボー!」としていた。ピッチの選手はそれ以上の暑さと戦っていたに違いない。運動量の多い中田英でさえも疲れていた。


日本 vs クロアチア、試合終了

 気力の勝負とまでいきたかったが、たかがアジア最終予選を勝ち抜いた程度の日本ではそこまで精神的なものが育っていなかったのか。ドイツなどの強豪国のようにロスタイムでゴールを入れて、勝ち点3を手に入れられるほどの強さは持ちあわせていなかった。結局、0-0のまま試合終了。終了間際に、クロアチアサポーターが火をつけた発炎筒のけむりが、日本代表とサポーターの心を投影するかのように、上空にむけてあがっていた。




■土俵際に追い詰められた日本代表


 帰りの電車に乗ると、空いている席もなく、疲れていたせいもあって通路に座った。すると、日本人の中年男性が笑みを浮かべながら「疲れる試合だったよね」と声をかけてきた。このコメントに腹が立ったので、「そうっすね」と愛想のない返答をして男性が話かけられない雰囲気をつくった。ドイツにきてから多くの日本人と接してきたが、いい人とばかり出会っていたようだ。この男性だけは、自分のなかで少し「カチン」とくる雰囲気を漂わしていた。応援するよりも、ただ試合を見にきた観光の人。フットボールを知らないのに、ああーだ、こおーだとテレビの解説者からでたセリフを口からはきそうな、そんな感じがあった。グループリーグ突破が10%ほどになった、この状況を笑っていられるなんて普通ではない。とにかく、それ以降は話かけても無視しようと決め込んでいた。


 そのあとの車中で、勝ち点の勘定をしてみた。ブラジルに勝って、クロアチアがオーストラリアに勝って…考えることを止めた。フットボールは勝ち点勘定をするスポーツではない。何が起こるかわからないから、すばらしいスポーツなのだ。あらためて、そう思いながらホテルに着くと、ちょうどブラジルが2-0でオーストラリアを下したところだった。よかったのか、わるかったのか。ブラジルは次メンバーを落としてくる。さらに、クロアチア×オーストラリアの結果次第で予選突破の可能性が残された。でも、やはり厳しい。今大会は強豪国が順当に勝ち上がっている。気象条件は、ほぼ同じ。勝ちきる術を、暑いなかで戦う術を知っている。ここが大きな違いか。ブラジル戦、ジーコはどういう布陣で戦い、代表の選手たちのモチベーションをどうあげてくるのか。暑さで「ボー!」としている頭で考えたが、想像がはりめぐらなかった。このことは明日からゆっくり考えることにした。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:55 | コメント(7)| トラックバック(14)

6.17コラム  明日、いよいよ勝負のクロアチア戦!

■強豪国が順当に予選突破を決める!


 グループリーグも終盤戦を迎え、予選突破チームが続々と決定している。今大会は、波乱が少なく、強豪国が順当に勝ち名乗りあげている。ホスト国であるドイツをはじめ、アルゼンチンやオランダ、イングランドなど、FIFAランキングの上位国が確実に勝ちを収めている。そして、日本も明日、いよいよ予選突破の生き残りをかけて、クロアチアとの運命の決戦を迎える。


練習風景

 1敗同士の戦いになるため、激戦が必至だ。クロアチアも日本戦での勝ち点3をしっかりと計算にいれているはずなので、攻めてくるに違いない。日本はオーストラリア戦のように、後手にまわるのではなく、主導権を握るような試合をしなくてはならない。そのためには、中盤でしっかりパスをまわし、自分たちのリズムで試合を進めること。ジーコは、すでにシステムを4-4-2に変更することで、クロアチア戦は主導権をとることを選手たちに伝えている。では、どういう形で試合を展開していくことが、日本にとって有利に試合を進められるのか。



■4-4-2にすることでの利点は…


 メンバーは、川口、加地、宮本、中澤、三都主、小笠原、中田英、福西、中村(玉田)、柳沢、高原だろう。3-5-2と4-4-2の違う点は、大きくいえば2つだ。サイドに2人のプレーヤーが配置されていること。もうひとつは、3-5-2のときよりも、中盤の4人がポジションチェンジをくり返し、自由にゲームを組み立てることができることだ。個性的なタレントをそろえる日本のMF陣の才能を一番発揮しやすいのは、4-4-2の方だといえる。確かに、最終予選のイラン戦でも1-2と敗れ、結果は出ていないが、中盤の選手はのびのびとプレーしていた。もともと、中田英や中村を筆頭に、小笠原や小野など、ポジションの制限があるよりは自由にプレーした方が力を発揮する。守備に関して、多少の不安を残すものの、クロアチア戦は得点を入れて絶対に勝たなければならない。だから、日本のストロングポイントを十分に活用するシステムで臨むのは、当然だろう。



■両サイドの厚みのある守備と攻撃


練習風景2

 オーストラリア戦では、両サイドの駒野と三都主が守備だけに追われる時間が多かった。それは、サイドに1人しか選手が配置されていないので仕方ないところだが、特に三都主は攻撃してはじめてリズムにのってくる。4-4-2にすれば、中盤のサイドの選手がオーバーラップした際に、しっかりカバーしてくれるので実力を発揮しやすいのではないか。加地については、ワールドカップ初登場となるが、もともと堅実に守備から自分のペースをつかんでいくタイプなのでスムーズにゲームに入れるはずだ。サイドの2人の選手がいることの大きな意味は、日本の武器である連係プレーで守備も攻撃も行えること。これは、思いのほか大きい意味をもつ。球際の強さやフィジカルの強さが他国よりも劣る日本にとって、やはり1人よりも2人でプレーした方が生き生きとプレーできる。2人で囲んでボールを奪い、連係プレーでサイドを突破してチャンスをつくりだす。オーストラリア戦で見せた球際の弱さが、少しは解消されるのではないか。



■中盤の構成力が勝敗を左右する


 中盤でスムーズにパス交換ができるのは、やはり4枚の場合だ。スペースがあり、自分たちのリズムでボールをキープしながら考える時間をつくることができる。特に、オーストラリア戦、フィジカル勝負で負けを悟った中村はサイドにひらいたままだった。4-4-2であれば中央に固執することなく、自由に動ける。どうしても3-5-2の場合はトップ下ということもあり、守備陣に囲まれてつぶされることが多い。セルティックでも右サイドを担当していることからもわかるだろう。中田英にとっても中盤4人の方が、自由度が増すので力を発揮しやすい。彼は、もともと攻撃的MFの選手であり、ボランチの選手ではない。海外でプレーしている期間が長く、海外の選手に負けないフィジカルの強さを持ち合わせている。だから、トップ下にポジションをとってもチャンスをつくれるし、彼の攻撃力を十分に出せる。小笠原も、フレキシブルに動いて攻守に活躍しながら自分のペースにもっていく選手。最終予選でも、攻撃的なポジションで予選突破に貢献した。状況判断のいい選手なので、ポジショニングもよく守備もこなすことができる。福西も含めて、この4人が流動的に動いてパスをまわし、主導権を握って試合を進めたら間違いなく、日本のペースで試合を運べる。彼らの活躍が大きなカギを握るだろう。



■明日は勝ち点3を奪うことが予選突破の絶対条件!


 初戦を落とした日本。最終戦がブラジルということを考えたら、明日は勝ち点3をとることが必須条件だ。クロアチアも猛攻を仕掛けてくるだろう。しかし、中盤の構成力を生かしてゲームを支配すれば、間違いなく勝利を手に入れられる。とにかく、精神的なものが勝負の大きなポイントとなるので、リラックスして自分たちのリズムで試合を進めてほしい。両サイド、中盤、この2つのポイントの攻防でクロアチアを圧倒すれば、勝ち点3を得られるはずだ。


コラム | 投稿者 木之下 潤 12:47 | コメント(5)| トラックバック(6)

6.16コラム  観光の街、ローテンブルグを紹介!

■観光の街・ローテンブルグを散策


街並み

 今日は少し疲れを癒すために、ローテンブルグを観光することにした。この街はすべての建物がおとぎ話に登場しそうな造りになっていて、かわいい印象を受ける。ザッと歩けば、3、4時間程度で街を一周することができる距離で、オフにはもってこい。まずは、街の中心にある、マルクト広場に足を運んだ。左手に見えるのが市庁舎で、右手が市議宴会館。市議宴会館の壁には、仕掛け時計があり、11時から15時までと、21時、22時(夏期のみ追加)ちょうどになると、ティリー将軍とヌッシュ市長が現れ、ジョッキを手にした市長が飲みものを飲みほす。


 それから市議宴会館の裏手には、13世紀に建設されたリーメンシュナイダーの傑作といわれる聖ヤコプ教会がある。ここで目にしたのは、この建物を残すための募金活動のポスターだ。ドイツの建物は改築をかさねているものが多く、普通の家でも歴史を感じられる。現在、聖ヤコプ教会は改築作業が行われており、この歴史的な建物を未来へ残すために募金をつのっていた。


街一望

   旧市街を囲んでいる城壁があり、上に登ってグルッとひと回りすることができる。このコースもなかなか街の趣きを感じられてよい。少し南に歩いた場所に、中世犯罪博物館がある。中世の法律制度の資料や、拷問道具などが展示され、中世の人々の生活のひとコマを想像することができる。ほかにも人形とおもちゃ館など、多数の観光スポットが点在している。





■街をあげて、観光する人々をサポートする


レストラン

 さすがに、観光地だけあって、いろんな国の人々がたくさん足を運んでいる。私が見たなかでも、オーストラリア、ブラジル、イタリア、イングランドなど10カ国以上の人々がいた。この街は、中心地を完全に観光スポット化している雰囲気があり、もともと街に住んでいる人は少し郊外に住んでいるみたいだ。ホテルも数多くあり、レストランもたくさんある。のどかでゆっくりとした時間が流れているので、ドイツに来たら一度は来ることをおすすめしたい。この街からフランクフルトまで下っていくルートをロマンティック街道というらしく、ライン川を下ってフランクフルトに入れたり、フランクフルト行きの案内付き観光バスも走っている。街も陽気な人が多く、日本語メニューのある店も多数あるみたいなので安心して観光を楽しめる。


お菓子

 街には木工工房や古家具屋、骨董品屋に、お菓子屋やシルバーショップなど、日本では目にすることのできない品物がずらりと並んでいる。駅の前には、大きめのショッピングセンターがあるので長く滞在するのにも困らない。観光用の馬車が走っていたりと、街をあげて観光地として盛り上げている。疲れた体を癒すにはぴったりの観光都市、ローテンブルグ。少し日が傾きかけた時間になると、感慨深いものがあり、また味がある。ドイツにきたときは、ぜひ足を運んでみるといい。
コラム | 投稿者 木之下 潤 11:42 | コメント(0)| トラックバック(1)

6.15コラム  観光の街、ローテンブルグ

■雨ですべてのバスと電車が定刻オーバー


ボン-ローテンブルグ

 今日はボンからローテンブルグまで移動だった。朝からすごく雨が降っていて、なんだかすっきりしない気分だった。ホテルを出たのは、午前9時半。着いたのは、夕方6時半で、移動だけでなんと9時間近く。本当に疲れた。乗ったバスと電車は、すべて定刻オーバー。運が悪い。乗り換えも、定刻オーバーしているのでスムーズに行えず、その時々のインフォメーションでたずねないといけなかったので、面倒だった。ドイツは結構こういうことがあるみたいで、みんなは冷静に定刻オーバーする状況を理解していた。ローテンブルグの前に乗り換えたヴォルツブルグで偶然出会った、フランスにワーキングホリデイしている日本人もこの状況に驚いていた。




■ローテンブルグは観光都市


郷土料理店

 ローテンブルグは田舎ということもあり、すごくのどかな街だ。駅を降りて銀行があったのだが、まるで美術館か、田舎の豪邸のような建物で驚いた。日本人の方とせっかく出会ったので一緒に食事をしようということになった。泊まる場所が違ったので、中央付近にある時計台の下で待ち合わせをし、レストランを決めた。結局、「ポテトがおいしい」と雑誌に書いてあったので、ポテト料理をだしてくれる郷土料理店に行くことにした。




じゃがいもスープ

 そこで飲んだポテトのスープがすごくおいしかった。ポテトを時間をかけて煮込み、塩と胡椒で味を調えただけのシンプルなスープだったのだが、素材そのものの味が生きてておいしい。何度も「おいしい」といっているが、これしか表現できる言葉が浮かんでこない。ほかにはポークステーキを食べたが、普通の感じで、ポテトスープがとてもおいしかった。





郷土料理店

 この街は観光の街なので、明日いろいろとまわってみるつもりだ。きっとキレイで素敵な観光スポットがあるに違いないと、期待に胸をふくらませながら床についた。








コラム | 投稿者 木之下 潤 23:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

6.14コラム  試合後、初のレギュラー組の練習

■メディアセンターはにぎわいを見せていた



G-JUMPS

 日本代表の合宿地であるボンには、日本のメディアセンターがある。そこは、日本から来ているメディアの拠点として機能しているほか、サポーター同士の情報交換やグッズの販売などさまざまなことが行われている。少し足を運んでみることにした。たどり着くと早速、某テレビ番組で、元日本代表の前園と浅野が収録をしていた。今日は試合後、はじめてレギュラー組が練習をするということで、メディア関係者はあわただしかった。



メッセージ

 なかに入ってみると、サムライブルーの旗で飾られたカフェテラスがあり、多くのサポーターがくつろいでいた。地下に降りると、応援メッセージが書かれた大きな旗や、青と白のメッセージシートをサムライブルーと並べてつくった大きなシートが、ところ狭しとはられていた。そこでは、日本サポーターのためにインターネットが無料で提供され、情報交換などで大いに活用されていた。再度、1階に上がると、サムライブルーのフラッグを無料で配っており、日本戦を盛り上げようと関係者も必至に活動をしていた。その横では長くドイツに滞在している人のために、日本の雑誌や新聞など日本語のものが置かれていた。久しく日本語が見出しになったものを見てなかったので、「ああー、こんな雑誌があったな」と少しなつかしく感じた。




■試合後、はじめてレギュラー組が登場!


ミーティング

 15時から練習がはじまるということだったので、早速、練習会場に足を運んだ。中央駅からバスで約20分の場所にある。コートが一面だけの小さい会場だが、芝の手入れがいきとどいており、選手たちも気持ちよく練習がやれていることが想像できた。15時からスタートし、まずジーコの話が10分ほど、その後ランニングがあり、細かいアップメニューが5つほど。それから連係プレーのチェックを入念にこなし、ミニゲームといった流れだった。


ミニゲーム

  今日は中村の姿が見えない。ケガでもしているのだろうか。連係プレーの練習に入ったときに、システムに変更が見られた。4-4-2の布陣で連係プレーのチェックを行っていた。ジーコも試合の主導権をとって、自分たちの流れで試合を進めたいのだろう。その意図が見てとれた。メンバーは、川口、加地、宮本、中澤、三都主、小笠原、中田英、福西、玉田、高原、柳沢だった。中盤でタメをつくってサイドの選手を生かす練習をくり返し行っていた。オーストラリア戦では、サイドのスペースを有効活用することができず、サイドの駒野と三都主は守備要員としてしか機能していなかったので、応急処置をしたかったのだろう。加地、三都主が外をオーバーラップするパターンと、中をインナーラップするパターンの練習に時間を費やしていた。


 それともうひとつ改善したい点が見られた。結局、中央からしか攻める手立てが見つからなかったオーストラリア戦の教訓を生かし、ミドルシュートの練習をしていた。オーストラリア戦は、高原と柳沢にボールを当てて攻撃を組み立てようとしたが、守りを固められてシュートにまでもっていけなかった。だから、中田英、福西、小笠原、玉田がペナルティエリア外から連係でシュートを打つトレーニングも行っていた。やはり、遠くからシュートを打たないと守備陣がチェックにこないので、DFラインとGKの間にスペースが生まれない。これでは、日本の武器である中盤の選手のパス能力が生きてこない。中盤の選手層という最大限の武器を使うために、ジーコは作戦を変更してきた。




■絶好調の小野がクロアチア戦のカギとなる


 加地の調子は良好のようだ。いいセンタリングを上げていたし、サイドを何度もかけあがっていた。ケガの心配はなさそうだ。練習中に調子のいい選手を見つけた。小野伸二だ。ドイツに入る前のJリーグの試合から調子をあげていたが、じょじょにフィジカルがフィットしてきたのか、持ち前のテクニックを使って楽しそうにプレーしていた。もし、クロアチア戦でカギを握る選手がいるとすれば、彼だろう。流れを読む頭脳、ゲームメイクやチャンスメイクのセンス、守備、すべてにおいてずば抜けている。得点が必要なときにも、悪い流れのときでも、途中から出場しても力を発揮できる。この練習を見る限りでは、そう感じられるほどの好調さを保っていた。クロアチア戦は間違いなく、勝ち点3を奪わなければならない試合。日本のストロングポイントである、中盤のタレント陣の力を出し尽くさせようとジーコも初心に帰っているように練習の様子を見ていた。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:16 | コメント(0)| トラックバック(8)

6.13コラム  グループリーグ・試合レポート

■韓国代表、2002年の遺産



カールスルーエ-ボン

 今日はカールスルーエからボンへの移動日だったため、スタジアムやパビリックビューイングで予選リーグを見ることができなかった。しかし、ホテルに到着したら大きなスクリーンがあったので、そこで試合を見ることにした。まさか、こんな場所に100インチほどの大きなスクリーンがあると思わず、驚いた。さすがはドイツ。フットボール先進国である。



ホテルのスクリーン

 ちょうど、「韓国×トーゴ」の後半がはじまったばかりだった。0-1で韓国が負けていたので、アジア勢はスタートが悪いなと感じつつも試合を見ていた。韓国は負けていたが、内容そのものは、4日のガーナとの親善試合よりはるかにいい試合をしていた。相手のペナルティエリア付近まで、しっかりとボールをつないでロングボールを放ることなく、自分たちのリズムで試合を進めていた。韓国は、負けていたのに「自分たちが負けるはずがない!」という自信に満ちあふれていた。間違いなく、2002年の遺産なのだろう。もともと、悪い表現だが、自意識過剰な国民性をもっている。それに、強豪国を倒してベスト4へ進んだいい自信をプラスし、昔のようなワールドカップに対するコンプレックスなど微塵も感じられなかった。



 後半10分過ぎだっただろうか。ペナルティエリア付近でフリーキックを得ると、みごとな弾道でフリーキックを決め、同点に追いつく。日本とは違い、ここで勢いにのれるのが、韓国代表の強さでもある。「絶対に逆転するんだ」という強い意志のもと、トーゴゴールに全員で襲いかかる。球際の強さがすばらしく、アフリカ勢相手にも一歩もひかず、むしろ意志の強さと合わせると、トーゴの身体能力の高い選手たちを勝っていた。それから、10分ほど経って、アン・ジョンファンが強烈な弾丸シュートを放ち、逆転ゴールを決めた。結局、韓国は持ち前のタフさで、粘りきって2-1で勝ち点3をものした。





■フランスの得点シーンが想像つかない



 次の試合まで少し時間があったので、買い物に出かけた。ここのホテルは街から遠く、すごく山奥にある。スーパーマーケットまで約2kmといったところか。帰り着くと、前半が半分以上過ぎていた。「フランス×スイス」という好カードだったので、後悔しながら試合に目を向けた。フランスはジダンを中心にアンリのスピードを生かすフットボールをしていた。が、ジダンには往年の力はなく、ゴールに向かう迫力がなかった。その代わりマケレレが中盤のカジトリ役をしっかりこなしていた。今までのイメージだと、つぶし役の多かったマケレレもベテランの域に達するとともに、まわりをよくみてゲームをコントロールできる技術を手にしていた。そのせいもあり、ジダンがのびのびと攻撃に集中していた。高い個人技を生かし、マッチアップする選手の足を凍りつかせ、パスとキープする間合いをつかんでいた。全員が高い技術を持ち、ボールを支配できるが、決定的な仕事がつくれない。逆に、スイスは若い選手ばかりで失うものが何もないので、思い切って1対1をしかけ、ゴールに迫っていた。ゴールのにおいという点で考えれば、スイスの方がゴールのにおいが漂っていた。実際、何度かGKバルデスをおびやかす場面をつくっていたし、勢いにのっていた。結局、0-0でゲームを終了したが、ボール支配率では断然勝るフランスからはゴールのにおいはせず、グループリーグ突破の文字は、私のなかでは浮かんでこなかった。それほど、今のフランスには勝ちきる強さがないように感じられた。





■ブラジルのうまさ



 最後に「ブラジル×クロアチア」の試合を見た。ホテルでもブラジル戦だけは興味ある人が多く、椅子に座れないほどの大盛況ぶり。特に、ロナウジーニョとカカ、ロビーニョの3人は大人気だった。試合がはじまると、戦前の予想通り。ブラジルがパスをまわし、クロアチアがカウンターをねらうといった、内容になった。ブラジルは個々の高いテクニックを十分に発揮し、DFラインの深いゾーンでも落ち着いてボールをまわしていた。クロアチアも欧州ならではの組織的なカウンターを見せていた。が、ブラジルはフットボール先進国で歴史が長いだけあり、クロアチアのカウンターをすべて見切っていた。もっと、つめれば選手のプレーをすべて見透かしていた。



 例えば、クサビのボールがプルショに入る。それで当然チェックに行くのだが、ブラジル以外の国であればここで対応が終わってしまう。しかし、ブラジルの選手はトラップでプレーする場所と時間を確保する次の動作までねらっていた。スペースにボールを出した瞬間に再度チェックにいっていたのだ。これは日本のDF陣にも、とても参考になる。オーストラリア戦、クサビのボールだけにチェックをしていたが、トラップしてスペースにボールを確保した瞬間にもチェックにいけたら…。たぶん、ビドゥガは日本のDF陣に手を焼いていただろう。結局、フットボールは1対1の連続でチーム戦術が成り立っている。1対1の場面の対応がしっかりしていれば、負けることがないのをブラジル人は知っているのだ。長い歴史のなかでそれを培い、普段のボール遊びのなかで学んでいる。ごくごく簡単なことのようだが、日本でこれができるかと問われれば、答えは「ノー!」だろう。日本にそんな環境はないし、フットボール文化が浅すぎて、このことにすら気づいていない人が多い。トレーニングセンターで育成する選手はすべて同じプレーしかできず、黄金世代をのぞけば、規定外の選手はほとんど育っていない。フットボールで一番大切なのは、普段どれだけボールをさわり、フットボールを知っている人間を相手にプレーするのか。それが、チームの練習ではなく、遊びで学ぶという点が大事だ。



 試合は、前半にカカがコースをねらった見事なミドルシュートが決まり、そのまま1-0で終了。ブラジルも後半の20分過ぎからは勝ち点3を確実にとるためのプレーに終始し、攻撃というよりはキープする感じの試合運びをしていた。クロアチアも狙い通りのカウンターに徹するも、読まれていてはフィニッシュまでもちこめない。そのまま、ブラジルが試合巧者ぶりを見せて、予定通りの結果を手にした。
コラム | 投稿者 木之下 潤 22:52 | コメント(7)| トラックバック(10)

6.12コラム  日本サポーターの長い一日

■オーストラリアサポーターの愛国精神のすごさ!


カイザースラウテルン

 雲ひとつない晴天に恵まれた。今日、日本はドイツ大会の初戦となるオーストラリア戦を迎える。試合会場のある街は、カイザースラウテルン。私が宿泊しているカールスルーエから、2時間ほど北西に位置する小さな街だ。電車に乗ると、日本、オーストラリアともにサポーターの姿が見えなかったので、試合当日の実感がわかずに少し拍子抜けをしてしまった。その途中、マンハイムという街で乗り換えが必要だったのだが、その駅に降りた瞬間に「オージー、オージー」という大合唱とともに、自分のなかで試合当日のスイッチが入った。それほど彼らの声援は、ものすごい迫力だった。プラットホームには、日本人サポーターの姿がたくさんいたのだが、シャイな日本人には対抗するほどの合唱も、勇気もない様子でだまってみているだけだった。


 すでに、勝負はここでついていたのかもしれない。オーストラリアのサポーターは32年ぶりのワールドカップ出場ということもあったのだろうが、愛国精神にあふれていた。しかし、日本人サポーターはというと、ミーハー気分で応援にきている人がほとんどだったのか、その応援に圧倒されてばかり。今から国と国との激しい戦いがはじまろうとしているのに、意気込みがひとかけらも感じられなかった。少し悲しい気持ちになった。でも、一緒にいたイギリスの大学に通うドイツで知り合った友人に「遠い国まで、これほど多くの人が応援にくるのはすごいことだよ」といわれて納得した。確かに、ミーハー気分でも、ここまで遠い国にこれだけ多くの人が応援にくるのはめずらしいことだ。お隣、韓国のサポーターも実際にはそんなにお目にかかっていないし、クロアチアのサポーターにいたってはドイツ入りして10人も見ていなかったからだ。ワールドカップを楽しむということでは、いいのかもしれない。が、日本にフットボール文化が根づくという観点で考えると、悲しい現実だ。




■日本人であることへの誇り


 到着してから駅を降りて、少し坂を下ったところにメインストリートがあった。そこでは、グッズや食事などの露店が並んでおり、たくさんの人を集めていた。少し歩いていると、フランクフルトで一緒のホテルに泊まっていて、そこで偶然、フランクフルトで知り合いになった友達に再会した。イギリスやフランスなどいろんなところを旅しているユニークな人物。彼とはなんとなく話が合い、気があった。せっかくの再会したので、ビールで乾杯をしてメインストリートを歩くことにした。彼は海外で長く生活しているせいか、日本人であることをすごく誇りに思っていた。すごくフランクで日本人が横を通るたびに、「日本、イエー!」といった感じで盛り上げようとするのだが、日本人の反応はうすい。というか、ほとんど返ってこなかった。でも、テレビカメラなどを向けられて、“集団”になっていると盛り上がれる。欧州の人から見ると「アイデンティティがあるのか?」と感じてしまうほど、自分のやっていること、つまり日本を応援することに誇りというか、なんというか…ないようだ。日本を離れて、こちらにいると日本人であることを意識することが多い。ドイツは比較的違うようだが、ここでもめずらしいものを見る目でみられることもある。だから、よけいにこんな日本人の行動を見ると少し悲しい気持ちになってしまう。こちらでは意思表示をしないと、誰も助けてくれないし、一人の人間として認めてくれない。集団である前に、まず個が先にたつ。個がしっかりしてないと、集団として何も意味をなさないというような発想があるからだ。




■オーストラリアのフィジカルの前に…


スタジアム

 キックオフの1時間前に席に着いた。比較的セキュリティチェックも簡単で、すんなり会場に入ることができた。フリッツ・バルター・シュタディオンは、傾斜60度ぐらいのスタンドが広がり、3分の1は屋根に覆われているので、応援の声がよく響く。日本の君が代ではわからないが、オーストラリアの国歌斉唱が流れたときに、すごくそれを感じた。試合をするにはとても心地よいスタジアムだ。


キックオフ

 両チームのスターティングメンバーの発表がされた。日本のスタメンは予想通り、川口、坪井、宮本、中澤、福西、中田英、駒野、中村、三都主、高原、柳沢で、3-5-2のシステムでスタートした。初戦で両チームとも緊張していたのか、それともリスクをおかしたくなかったのか、細かくつなぐ様子はそれほど見られず、ロングボールを放ることが多かったように感じた。だからか、試合に落ち着きがなく、両チームとも流れをつかむことができなかった。


 しかし、少しずつオーストラリアは、ワントップのビドゥガが個人技でボールをキープし、チャンスをつくりはじめる。さすがに、プレミアリーグでもまれているだけのことはあり、フィジカルの強さや個人のテクニックがしっかりしている。さらに、彼は意外性を持ちあわており、ワンタッチで日本代表のDF陣を混乱に陥れる高い技術を発揮していた。これが、試合の一番のポイントだった。真ん中で「ドーン!」と構えてボールをキープするために、どうしても宮本が対応せざるをえない。フィジカルの面では明らかに負けていた。さらに、1対1で交わされることはないが、技術が高いため2列目の選手がプレーしやすいようなボールを簡単にはたかれてしまう。これはフィジカルでプレッシャーがかかっていない証拠だ。かなり自由にプレーしていて、ビドゥガも生き生きとしていた。これが中澤だったら、違ったのかもしれない。


 主導権はオーストラリアが握っていた。中盤を省き、ビドゥガをめがけてボールを放る。そして、こぼれ球やポストプレーで処理したボールを2列目がサイドにパスするか、ドリブルでつっかけるかでチャンスをつくる。ヒディングの戦略は、2002年の日韓大会でトルシエがとった戦略とそっくりだった。ビドゥガの存在があったからだろうが、リスクマネージメントと自国チームの特徴をうまく考えた戦術で「さすが!」のひと言だ。日本の選手はどこか気迫に欠ける部分があった。


 本来であればポゼッションできるはずのチームを相手に、あえてボールを回させている印象を受けた。ドイツ戦のように主導権を握る様子は全くみられない。そんな覇気のないチームに、高原と中田英はイライラしていた。特に、高原はやれる気持ちが前面に出ていたので、ボールをもったら柳沢のポストプレーを軸に積極的にゴールをねらっていた。中村はフィジカル面でオーストラリアに劣るため、サイドや中盤の深い位置まで戻ってプレーしていた。だから、中田英がスペースを失い、窮屈そうにプレーしていた。一応、日本のエースとして今大会を迎え、チームの司令塔であるためにボールをあずける。しかし、彼のボール処理速度が遅すぎるために、日本の連係が出せずにいる。そんな状況を察して中田英は明らかにストレスをためていた。


 前半20分過ぎに、中村からトップの頭をねらったクロスボールがキーパーの届かない微妙なコースだったため、誰にも当たらず偶然にゴールに吸い込まれ、ラッキーなゴールが生まれた。しかし、本当に偶然で、日本も手応えのある形で得点をしたわけではないので、勢いにのるところまでにはいかなった。逆に、オーストラリアに攻めの意識を植えつけてしまって、危ないシーンをたくさんつくられた。日本DF陣の体を張った守備で、辛くも前半は1点リードのまま終えることができた。




■監督の手腕が結果を左右した


オージーの歓喜

 後半、ヒディングは勝ち点3をねらい、次々と選手を交代した。逆に、「日本は?」といえば交代はおろか、守備の修正すらできていない始末。時間の経過とともに宮本の体力が消耗し、前半よりもピンチの数が増えていた。なぜ、ビドゥガにボールが入るのがわかっていてボランチの福西や中田英をケアにまわさないのか。そういう指示を入れていないジーコの監督としての技量に限界を感じた。ヒディングはしっかりと交替選手に指示を出し、ピッチ上の選手にもメッセージを出していた。徐々に交替選手が試合になじみはじめると、同点ゴールが生まれ、2点目、試合終了前にも3点目を入れられ、日本は1-3で完敗してしまった。


両サポーター

ジーコの交代のタイミングは明らかに遅すぎた。次々と変わる状況の変化に対応できず、交替選手が出たときは、その選手が必要というより別の選手が必要だった。小野は柳沢ではなく中村、大黒は茂庭ではなく中村だった。それほど、今日の中村は消える時間が多く、攻撃で貢献できないうえ、守備でも高原や柳沢に負担をかけていた。小野が出場したときにツートップであれば、1点返せる予感はあった。パスコースがなく、攻撃のバリエーションを増やせない小野は空回り、大黒にいったっては守備要因のようにボールを追うだけの選手になりさがっていた。もっといえば、なぜ試合中にポゼッションするように指示を出し、主導権を握ろうとさせなかったのか。あれだけ、日本のストロングポイントは中盤だといいながら、カウンターねらいのフットボールをさせ続けたのか。疑問が残る。監督はオーケストラでいえば、指揮者。指揮者がうまく演奏者を誘導できなければ、キレイな音色の曲は流れない。フットボールも同じだ。監督の指示ひとつで大きく試合の流れが変わることを、ジーコはわかっていない。いや、それに気づいているのだろうか。それはジーコにしかわからない。とにかく、抜け殻のようなチームで勝てるほどワールドカップは甘くないことを、あらためて日本代表は理解したのではないだろうか。


日本人の長い一日

 サポーターにとっては疲れが「ドッ!」と押しよせる試合内容だった。事実、ライターとしてたくさんの試合結果を伝えた経験のある私でさえ、疲れる…ストレスのたまる…両方か…の試合だった。遠い日本からやってきて、内容も結果も惨敗であれば、疲れが出て当然。「本当にご苦労様でした」としか言葉のかけようがないほど、帰り道での日本サポーターの落胆ぶりはすごいものがあった。今日は、本当に朝早くから日本サポーターは準備をして、スタジアムに来たに違いない。彼らはベッドに横になって眠りについてから、やっと長い一日が終わる。本当に長い一日だったことだろう。
コラム | 投稿者 木之下 潤 23:45 | コメント(11)| トラックバック(37)

サウジアラビア グループH

サウジアラビア代表
サウジアラビア

サウジアラビア4年前はドイツに0‐8と大敗し、ほかの2試合も完敗を喫して悔しさを残した。今回はそれを晴らすべく、モチベーションも高い。05年のアジア最優秀選手であるDFアル・モンタシェリを中心に、全員の高い守備意識で守りのスタイルをつらぬく。中東ならでは高い身体能力をカウンターのときに発揮するので侮れない。まず一勝して、自信をえることが必要だろう。







ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
アルデアイエ
33
アルヒラル
21
ザイド
27
アルイティハド
22
コジャー
24
アルシャバブ
DF
2
ドキ
29
アルイティハド
3
トゥカル
30
アルイティハド
4
アルモンタシャリ
23
アルイティハド
5
アルカディ
27
アルアハリ・ジェッダ
12
ハスラン
32
アルヒラル
13
スリマニ
29
アルアハリ・ジェッダ
15
アルバハリ
25
アルイティファク
6
アルガムディ
27
アルヒラル
MF
7
アミン
26
アルイティハド
8
ノール
28
アルイティハド
10
アルシュルフーブ
25
アルヒラル
14
ハリリ
25
アルイティハド
16
アジズ
24
アルヒラル
18
アルテミヤト
29
アルヒラル
19
マサド
23
アルアハリ・ジェッダ
FW
9
アルジャバー
33
アルヒラル
11
アルハルシ
22
アルナスル
17
アルアンバル
21
アルヒラル
20
アルカフタニ
23
アルヒラル
23
ムアト
24
アルアハリ・ジェッダ


監督
パケタ
47
ブラジル
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:11 | コメント(0)| トラックバック(1)

チュニジア グループH

チュニジア代表
チュニジア

チュニジア  北アフリカの強豪国。身体能力は南アフリカほど高くないが、ゲームの流れを考えながらプレーすることに長けている。フランスやトルコ、ドイツといった海外でプレーする選手がほとんどで、チーム戦術の理解度では高いものをもっている。それゆえ、派手さはないが、堅実で大崩れしない。スペインやウクライナにも、十分に勝利をおさめられる可能性はある。





ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
ブムニジェル
40
クラブ・アフリカン
16
ネフジ
32
オナスティル
22
カスラウィ
23
エスペランス
DF
3
ハグイ
22
ストラスブール
4
ヤヒア
24
サンテティエンヌ
6
トラベルシ
29
アヤックス
7
メリア
27
エトワール・サヘル
15
ジャイディ
30
ボルトン
18
ジャマリ
31
ボルドー
19
アヤリ
24
サムスンスポル
21
サイディ
23
レッチェ
MF
8
ナフティ
27
バーミンガム
10
ゴドバン
30
コニヤスポル
12
ムナリ
29
ニュルンベルク
13
ブアジジ
33
エルシエススポル
14
シェドリ
29
ニュルンベルク
20
ナムシ
22
レンジャーズ
23
メリティ
27
ガジアンテスポル
FW
2
エセディリ
26
ローゼンボリ
5
ジャジリ
27
トロワ
9
シハウィ
19
エトワール・サヘル
11
ドスサントス
27
トゥールーズ
17
ジョマー
22
ランス


監督
ルメール
64
フランス
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:10 | コメント(0)| トラックバック(0)

ウクライナ グループH

ウクライナ代表
ウクライナ

ウクライナ  ロシアから独立後、初の出場権を獲得した新鋭国。チームの中心は何といっても、エース・FWシェフチェンコだ。イタリアの名門・ACミランでもエースとして得点王や欧州最優秀選手に輝く実績を持ち、プレーでなく精神的にもチームを支えている。堅守速攻型のチームスタイルで、予選も欧州で一番早く突破を決めた。実力を発揮すれば、上位進出もありえる。





ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
ショフコフスキー
31
ディナモ・キエフ
12
ピャトフ
21
ボルスクラ・ポルタバ
23
シュスト
20
シャフタル・ドネツク
DF
2
ネスマチニー
27
ディナモ・キエフ
3
ヤツェンコ
21
ハルキフ
5
イエゼルスキー
29
ドニエプロペトロフシク
6
ルソル
23
ドニエプロペトロフシク
13
チグリンスキー
19
シャフタル・ドネツク
17
ワシチュク
31
ディナモ・キエフ
22
スビデルスキー
27
アーセナル・キエフ
MF
4
ティモシチュク
27
シャフタル・ドネツク
8
シェライエフ
29
ドニエプロペトロフシク
9
グセフ
23
ディナモ・キエフ
11
レブロフ
32
ディナモ・キエフ
14
グシン
33
クリリャ・ソビエトフ
18
ナザレンコ
26
ドニエプロペトロフシク
19
カリニチェンコ
27
スパルタク・モスクワ
21
ロタン
24
ディナモ・キエフ
FW
7
シェフチェンコ
29
ACミラン
10
ボロニン
26
レバークゼン
15
ミレフスキー
21
ディナモ・キエフ
16
ボロベイ
27
シャフタル・ドネツク
20
ベリク
25
シャフタル・ドネツク


監督
ブロヒン
53
ウクライナ
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:07 | コメント(0)| トラックバック(0)

スペイン グループH

スペイン代表
スペイン

スペイン  攻撃陣は今大会屈指のタレントをそろえる。特に、ワールドカップをはじめて経験する若手のフェルナンド・トーレスとベテランのラウールがかみ合えば、得点力は問題ない。ウィークポイントをあげるとすれば、攻撃的に試合を進めることが多いためサイドのスペースをあけてしまうこと。守備意識を高くもって戦えばベスト4は確実にねらえる実力をもっている。





ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
カシジャス
25
Rマドリード
19
カニサレス
36
バレンシア
23
レイナ
23
リバプール
DF
2
サルガド
30
Rマドリード
3
ペルニア
29
ヘタフェ
4
マルチェナ
26
バレンシア
5
プジョル
28
バルセロナ
12
アントニオ・ロペス
24
Aマドリード
15
セルヒオ・ラモス
20
Rマドリード
20
フアニート
29
ベティス
22
パブロ
24
Aマドリード
MF
6
アルベルダ
28
バレンシア
8
シャビ
26
バルセロナ
10
レジェス
22
アーセナル
13
イニエスタ
22
バルセロナ
14
シャビ・アロンソ
24
リバプール
16
マルコス・セナ
29
ビジャレアル
17
ホアキン
24
ベティス
18
セスク
19
アーセナル
FW
7
ラウル
28
Rマドリード
9
フェルナンド・トーレス
22
Aマドリード
11
ルイス・ガルシア
27
リバプール
21
ビジャ
24
バレンシア


監督
アラゴネス
67
スペイン
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:06 | コメント(0)| トラックバック(0)

トーゴ グループG

トーゴ代表
トーゴ

トーゴ ワールドカップ初出場の切符をみごとに勝ち取った、アフリカの新興勢力チーム。4月に監督がオットー・フィスターに代わったばかりで、まだチームが安定していない。エース・FWアデバヨールの高い個人技をどれだけまわりがサポートできるかが課題だろう。全監督が複数のシステムを使い分けていただけに、順応性はある。ブレイクに期待したいところだ。





ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
チャニル
28
ジョリバ
16
アガサ
27
メス
22
オビラレ
21
エトワール・フィランテ
DF
2
ニボンベ
25
RAEC
3
アバロ
30
アポエル・ニコシア
5
チャンガイ
27
ベネベント
12
アコト
25
アドミラ
19
アセモサ
25
シウダド・ムルシア
21
グエデ
21
ハンブルガーSV
23
アシム
20
レバークーゼン
MF
6
アジアウォヌ
26
ヤングボーイズ
8
アグボー
28
ベベレン
9
ドッセビ
27
バレンシエンヌ
10
ママム
23
メス
15
ロマオ
22
ルアンキュソー
20
エラサ
23
クレルモン
FW
4
アデバヨール
22
アーセナル
7
サリフ
23
ブレスト
11
マルム
32
ブレスト
13
フォルソン
26
ポワールスルビ
14
オルファデ
26
アルサイリヤ
17
モハメド・カデル
27
ギャンガン
18
セナヤ
22
YFJチューリヒ


監督
プフィスター
68
ドイツ
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:03 | コメント(0)| トラックバック(0)

韓国 グループG

韓国代表
韓国

 パク・チソンやアン・ジョンファンなど、海外組で活躍しているメンバーが中心だ。2002年のワールドカップを経験している選手と、アテネ五輪世代の選手がうまくチームとして馴染めば、グループリーグ突破が見えてくる。特に、攻守の要であるパク・チソンがスピードあるドリブルと意外性あふれるパスを駆使し、チャンスをつくれるかが勝敗を左右するだろう。





ポジション

背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
イ・ウンジェ
33
水原三星
20
キム・ヨンデ
26
城南一和
21
キム・ヤングァン
22
全南
DF
2
キム・ヨンチョル
29
城南一和
3
キム・ドンジン
24
FCソウル
4
チェ・ジンチョル
35
全北現代
6
キム・ジンキュ
21
磐田
12
イ・ヨンピョ
29
トットナム
18
キム・サンシク
29
城南一和
22
ソン・ジョング
27
水原三星
23
チョ・ウォンヒ
23
水原三星
MF
5
キム・ナミル
29
水原三星
7
パク・チソン
25
マンチェスターU
8
キム・ドゥヒョン
23
城南一和
13
イ・ウルヨン
30
トラズゾンスポル
15
ベク・チフン
21
FCソウル
17
イ・ホ
21
蔚山現代
FW
9
アン・ジョンファン
30
デュイスブルク
10
パク・ジュヨン
20
FCソウル
11
ソル・ギヒョン
27
ウルバーハンプトン
14
イ・チョンス
24
蔚山現代
16
チョン・ギョンホ
26
尚武
19
チョ・ジェジン
24
清水


監督
アドフォカート
58
オランダ
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

スイス グループG

スイス代表
スイス

スイス  欧州各国のリーグで活躍する選手が多く、小粒だがレベルの高い選手がそろっている。若くて経験の浅い選手が多く、ほとんどの選手がワールドカップ未経験という点がひっかかる。しかし、逆に勢いにのったら手がつけられないほどの力を発揮するだろう。コービ・クーン監督がどうメンタル面をコントロールして実力を出させるか、その手腕にかかりそうだ。



ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
ツーバービューラー
35
バーゼル
12
ベナグリオ
22
ナシオナル・マデイラ
21
コルトルティ
25
グラスホッパー
DF
2
ジュールー
19
アーセナル
3
マニン
27
シュツットガルト
4
センデロス
21
アーセナル
13
グリヒティング
27
オーゼール
17
シュピヒャー
28
フランクフルト
20
ミューラー
29
リヨン
23
P・デゲン
23
ドルトムント
MF
5
マルゲラズ
22
FCチューリヒ
6
フォーゲル
29
ACミラン
7
カバナス
27
ケルン
8
ビッキー
29
ハンブルガーSV
15
ジェマイリ
20
FCチューリヒ
16
バルネッタ
21
レバークーゼン
19
ベーラミ
21
ラツィオ
FW
9
フレイ
26
レンヌ
10
ギガックス
24
リール
11
シュトレラー
24
ケルン
14
D・デゲン
23
バーゼル
18
ルストリネリ
30
スパルタ・プラハ
22
ルカン・ヤキン
29
ヤングボーイズ


監督
クーン
62
スイス
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

フランス グループG

フランス代表
フランス

フランス  ベテランのジダン、テュラム、マケレレが代表に復帰し、ようやく予選突破を果たした。今大会で現役を引退するジダンはモチベーションが高く、チームにもいい意味で影響を与えている。アンリがピークを迎えているだけに、ベテランと中堅どころがかみ合えば確実に優勝候補に名前があがる。「チームの結束力」という点が3大会ぶりの優勝へのカギを握る。



ポジション
背番号
選手名
年齢
所属
GK
1
ランドロー
27
ナント
16
バルテズ
34
マルセイユ
23
クペ
33
リヨン
DF
2
ブームソン
26
ニューカッスル
3
アビダル
26
リヨン
5
ガラス
28
チェルシー
13
シルベストル
28
マンチェスターU
15
テュラム
34
ユベントス
17
ジベ
24
モナコ
19
サニョル
29
バイエルン
21
シンボンダ
27
ウィガン
MF
4
ビエラ
29
ユベントス
6
マケレレ
33
チェルシー
7
マルダ
25
リヨン
8
ドラソー
32
パリSG
10
ジダン
33
Rマドリード
18
ディアラ
24
ランス
22
リベリー
23
マルセイユ
FW
9
シセ
24
リバプール
11
ビルトール
32
リヨン
12
アンリ
28
アーセナル
14
サア
27
マンチェスターU
20
トレゼゲ
28
ユベントス


監督
ドメネク
54
フランス
出場国 | 投稿者 木之下 潤 18:00 | コメント(0)| トラックバック(0)

6.11コラム  日本×オーストラリア 前日…

■オーストラリアとは…




 いよいよ明日、日本はドイツ大会の初戦を迎える。相手はアジアフットボール連盟に加盟し、2010年の南アフリカ大会から予選でライバルとなるオーストラリア。記憶にあるのは、2001年のコンフェデレーションズカップの準決勝だろう。雨が降るなか、日本は細かいパスまわしができず、フィジカルを前面に押し出してくるオーストラリアのスタイルに手を焼いていた。結果は、中田英が弾道の低いフリーキックを決めて1‐0で勝利したものの、終始日本ペースで進んでいたかと問われたら、そうではない。おまけに、この試合でのオーストラリアは欧州でプレーしている選手たちがほとんどいなかった。




 現在のオーストラリアは、イングランドやイタリアで活躍している選手たちが主力となっている。特に、ビドゥガ、キューエル、ブレシアーノといった攻撃を担っている選手たちは、クラブチームでも欠かせない存在だ。ヒディングは日韓大会のときと同様、短期間で勝てるチームに仕上げなければならない。しかし、彼らは個々の能力に問題はない。欧州で培ったチーム戦術の理解度は、日韓大会当時の韓国よりも、はるかに高いものを持ち合わせている。これは、ヒディングにとって大きなアドバンテージとして働くだろう。韓国代表よりも、確実に完成度の高いチームに仕上げてくるに違いない。フィジカルの強さ、個々のテクニック、チーム戦術をうまく融合させて、明日はベストチームをつくりあげてくるはず。ワールドカップでは、自ら率いたチーム(オランダ、韓国)を2大会連続でベスト4に導いており、明日の日本戦でもどういう戦術をとってくるのか、とても興味深いところだ。






■基本的な布陣と、明日のポイント



オーストラリア戦予想フォーメーション






 明日、日本は基本的に3‐5‐2のシステムを採用するだろう。メンバーは川口、坪井、宮本、中澤、福西、中田英、加地(駒野)、中村、三都主、柳沢、高原の11人。ジーコはいつも通りのメンバーと練習通りのことしか、選手にいわない。試合は選手が行うもので、フィールド上では最終的に選手が判断を下さなければならないと思っているからだ。選手たちもそれを十分に理解している。だから最近では、ポゼッションスタイルからカウンターねらいの攻撃に変えたりと、自分たちの判断で試合中に戦術を変えられる柔軟性を身につけてきた。今までの日本にはない新たな力。それがオーストラリア戦でどういう風に発揮されるのか、楽しみはつきない。




 では簡単だが、オーストラリア戦のポイントを上げておこう。オーストラリアはおそらく3‐4‐3のシステムを採用してくるだろう。そうした場合、4の背後にあるサイドのスペースを、どれだけつけるかがゴールを生むカギとなる。単純にいえば、加地と三都主がそこをどれだけ利用して攻められるかということ。だが、それだけではない。ツートップの2人がサイドに開いてDFをサイドにつりだし、3バックが並んでいる横の距離をあけさせるかで、もっと優位に試合を展開することができる。つまり、中村、中田英、福西の3人の得点力が生きてくるのである。彼らの攻め上がりや、パス能力を有効的に活用するといったことだ。これは得点を生むことだけにかかわることではない。サイドのスペースをつくことは、ポゼッションが自然にあがることも意味している。3バックはサイドの守備だけをするわけにはいかないので、当然4のサイドがそのスペースをカバーする。すると、その陣形が5‐2‐3の状態になる。中盤がうすくなり、日本の両サイドが高い位置までポジションをあげられるのでパスもつながりやすくなる。そうすれば、全体的にラインの押し上げがなされ、日本の得意な形にもっていけるわけだ。




 次に、日本人のウィークポイントとストロングポイントを、どれだけ試合でカバーしたり、使えたりできるかということだ。弱い部分というのは当然フィジカル面。自由に相手にプレーさせないように競り合ったり、ポジションをうまくとったりして、体の大きな相手と試合をするという意識を高くもってプレーすることだ。特に、ドイツ戦ではセットプレーで2点やられ、この部分の弱さを露呈してしまったので、気をつけてほしい。ストロングポイントはアジリティだ。オーストラリアは一瞬の動きに難点がある。サイドでの1対1になった際でも日本人の特性をしっかり生かしてほしい。それと、ワンタッチプレー。連係するときのアジリティは、日本は相当高いものをもっている。ドイツ戦でも実証したし、これが未来の日本のフットボールスタイルになってくる。きっとオーストラリアだけでなく、クロアチアやブラジルも手を焼くに違いない。相手を翻弄する素早い連係でのアジリティ、つまり日本のストロングポイントを見せつけてほしいものだ。




 サイドのスペース、フィジカルの強い相手と競り合うときの意識、アジリティ、この3点がうまく実行されていれば、日本はうまく試合を運び、勝ち点3を得ることができるだろう。とにかく、明日のオーストラリア戦で今大会の成功の70%は決まるといってもいい。次のクロアチアはブラジルに負けて2戦目を迎える可能性が高い。これで勝利すれば、精神的に有利に試合を運べるので、しっかり勝ち点3を手にしたい。本当に明日のオーストラリア戦が待ち遠しいものだ。




チケット





コラム | 投稿者 木之下 潤 12:40 | コメント(0)| トラックバック(8)

6.10コラム  「カールの安らぎ」という意味をもつ街

■ホテルまでの道のりで街の意味をさとる


カールスルーエ

 日本戦が明後日に迫った。初戦のオーストラリア戦の試合会場となるカイザースラウテルンから電車で約1時間ほどの街、カールスルーエにやってきた。ドイツに着いて、今日で6日。街のつくりにも、ようやく慣れてきた。ドイツは大きな街でも、ほぼ歩ける範囲に美術館や国立劇場などの観光スポットが位置している。もちろん、ホテルもそうだ。先に街の雰囲気をつかむために、交通機関を使わず、ホテルまで歩くことにした。


ビアカフェ

 この街はすごくのどかだ。実際、カフェテラスでそれぞれの時間をゆっくりと満喫している人を、やたらと目にする。よく観察すると、車の交通量が少ない。逆に、自転車やローラーブレード、犬との散歩などを楽しんでいる人が多い。きっと、これがのどかに感じた理由だ。日本から持参したドイツの本を見て、あとから気づいたのだが、街の名前が「カールの安らぎ」という意味らしい。それを見て、すごく納得した。




■フットボールのある生活


公園

 ホテルの受付時間まで1時間ほど空いていたので、裏にある公園にいってみた。そこは芝生の公園で、横にはバスケットコートや小さな子どもが遊べるようなブランコなど、簡単なアスレチックがおいてある。日本では、なかなかお目にかかれない公園だ。私はすみにあるベンチに、とりあえず腰かけた。10mぐらいのところに、若い人たちが20人ぐらい集まっていた。ギターの曲に合わせて歌ったり、フリスビーをしたりして遊んでいる。10分ほど経って、中学生ぐらいの少年がやってきてバスケットボールをはじめた。その少年のボールをつくリズムを見ていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。


サッカー

 目が覚めると、芝生に小学生ぐらいの少年や30代前半のおじさん、40歳を超えたおじさんが7、8人ほど座って着替えていた。「何をするのかな?」と待っていると、短パンとスパイクを履きはじめたので、フットボールをすることに気づいた。着替え終えたあと、各自で準備運動をはじめた。それがすごく時間をかけてやっている。「こんなに準備する必要があるのか?」と思うほどだ。実際にプレーがはじまって感じたが、意外にみんな真剣だ。大人でも子どもに手加減しないことが多々ある。味方が失敗すれば、すごく怒っているおじさんもいた。体を動かすためにフットボールをする意味もあるのだろうが、ここではそれ以上に真剣にフットボールをプレーする。しかも、パスのまわし方や動き方を知っているので、フットボールの形になっている。


 今原稿を書きながら感じたことだが、真剣にやればやるほどストレスや運動不足は解消されるのかもしれない。私も会社のつきあいでフットボールをやったことがあるが、逆にストレスがたまってしまったので二度とやらないと思った経験がある。20年以上もフットボールをプレーしているので、それなりのことはやれる。でも、まわりがあまりにも知識がなさすぎるうえ、私に対して対抗心をむき出しにして荒いプレーをしてくるので、ケガをしてしまった。ソックスの下が血まみれになったほどだ。もちろん、場の空気を考えてまわりにはいっていないが、逆にストレスをためた経験がある。そう考えると、ドイツに住む人はフットボールのある生活で知識と見る目を養っているから、生活のなかのやすらぎとして心と体のリフレッシュをはかれるのだろうと感じた。




■激安スーパーで食材を購入…


私の食事

 部屋に荷物を置いて、少し散歩に出かけた。たまたまスーパーがあったので、入ってみることにした。なかに入ってびっくりしたのだが、とにかく安い。水も1.5リットルが0.5ユーロほど(1ユーロ:約144円 ※6/12現在)。フランクフルトの小さなコンビニで買った水は1.5リットルで8ユーロもした。どうもここは、日本でいうところの激安スーパーのようだ。ちょうどお金を節約しようと考えていたので、買い物をすることにした。購入したのはサンド用のパン、水、スライスハム、トマトケチャップのようなもの、ポテトチップス。これで値段は3.8ユーロだ。明日の昼食や、パンにいたっては明後日分ぐらいまであるので、すごく有意義な買いものだった。こちらの生活を少し体験できてテンションがあがったので、ポテトチップスをぼりぼり食べながらそのまま街を歩いてみることした。


 オープンテラスがたくさんあり、みんな日光を浴びながら会話を楽しんでいる。車も少ないので、本当に歩きやすい。デパートも、日本でいえば美術館のようなつくりで、とてもおしゃれだ。警官も中央の公園でバイクを停めて一休みしている。なんでもない光景だが、それもすごくおしゃれに感じてしまうから不思議だ。18時近くなり、お腹がすいてきたので帰ろうと歩いていると、大きなビジョンがあった。テラスがたくさん並んでいて、スウェーデンサポーターと黒人たちが画面にくぎづけだ。今から「スウェーデン×トリニダード・トバゴ」があるのだ。




■試合も前半できりあげて、夕寝をしてしまった


 みんなの反応は、昨日と同じだ。フットボールを知っているので、ゲームの流れを追っている。歓声が起きるのは、チャンスのときとチャンスを外したときだけ。それ以外は内容にくぎづけだ。その内容はといえば、スウェーデンがゲームを支配していた。少しレベルの違いがあり、トリニダード・トバゴはチャンスがほぼないに等しい。レベルの違いを引き立てていたのは、スウェーデンのツートップ。ラーションとイブラヒモヴィッチだ。ラーションはベテランらしい老獪な動きでチャンスに必ず顔を出し、おしいシュートを何本も放っていた。それ以上に際立っていたのが、イブラヒモヴィッチ。軟体動物のような体の使い方と、フィジカルを生かしたポストプレーでどんなボールにも対応し、攻撃の起点となる。長身なのにスピードと足元のプレーが抜群にうまいので、チャンスメイクにシュートにと大車輪の活躍を見せ、とうめようがないほどだ。結局、0‐0で前半を終了したが、内容は明らかにスウェーデンペースだった。


 後半も見ようかと思ったが、内容が圧倒的だったのと、のどかな街の雰囲気で眠たくなってきたので帰ることにした。もちろん、疲れがたまっていたのもあったのだが。帰り道でも、のんびりとした街の雰囲気を味わいながら、ゆっくり歩いた。「カールの安らぎ」、その意味を感じながら、サマータイムで日がまだ高い、夜の道に足を進めた。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:06 | コメント(1)| トラックバック(5)

6.9コラム  開幕戦とドイツ人の一日

■日本人はスタジアムで見たい! でも、どうやって…



音楽隊

 雲ひとつない晴天がワールドカップ開幕を祝福している。いよいよ開幕戦の当日を迎えた。朝から外がやたらとガヤガヤしている。楽器の音や叫び声、ドイツにいるすべての人がキックオフのホイッスルを待ちきれない様子だ。ルームメイトは「もしかしたらチケットをゆずってもらえるかもしれないから、とりあえず開幕戦のスタジアム(FIFA WM-シュタディオン ミュンヘン)まで行ってみる」と、淡い期待を胸に早々と部屋を出て行ってしまった。たぶん、PV(パビリックビューイング)が行われるオリンピックスタジアムで見ることになるだろうが。


 私は普通のスポーツカフェか、スポーツバーといった場所で開幕戦を見ることを決めていた。それは、今回のテーマのひとつが「フットボール先進国に住む人々とフットボールの関係」をのぞくことだったからだ。つまり会社帰りのサラリーマンやお年寄りなど、応援を意気込んでない人々が、どうフットボールとかかわっているのかを少し見てみたかった。


 一仕事終え、外に出てみると昨日よりは人が少なかった。たくさんミュンヘン入りしている人々がいるかと思い、駅に行ってみた。気合いを入れてサポーターメイクをしている人や、ドイツカラーをあしらった自作の大きな帽子をかぶっている人など、さすがに開幕戦だけあって人でごったがえしていた。時刻は12時をちょうどまわったころ。すでにスタジアム入りを目指す人々が地下鉄のホームへ向かっていた。日本人がいた。手には「I need worldcup ticket!」と書いたプラカードを持っている。ルームメイトと同じで、チケットがないけどスタジアムまで行って現地でなんとかチケットを手に入れようと、一生懸命がんばっているのだろう。それを見て、少し複雑な気分になった。英語で書くのはいいが、ここはドイツ。せめて、英語とドイツ語の2カ国語で書くとか、工夫の仕方があるように感じる。工夫…一番日本人に必要なもの、そして日本代表に必要なものかもしれない。こんな場面にでも、考えをもって工夫をできない国民性が出ていて、なんとなく悲しかった。




■メインストリートと広場は前日以上の盛り上がり!


にぎわい

  ゆっくりメインストリートを歩いてみる。ドイツ代表のユニホームやTシャツを着た人がかなり目につく。なによりもサラリーマンが、ドイツ代表の国旗をあしらったネクタイをつけている。おしゃれなうえに、きちんと仕事をしている。きっと素敵なサラリーマンに違いない。広場の近くになると、国旗やラッパをもって大声で行進しながら歩いている集団を目にする。開幕当日のテレビ番組がスタートすると、ファンはさらにヒートアップ。空からヘリが広場を映し出し、もうひとつのヘリは開幕戦をつげる横断幕を広げて飛んでいる。それを見て、とまらないほどの盛り上がりを見せる。それを警官が厳しい目でみつめている。昨日の2倍はいるだろうか。それほどの盛り上がりを見せていた。




■フットボールとのかかわり方


 いったん部屋にもどり、夕方5時ぐらいに再度メイン広場まで行ってみることにした。広場へ向かっていると、人々が逆に歩いている。たぶんPVを見るために、地下鉄へ向かっているのだろう。ようやくたどり着いた。しかし、拍子抜けした。なんとテレビのセットやクルーを片付けていたのだ。どうもここではPVはないらしい。よくよく考えてみると、まわりにはスポーツカフェやスポーツバーがたくさん点在している。PVなんか置いたら、商売あがったりだ。だから、街のなかには大きなビジョンを置かないのかもしれない。そういえば、フランクフルトも街外れの川沿いにあった。欧州、というかドイツではフットボールと関わりを持たない人への配慮を、こんな形でしているのか。ドイツの人々が少しだけ大人に思えた。




■いよいよ開幕! 前半はドイツのプライドがコスタリカをねじふせた


カフェ

  スポーツカフェへ向かう途中、フットボールに見向きもしない人々をたくさん目にした。世界を代表する祭典に反応一つしない。しかも母国で行われるのに。こんな人々がいるんだなと、冷静に受けとめた。そんなことを思いながら、スポーツカフェに向かった。ミュンヘンに入ってすぐ見る場所のメドを立てていた。駅の裏にある、トルコ系や中国系のお店が並ぶストリートのちょうど入り口にあるスポーツカフェだ。なんとなく、ドイツの実情が垣間見れそうな店だったからだ。そこに入ると、ドイツやトルコ、中東系、イタリア、イングランドなど、さまざまな人種がいた。


 そして待ちに待ったホイッスル。今日はエースのバラックがケガで不出場という緊急事態。ドイツは試合開始から積極的にボールを追い、プレッシャーをかける。攻撃に関してもセオリー通りに両サイドに展開して攻撃を仕掛ける。ドイツの気迫に押されているのか、コスタリカは何もできない。開始からわずか15分あまり。左サイドのラウムがライン際をドリブルでかけあがり、ねらい通りになかに切り返して、シュートスペースをつくるとゴール右すみにコントロールしたシュートを放った。たぶん頭に描いた通りだったと思う。ボールはキーパーの手をかすめることなく、右すみにキレイに決まって先制ゴールをあげた。その瞬間、カフェ全体に地響きが起こった。ほぼ全員が「ウオー!」といって喜んだからだ。なんともいえない、日本では味わえないものだった。


 しかし、喜びのつかの間、その10分後ぐらいにコスタリカのエース・ワンチョペがみごとなワンツーで抜け出し、冷静にゴールへ流し込んで同点に追いついた。今日のドイツには豪快さと強引さが足りない。攻撃にも守備にも迫力がないのだ。やはりバラックの欠場が影響しているのだろう。彼の魅力は強引なミドルシュートであり、豪快な攻め上がりで、ドイツに迫力を加えている。テクニックやうまさなどのやわらかさがあるわけではない。しかし、いなくなって、はじめて存在の大きさがわかる選手だと気づいた。


 ドイツもバラックの穴を埋めようと、フリングスがハードワークで相手の攻撃の目をつみ、ゲームを展開する。しかし、あまりにも単調なパスでつなぐために変化に乏しく、コスタリカは容易に対処していく。それでも、プライドの高いドイツ代表は単調なサイド攻撃を何度もくりかえす。ここがドイツ代表の昔からの強さだろう。わかっていても止められない。先制ゴールから約10分あまりでクローゼが簡単にネットをゆらしたのだ。大きな大会に強いクローゼがまたも大仕事をやってのけた。その後は、両チームとも迫力のない内容で終始ペースをつかめず前半を終えた。



■後半戦の途中まではコスタリカペース…
しかし結果はドイツの勝利!



 後半はコスタリカが足元のテクニックを生かし、ポゼッションをあげてくるとペースをつかむ。中盤で細かくパスをまわし、トップのワンチェペを経由してフィニッシュまでもっていく。彼のワンタッチでさばくボールさばきがドイツDF陣を混乱に陥れた。しかし、ここでホスト国の利点がでる。久しぶりに攻めたサイド攻撃が追加点につながったのだ。左サイドをぬけたシュナイダーがコントロールしてセンタリングをあげる。でも、高さが合わずにボールを後ろにそらしてしまう。そこに走っていたのが、またもやクローゼだ。一度シュートを阻まれたが、こぼれ球を冷静にゴールに流し込んだ。こういうときにはやってくれる選手。1980年のワールドカップ・イタリア大会の得点王スキラッチ。彼のように、普段のリーグ戦では目立った活躍はしていないが、大一番で結果を出す。クローゼは今年こそリーグでゴールを量産したが、2002年のワールドカップ・日韓大会以降、そんなに目立った活躍はしていない。ワールドカップのような短期間の大会ではこういう選手は必要だ。


勝利!

 3‐1で守りに入ったのか、ドイツは一気にラインを引いて守備固めにつとめる。しかし、ここで守れないのが、最近のドイツ代表の悪いところだ。またもやワンチェペがDFの裏に抜け出し、キーパーの右をねらって冷静にゴールを決めて1点差に追いつかれてしまう。少しドイツも盛り返すが、勢いにのったコスタリカを止められない。しっかりとパスをまわし、徐々に高い位置まで進出したあとに、前線につなぐためにボールをどんどん広って何度も攻撃を仕掛けられる。ドイツは勝ってはいるが、かなり苦しんでいた。しかし、負けられないドイツは4点目を入れることに成功する。左サイドから攻撃を仕掛けようとするが、なかなか守備を崩せず、とりあえず中盤のフリングスにボールまわした。ここで彼は大胆にもシュートを打ったのだ。キーパーやDFも完全にタイミングは読んでいた。でも止められなかった。それは、彼が普通だったら浮かしてしまうシュートを基本通りにボールを見て、しっかりミートすることだけを心がけてシュートを打ったからだ。コースはたまたまだろうが、しっかりボールの芯をとらえたシュートは全く手の届かないコースにとんだ。これで4‐2。残り時間を考えても十数分。普通に守れば逃げ切れる時間だ。ドイツは冷静さを取りもどし、開幕戦で勝ち点3を手にした。



■フットボールのもうひとつのあり方


 カフェにいた人々は、意外なほど冷静に試合の行方を見ていた。盛り上がる場面はシュートを入れたとき、シュートを外したとき、惜しいシュートが放たれたとき、相手がシュートをうったとき、その4つだ。それ以外は試合状況をずっと見ている。もちろん目が肥えているので、試合の流れをつかんでいて、それぞれの目線で微妙にリアクションをとっていた。試合が終われば、みんないっせいに店をあとにした。これがドイツの普通のフットボールとのかかわり方だろう。あとは、家に帰るか、別の店に飲みに行くか。フットボールが特別なものではなく、普段から密着しているものなのだ。それが、別にワールドカップだからといって、ブンデスリーガとなんら変わりはない。彼らにとっては同じフットボールなのだ。そんなとらえ方をできるドイツがうらやましい。フットボールが生活に根づき、文化としてなりたっているからだ。特別な大会のフットボールととらえ、試合終了後に騒いでいる人々の大声を、私はホテルの部屋で聞きながら原稿を書いている。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:35 | コメント(1)| トラックバック(6)

6.8コラム  ワールドカップ開幕前日!

■メイン広場でワールドカップ前日のにぎわいを満喫!


フランクフルト-ミュンヘン

 いよいよ、ワールドカップが明日に迫った。ドイツ鉄道を利用し、3時間かけてフランクフルトからミュンヘン入り。開幕戦前日の雰囲気を味わいたいくて、部屋に荷物を放り出して、すぐにメインストリートに飛び出した。ミュンヘンはフランクフルトと違い、なにか街全体が雑然としている。駅を中心に扇形状に街が広がり、路面電車がいたるところを走っているからだろうか。すごく混雑している印象を受けた。フランクフルトは区画整理がきちんとしており、一度歩けば覚えられたので、よけいにそんな感じを覚えた。


 メインストリートの入り口には噴水があり、そこでみんながくつろいでいる。日中は、25℃前後はあったからだろうか。熱い日差しをうけながら、たくさんの人々が涼んでいた。「ドイツに来てはじめて汗をかいた」といったら、この状況をわかってもらえるだろうか。先へ進むと、やはりワールドカップ前日なだけはある。いろんな人種の人間でストリートが埋めつくされていた。特に、明日の開幕戦に登場するエクアドルサポーターが多い。10人ぐらいでビールを片手に、ほかの自国のサポーターを見つけると「ヘーイ、ヘーイ」と声をかけ、いきなり歌を合唱しはじめる。とにかく熱い。日本では目にすることのない大道芸人もたくさん目にする。マジックを披露する大道芸人や、白い洋服で自らにも白い絵の具を塗って動かずに「ボー!」っと立っている芸人など。言葉はおかしいが、映画に出てくるシーンがそのまま投影されている感じだ。ドイツの人々も自国カラーの黒、黄色、赤のラインが入った帽子や旗などを身につけている。女の子がジーパンとTシャツに、その帽子をかぶっているとすごくかわいい。一見すると、突飛なファッション。しかし、こちらの人はそれを自分の雰囲気と調和してしまうから不思議だ。


ブラジルの美女たち

 一番のメイン広場に入ると、明日開幕戦を放映するための準備が行われていた。そこには各国のテレビがたくさん入り、取材をしていた。ドイツはもちろん、ブラジル、エクアドル、イタリア、アメリカ、日本などのカメラとインタビュアーが取材合戦をしている。サポーターを見ていると、自国の色を垣間見ることができた。楽器を使って自国の応援歌を合唱している国、とにかく叫びながら自国をアピールしている集団など、とにかくさまざまなスタイルの応援で自国を盛り上げていた。デジカメを片手に、たくさんの写真を撮った。そのなかで思わず「1枚写真を撮っていいか?」といってしまったほど、美人の集団に出会った。それは写真を見てもらえばわかると思う。各国の女性がたくさん集まっているが、ブラジルの女性は一番きれいだ。これだけ読んでいると、いやらしく聞こえるかもしれない。しかし、彫刻でつくったようなスタイルと、小さい顔、そして南米ノリの性格が各国の男性をひきつける。フットボールのサポーターで一番美人はブラジル女性だと聞いていたが、実際に見てみて「そのとおりだ!」と感じた。





■夜は各国の雑誌に紹介される有名なビアホールで
ワールドカップの盛り上がりを体感した



 たまたまルームメイトが日本人で、話をしていたら盛り上がってしまって有名なビアホールがあるから一緒に行こうということになった。ミュンヘンで友人と会うことになっていたので、3人で夜の街へ足を運んだ。夜でも人の気配がなくなる様子もなく、みんなワールドカップ前日の雰囲気を味わっていた。


ドイツのサポーター

 待ち合わせの場所から1.5kmほど歩き、ようやくビアホールにたどり着いた。なかに入ると、まさにそこはワールドカップ一色。各国の人間でごったがえしていた。まず驚いたのはビールのジョッキ。みなさんはビールのジョッキがどのくらいの大きさだと想像するだろうか。こちらのジョッキは1リットル。男性も女性も関係なく、片手で持ちあげてグビグビとビールを飲み干す。サポーターもそうだが、日本とはスケールの大きさが違うのだ。なかで席を探していると、ドイツ人が声をかけてきた。すごい勢いで「ここに1人、あっちに2人分席が空いているから座れ」と進めてくるので、そこに座ることにした。そこのテーブルには15人ほどがビールを飲みながら会話を楽しんでいた。このテーブルにはスペイン、イタリア、アメリカなど6カ国ぐらいの人がいる。あとで気づいたのだが、そのドイツ人はたくさんの人と交流をはかりたくて、違う国の人々をテーブルに集めていたみたいだ。


 隣に座っていたスペイン人と馬が合った。スペイン人はさずがにラテン系。話をしていると、どちらもカタコトの英語なのだが、なんとなく盛り上がる。日本はどうだと聞いてみると、「すばらしいチームだ。ドイツと2‐2で、しかも内容の濃い試合をしていた。オレはそれに驚いたし、みんな驚いた。グッドチーム!」と日本をべた褒めしていた。ドイツ人も日本はすばらしいチームだと言っていたので、欧州での日本の評価はあがっているのかもしれない。日本ではこのままベスト16のノルマを達成できないという報道が想像できるが、こちらの人は意外にも日本にいい印象を持っているようだ。


エクアドルのサポーター

 私はほかのテーブルの様子が気になったので、デジカメとビールを持って散策に出てみることにした。ビアホールの中央では、音楽隊のような集団がホール全体の雰囲気を盛り上げている。その演奏に合わせて、まわりの人々が歌や踊りを楽しんでいる。ドイツ人は誰かが音頭をとればいっせいに盛り上がる。しかし、南米系、特にメキシコとエクアドルは1人1人が勝手に盛り上がっていた。そしてラテン系のノリがみんなを盛りたて合唱がはじまる。陽気な性格はどんどんと、ほかの国の人をまきこみ、1つの輪をつくっていた。


世界の輪!

 そんな様子を見ながら各国の人に声をかけて、写真におさめていく。こんなにもワールドカップ、いやフットボールを通じて交流をはかれるものかと、分かってはいたが実感した。そして、フットボールに国境がないことを体感して、感動した。すきっ腹に1リットルのビールが効いたのか、すごいハイテンションになり、意味もなく各国の人々と歌ってしゃべって、気づいたら深夜0時をまわっていた。外にでると、ビアホール待ちの人々が20人ほどで入り口をいっぱいにしていた。この店は各国の雑誌で必ず取りあげられるほど有名なビアホールらしい。偶然にも、そんな場所でワールドカップ前日の盛り上がりを実感できて、うれしく感じた。その夜はワールドカップ前日という特別な日の余韻にひたりながら、何だか今までに味わったことのない温かいものを心に感じながら歩いてホテルまで戻った。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:22 | コメント(0)| トラックバック(2)

6.7コラム  ドイツの玄関・フランクフルト

■古いものと新しいものが見事に融合した街



フランクフルト地図

 今日は羽織るものがいらないほど暖かい。デジカメを持って、フランクフルトの街の中心地を散策してみた。こちらの時間でいえば、10時半。日本では18時半でもう日が落ちようとしている時間だろうか。泊まっているホテルの前には川が流れており、その川沿いにはウォーキングする人、自転車で走る人、老夫婦、カップル、ジョギングする人…さまざまな人が通っている。なにげない日常生活のひとコマだが、雰囲気のせいかとても心地よく感じる。こちらの人は自分自身の時間をとても大切にし、生活にメリハリをつけている。この時間にたくさんの人が歩いているだけでも説明がつくかもしれない。小学生ぐらいの子どもでも平気でスケボーに乗っているから不思議だ。


アディダス宣伝

 川を挟んだ向かい側はもう街の中心地。高層ビルの上層部にアディダスの宣伝として、ブラジル代表のカカ、ドイツ代表のバラックの顔がのった旗のようなものが備えつけられている。「もうすぐワールドカップが開幕だ!」という合図の旗のようだ。川を渡ったところに広場があり、ミュージアムなどが建ち並ぶ。そこで、ブラジルのサンバ隊のような集団がテレビの取材を受けていた。どこかフランクフルトの街と不釣合いだが、歩いている人はそれを受け入れているのか、そのアンバランスさが妙に絵になっている。映画のワンシーンでつかってもおかしくない光景だ。



フランクフルトの街並み

 さすがにドイツの玄関口なだけあり、いろんな国のショッピングセンターが並んでいる。トルコ、南アフリカ、韓国などさまざまだ。フランクフルトは経済都市として有名で、各国の大きな銀行がたくさん混在している。たぶん、見るとびっくりすると思う。銀行なのに15世紀ぐらいの皇居を思わせる建物や50階以上はあるだろう高層ビル、モダンなつくりの近代的な建物といった具合に、これだけでも十分な観光スポットだ。古いものを大切にする習慣があるのだろう。街の中心であっても、歴史を感じる建物がたくさんあり、新しいものと混在している。


■ちょっと豆知識!



フランクフルト駅

 明日が移動日なので、ドイツ鉄道のフランクフルト駅を探すことにした。駅の前に立つと、思わずデジカメのシャッターを切ってしまった。まさに、みんなが映画で見たことがあるような建物だ。天井が高く、行き先によって線路が分かれており、全部で15を超えるほどの路線がある。ここで少し欧州の常識かどうかはわからないが、ひとつ大きな発見をした。駅のなかのトイレが有料なのだ。0.75ユーロ。日本円にして約100円だ。トイレの入り口のところにお金を入れる精算口があり、きちんと柵があって通れないようになっている。ドイツにきたときに、トイレに行く場合はコインの用意を…。


■街はワールドカップ一色!



 言葉を除けば、不自由することはない。片言の英語だが、身振り手振りと合わせて買い物もできるし、たぶん映画も見れるだろう。本当に心地よい街だ。現在はサマータイムで、20時過ぎても日が落ちない。ワールドカップを楽しむにはぴったりの時期。街の露店には各国の代表グッズが並び、駅のプラットホームにもグッズがあった。街のいたるところにフラッグがかけてあり、みんながワールドカップを待ちきれない様子だ。明日からは、いよいよ開幕戦の開催地ミュンヘンに入る。ここフランクフルトよりも、もっとワールドカップの活気が漂っているに違いない…。


コラム | 投稿者 木之下 潤 12:00 | コメント(4)| トラックバック(0)

6.6コラム  ドイツに到着!

■いきなりカルチャーショック?


フランクフルト地図

 ついにドイツに到着した。しかし、いきなり驚いた出来事が!入国審査がすごくルーズだった。質問も入国カードもなし。はじめて欧州にきたからかもしれないが、韓国でも日本でもスムーズに荷物検査をパスできず、中身を全部調べられた。だから、よけいにドイツでの審査が「こんなにもゆるいの?」と疑問に感じてしまうほど。それでも、街へ出ればそんな出来事を忘れるほど、街の雰囲気がよくて自然に笑顔になってしまう。街にいっても公園や川があり、どこにいても自然を感じることができるのが、その理由なのかもしれない。とにかく、いろんな人種が混在しているし、住みやすそうな印象を受けた。


川沿いのビジョン

 現在、フランクフルトにいる。さすがに、ドイツは近代の日本フットボールのベースとなったモデル国。川の真ん中に、ワールドカップの試合を観戦するための大きなビジョンが「ドーン」とたっている。日本では考えられない。水にぬれたりと損害を考えるのが、日本では先にたつが、こちらの国ではどうも違うようだ。それでも、それ以外にもビジョンがいたるところにあり、さすがにフットボール先進国だというのを実感できた。




■ファンフェスタでワールドカップが近いことを体感!


 地下鉄を降りてから道がわからず2、3人に道をたずねたが、みんながやさしく教えてくれる。50歳前後のおじさんが、「ホテルはウォーキングの途中だからつれていってやる。ついてこい!」と言って連れていってくれた。つたない英語で簡単な話をしていると「今日は夜ファンフェスタがあるから行ってみたらどうだ?」と教えてくれた。実際に川沿いをよく見て見てみると、船の上にレストランがあってイベントを行う雰囲気が漂っていた。


夜のフランクフルト

 夜11時ぐらいに外に出てみると、川沿いにずらっと1,000人ぐらいが集まっていた。期待しながらファンフェスタをのぞいてみると、フランクフルトやシシカバブなど、各国の人たちが自国の料理を紹介するために露店を開いていた。ほかにも、DJブースを設置し、ハウスやサンバなどの曲を流して簡単に踊れるスペースを設けていた。世界中の人たちが交流をはかれるような内容でおもしろいイベントだ。川の向かい側がちょうど都市の中心街で30階ほどのタワーがいくつか建っている。それをライトアップして、イベントを楽しく演出する仕掛けをつくるなど、街中をあげてワールドカップを盛り上げていた。



■人種の増加とドイツフットボールの関係


 本当に、ドイツはたくさんの人種が集まっている。トルコ、スペイン、イギリス、アジア系、アフリカ系など、ここにいない人種はない。もともとは日本で考えるほど国境の価値がない地域だったと思うが、紙幣がEUに統一されてからはより自由に国境を越えて、仕事や観光などをおこなえるようになったのだろう。そのせいか、ドイツフットボールの性質も少しずつ変化している。ブンデスリーガにもいろんな国の選手があつまり、スタイルも変わった。一昔前は、縦にボールを入れ、ゴールに直線的なフットボールをしていた。しかし、この間の日本戦でも横パスが多くなり、今までの“こわさ”がなくなった印象を覚えた。つまり、ドイツ人の特徴である、フィジカルの強さや高さが生かしきれていないということだ。将棋でいえば、横に動かない飛車と角のようなボールの流れがドイツのスタイルであったのに、横パスが増えたばかりにゴール近くにボールがいく回数が減ってしまった。横パスが増えればインターセプトがしづらいので、ゲームの支配率はあがるかもしれないが、ドイツの特徴は出ない。ここが日本戦での結果や内容であり、強豪国に勝てない原因なのかもしれない。逆に、いろんな人種が増えたからこそ、自分たちを主張するように自国のフットボールのよさを誇示すべきだ。今大会はホスト国として負けられないドイツ。自国の特徴を生かしたフットボールが優勝へのカギなのかもしれない。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:12 | コメント(2)| トラックバック(3)

6.4コラム  いよいよ出発! ひとまず韓国へ…

■ワールドカップ間近でお隣・韓国もヒートアップ!



韓国街並み

 今日、日本を発った。航空会社の関係でドイツへ直行せず、ひとまず韓国で一泊。ホテルに着いてから夕食の前まで街を歩いてみた。さすがに、韓国の首都・ソウル。今日が日曜日だということもあり、人の多さにびっくり。ショッピングセンター周辺に行くと、若者であふれかえっていた。もう「どっさり!」といった表現がぴったりだ。私はそれだけで、もうすでに「ソウルの街にお腹いっぱい」といった感じで、2時間ほどでホテルに帰ってきてしまった。


韓国ワールドカップグッズ

 それでも、ソウルの街もワールドカップのにおいがしていた。露店では、韓国代表のテーマカラーの赤を基調とした、Tシャツや旗などのグッズがいたるところで売られていた。2002年の時の盛り上がった写真を壁前面に塗り替えた建物があったり、ショッピングセンターには必ず応援グッズコーナーが設置してあったりと、ワールドカップの盛り上がりが垣間見れた。新聞にも韓国代表や他国のことが載った記事が前面に掲載され、韓国も情報収集に余念がなさそうだ。さすがに、フットボールが国技として認められているだけはある。予選グループの対戦カードに穴のあいた看板をつけ、さらにそこへボールをけり込んで勝敗を予想するといったイベントも街の中心で行われていた。


■人々からあふれでるバイタリティが強さの秘密



 とにかく韓国の人々は、バイタリティにあふれている。すれちがう人は必ずといっていいほど、何か食べものを口にし、友達と大きな声でしゃべっている。若者が多い街の狭い路地を走る車を見向きもせず、自分たちのペースで歩いている。運転手も慣れたもので、すれちがう人たちのスレスレを走っている。だが、気にするそぶりも見せない。むしろ、当たったら「君たちが悪いんだよ!」といった感じでゴリゴリと進んでいる。ハングル語が擬音語の多いせいか、表現は悪いが「うるさい」。まわりがうりさいので、自分たちの声も大きくなっていく。だから、街中がガヤガヤとしている。


 しかし、裏を返せば、韓国のフットボールのよさはこの国民性のなかにこそ、凝縮されているのかもしれない。自分の意思をはっきりと主張し、自己責任を認識する。選手たちのプレーを見ていると、この点に関しては間違いなく、日本より上をいっている。日本人は自分の主張よりも、相手の主張を尊重する方が先。自己責任という点では「逃げる」ということも多少ある。だが、自己主張が強すぎるだけに、強調性にかける部分がある。日本とはまったく逆だ。日韓戦を見ていると、その対照的な違いは明らかだ。まあいずれにせよ、韓国も、フランス、スイス、トーゴといった強豪国と対戦する。このグループはフランスとスイスの実力が抜けているだけに、アジアの同胞としては、がんばってもらいたいものだ。


韓国新聞

 2002年の日韓大会では、イタリアやスペインを破ってベスト4に進んだ韓国。日本同様に2大会連続の予選グループ突破は、国民のなかでは当たり前という認識が強い。イングランドのマンチェスター・ユナイテッドに所属するパクチソンを中心に、4‐3‐3もしくは4‐5‐1に近い布陣で、フィジカルとスピードを生かした攻撃的なフットボールを実践しそうだ。相手がフランスでもスイスでもトーゴでも、1点入れられたら2点取り返すぐらいの気持ちでしっかりと結果を残してほしい。そして、日本とともにアジアフットボールのレベルがあがっていることを世界に見せつけてほしい。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:00 | コメント(4)| トラックバック(0)

6.3コラム  もうひとつの黄金世代の選手たち


■ワールドユースの準優勝を経験した選手たち


 Jリーグが発足してから、一番タレントが豊富にそろった世代がいる。小野、稲本、高原らを中心とした“黄金世代”と呼ばれる選手たちだ。西暦でいえば、1979‐80年生まれ。ユース世代から各カテゴリーの代表を経験し、1999年のワールドユース・カタール大会では、準優勝を果たしている。この結果は、代表としての世界大会では、日本フットボール史上初の快挙だった。


 ドイツ大会では、ワールドユースで準優勝を経験しているメンバーが6人もいる。小野、稲本、高原、遠藤、加地、小笠原だ。ドイツやイングランド、オランダといった欧州リーグを経験した選手や、Jリーグをリードしている選手たち。まさに、彼らが日本のフットボール界の中心に立っている。彼らは今年26‐27歳に迎え、これから選手として絶頂期に入っていく。今大会では、各選手がどんな活躍を見せてくれるのか、非常に興味深いところだ。



■4名の遅咲きの黄金世代選手たち


 それとはもひとつ、ワールドユースを経験していないが、この世代に入る黄金世代の選手たちが存在する。それは、巻、玉田、大黒、坪井だ。彼らも1979‐80年生まれ。世代でいえば、黄金世代に属する。小野、稲本らとは違って各カテゴリーの代表経験もなく、Jリーグで結果を残してドイツ行きの切符を手に入れた、まさに今花開こうとしている選手たちだ。ジーコが監督になって、はじめて代表を経験し、世界に接した彼らはメキメキと実力をあげて結果を残す。「もう一度、代表を経験したい。もう一度、世界の選手と戦いたい」、そんな気持ちを胸に、各所属チームで中心選手になり、成長を遂げてきた。


 巻は熊本の名門・大津高校を卒業後、駒沢大学に入り、2003年にジェフ千葉へ入団。一年目はリーグ17試合に出場、わずか2ゴールにとどまっている。しかし、名将オシム監督に才能を見出だされ、一歩ずつ成長を遂げてきた。2004年は30試合に出場し、6ゴール。2005年は33試合に出場して12ゴールと、数字にも表れている。代表に初選出されたときも「まだはやい」など、オシムは巻の成長を考え、厳しいコメントをしている。しかし、巻は恩師の言葉をしっかりと理解し、着実に自分の道を歩んできた。強いハートと、がむしゃらなプレー。サプライズといわれたが、ほかの選手にはない武器があった。ドイツでも、きっと代表のために、攻撃に守備にと、ひたむきなプレーで勝利に貢献してくれるに違いない。


 玉田は1999年に千葉県の習志野高校から柏レイソルに入団。スピード豊かなドリブルと、強烈な左足のシュートで期待された選手だった。しかし、99年から02年までの3年間で25試合の出場にとどまり、わずか3ゴールの成績しか残せなかった。だが、翌年から出場機会を与えられると、じょじょに才能が開花しはじめる。抜群のボールコントロールでピッチを縦横無尽にかけまわり、シュートを決める。02年には出場が13試合になり、03年には30試合に出場し、11ゴールを決める活躍を見せた。まさに、自由を与えられて得た結果だった。ジーコも玉田の非凡な才能を認め、自由を与える。セカンドストライカーとしてトップと中盤を動き回り、“ゴールに絡む”という仕事を自由にやらせた。ゴールを決め、チャンスをつくる。ドイツでも攻撃の切り札として、玉田への期待は大きい。


 大黒は99年にガンバ大阪ユースからトップチームに昇格したが、なかなか出場機会を得られなかった。01年に自ら志願し、J2のコンサドーレ札幌にレンタル移籍。試合に出場する機会は少なかったが、岡田監督のもとで自分の武器「ボールのないところでの動き方」を磨いていった。02年に復帰後、出場機会を増やしていった。03年には10ゴール、04年には日本人トップの20ゴールをたたき出して才能を開花させた。代表入りしてからは、最終予選の逆転ゴールなど、無類の勝負強さを見せてきた。ドイツでも、ゴールが必要な場面で起用される。大黒の決勝ゴール、そんな見出しでメディアをにぎわせてくれるに違いない。


 坪井は、大学時代から少しずつ実力をつけてきた選手だ。福岡大学に進学し、ユニバーシアード代表監督などを努める乾監督の指導のもと、頭角を現す。類まれな身体能力を生かすためにフィジカルをきたえ、コツコツと努力を積み重ねてきた。04年にはユニバーシアードの代表として金メダルに貢献。その活躍をきっかけに、浦和レッズに入団する。1年目から30試合に出場して新人王に輝き、翌年にはベスト11にも選ばれる。ジーコも1対1でのスピードと身体能力を生かした守備に目をつけ、経験を積ませていった。一時はケガのために先発は田中(ジュビロ磐田)にゆずったが、Jリーグで結果を残して先発の座を取り戻した。速攻を得意とするチームが多いだけに、坪井のスピードが生きるはずだ。


 彼ら4人も才能あふれる選手だ。小野や稲本らと道は違うが、着実に実力をつけて代表入りの切符を手にした。違う道を歩んできたからこそ、代表で見えるもの、代表に与えるものが異なる。ドイツ大会では、もうひとつの黄金世代が代表で花開くに違いない。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:23 | コメント(3)| トラックバック(7)

決勝トーナメント

決勝トーナメントです。
順次更新していきます。

決勝トーナメント

決勝トーナメント | 投稿者 木之下 潤 18:43 | コメント(4)| トラックバック(0)

6.2コラム  中田英寿という存在

■中田とワールドカップの関係


 これまで日本はフランス、日韓、ドイツと3大会連続で、ワールドカップ本大会への出場権を獲得してきた。今回のドイツ大会はもちろん、フランス大会でもアジア3位決定戦で強豪イランを破り、ようやく本大会への切符を手に入れた。日韓大会はホスト国というのもあり、予選は免除されたが、その分チームとしての完成度を高める難しさがあった。


 予選を含めて、ワールドカップという大会の難しさを一番知っている男がいる。それは、中田英寿だ。彼は唯一本大会で全試合出場しており、フランスとドイツの予選を戦ったことがあるプレイヤーだ。まさに、近代の日本フットボール界の歴史そのものである。知っている人も多いと思うが、U-15代表から各カテゴリーで日の丸を背負い、ずっと世界と戦ってきた。20歳のときに代表入りをしてからケガやクラブの事情をのぞけば、ほぼ全試合に出場し、日本代表を引っ張ってきた。


 ドイツ大会予選ではチームに対して、数々の苦言を呈してきた。もちろん、チームでベテランというポジションに属してきたこともあるが、なによりも年齢的にフットボールプレイヤーとして一番脂がのった時期だということを意識していたからかもしれない。中田にとって短いフットボール生命の一番輝ける時期と、ほかの代表選手たちのレベルがあがり、そのチーム力とがかみ合えば、本大会でも十分に勝ち抜けるという想いが重なり合ったからこそ、苦言という形でチームを鼓舞したのかもしれない。1次予選のシンガポール戦後には「このままでは乗り越えられない壁がくる」、また最終予選では「チームの前に、まず1対1で勝つこと。それが大事。」と語っていた。記憶に新しいのは、最終予選を勝ち抜き、本大会の出場権を獲得したときの報告の記者会見のとき。「ぼくは、このチームがまだ本大会を勝ち抜く力はないと思う」とコメントし、記者たちを驚かせた。しかし、中田は「もっともっと上を目指そうよ。きっと日韓大会よりもいい成績を残せるレベルにまで達せるから」と、仲間たちに心の中でささやいていたのかもしれない。




■中田という存在を仲間たちが利用して得た力


 それからの代表選手たちは変わった。中田の言葉が変えたのかはわからない。しかし、中村をはじめ、福西や中澤といった選手たちが自分の考えを伝えるようになったのだ。それも中田に対して。それは今までになかったことだ。中田が意見をいえば、みんなは納得していなくても従ってしまう。そんな雰囲気がこれまでの代表チームにはあった。しかし、選手たちが自分に自信をもち、中田を一人の選手として見るようになったのだ。これこそが、彼が一番待ち望んでいた代表の姿だった。各選手が自分の意見をはっきりと明確に伝え、チームにとって一番いい方向で軌道修正をおこなっていく。今の代表にはチームという力にぶらさがっている選手など誰もいない。チームという力にしっかりと自分の力を上乗せし、さらには相乗効果がでてきている。




■「これまでの試合で一番いい!」この言葉に凝縮されたもの


 最終予選を勝ち抜いてから、本大会のメンバーが決定するまでの代表戦。これは、自分自身の実力をアピールし、メンバー入りするためのテストみたいなもの。選手たちがチームのための“勝利”という二文字に対し、どれだけモチベーションが高かったのかは、正直わからない。メンバーが決定してからの代表はすごくリラックスし、精神的にも肉体的にもいい状態を保っているような気がする。当然のことといえば、当然だが、3度目のワールドカップということもあるのだろう。ワールドカップを経験しているメンバーが多い。事実、メンバーが決定してからの代表は、合宿中に全員が意見を出し合い、よい方向へ進んでいる。きっと、中田は3度目のワールドカップにして、はじめて手ごたえをつかんでいるのかもしれない。それ実践できたのが、一昨日のドイツ戦ではなかったのだろうか。


 ドイツ代表を相手に、試合のなかでゲームプランを変えられる柔軟性。流れを読みながら守備の仕方をかえ、攻撃もカウンターやサイドチェンジ、ロングパスなどバリエーション豊かに使い分けていた。後半20分以降に入れられたセットプレー以外、選手たちの頭のなかでは、ほぼ自分たちの思い通りのフットボールができていたのではないかと感じる。それが試合後の中田のコメントに凝縮されていた。「これまでの試合で一番いい!」。今まで苦言を呈し、チームを鼓舞してきた中田も、手ごたえを口にした。はじめてといってもいいだろう。このまま全員がモチベーションを高く保ち、連係をはかっていけば結果がついてくる。中田には、そういう心が少し芽生えているのかもしれない。2010年のワールドカップ・南アフリカ大会には、中田は34歳を迎える。ドイツ大会は選手としてピークで戦える最後のチャンス。彼の力と、成長した仲間たちの力が融合すれば、ベスト8以上も夢ではないかもしれない。
コラム | 投稿者 木之下 潤 12:26 | コメント(1)| トラックバック(1)

アンドリュー・シェフチェンコ ウクライナ代表

アンドリュー・シェフチェンコ
ポジション/FW
生年月日/1976・9・29 
身長・体重/183cm・72kg 
所属/ACミラン


 ウクライナの英雄として、欧州最優秀選手やセリエAの得点王など数々の偉業を達成してきた。驚異的なスピードでドリブルを仕掛け、相手の抜き去ってからシュートまでの速さはまさに圧巻。ミランでは常にFWの中心として、リーグやチャンピオンズリーグでも活躍し、チームを引っ張っている。彼が大爆発をみせたら、上位進出も夢ではないかもしれない。







ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:06 | コメント(1)| トラックバック(0)

フェルナンド・トーレス スペイン代表

フェルナンド・トーレス 
ポジション/FW
生年月日/1984・3・20 
身長・体重/183cm・70kg 
所属/アトレティコ・マドリード


 「エル・ニーニョ」(子どもという意味)の愛称で、10代から所属チームで攻撃の中心として活躍してきた。抜群のゴールセンスをもっており、同代表のラウールの後釜として国民の期待を背負っている。スピード、足元のテクニック、頭のよさ、ずるがしこさを持ち合わせたゴールハンターだ。予選でも11試合で7ゴールをあげ、実力の高さを発揮した注目選手だ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:05 | コメント(0)| トラックバック(0)

パク・チソン 韓国代表

パク・チソン
ポジション/MF
生年月日/1981・2・25
身長・体重/175cm・72kg
所属/マンチェスター・ユナイテッド



パク・チソン 京都パープルサンガにも在籍し、天皇杯でも優勝を経験。その後は欧州に活躍の場を広げ、オランダのPSVアイントホーフェンからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。豊富な運動量とスペースへの飛び出しで攻守に貢献。試合の流れを読む能力に長け、ゲームをコントロールできる。2大会連続の決勝トーナメント進出するために、必要不可欠な存在だ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:04 | コメント(0)| トラックバック(0)

ティエリ・アンリ フランス代表

ティエリ・アンリ 
ポジション/FW
生年月日/1977・8・17 
身長・体重/187cm・81kg 
所属/アーセナル



 現在、世界屈指のストライカーで、欧州のビッグクラブがのどから手がでるほどほしい選手だ。驚異的なスピードで相手をふりきり、ゴールを陥れる。さらに足元もテクニックもうまいうえ、状況判断がいいので、チャンスも数多く演出できる器用さを持ちあわせる。代表ではクラブほどの活躍を見せていないが、今大会では実力を発揮してくれるに違いない。




ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:03 | コメント(0)| トラックバック(0)

ロナウジーニョ ブラジル代表

ロナウジーニョ

ポジション/MF
生年月日/1980・3・21
身長・体重/180cm・76kg
所属/バルセロナ



ロナウジーニョ 2004・2005年のFIFA最優秀選手でありながら、2005年の欧州最優秀選手も獲得。現在、現役選手のなかで最高のプレイヤーと呼び声が高い選手だ。サンバのリズムのような独特の細かいボールタッチで相手を翻弄し、チャンスを演出。意表をついたワンタッチプレーや、キラーパスはまさに芸術だ。ブラジル代表の司令塔として、2大会連続の優勝へ導く。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:02 | コメント(0)| トラックバック(0)

アルベルト・ジラルディーノ イタリア代表

アルベルト・ジラルディーノ
生年月日/1982・7・5
身長・体重/184cm・76kg
所属/ACミラン



ジラルディーノ 05年のアテネオリンピックでも大活躍を見せた、イタリアの期待の星。ペナルティエリア内でゴールへの抜群の嗅覚を見せ、ゴールを陥れるストライカーだ。スピードにすぐれ、俊敏性もあるのでシュートチャンスも演出できる。強靭なフィジカルと高さを生かしたヘディングも得意で、マルチに力を発揮できる。イタリアのエースとして期待される若手のホープだ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:01 | コメント(0)| トラックバック(0)

クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル代表

クリスティアーノ・ロナウド

ポジション/FW
生年月日/1985・2・5
身長・体重/183・75
所属/マンチェスター・ユナイテッド

選手紹介
 シザースを巧み操りながらフェイントをかけ、相手を翻弄するサイドアタッカー兼FW。卓越したボールコントロールとスピード、ボディバランスのよさを生かして、チャンスメイクやゴールで攻撃を支配する。精神的に不安定な部分はあるが、実力は誰もが認めるところ。今大会で大活躍してブレイクし、「世界的なスター!」へとかけあがれるチャンスをもつ逸材だ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 23:00 | コメント(1)| トラックバック(0)

フィリップ・コクー オランダ代表

フィリップ・コクー 
ポジション/MF
生年月日/1970・10・29 
身長・体重/182・74 
所属/PSVアイントホーフェン

 今回のドイツ大会で最も注目されるベテラン選手だろう。ボランチやセンターバック、サイドからフォワードまで、すべてのポジションを高いレベルでこなせるユーティリティプレイヤーだ。代表では、中盤の底でバランスをはかりながら守備とゲームメイクで力を発揮。強い闘争心も持ちあわせ、若いオランダ代表にあって精神的な支柱として欠かせない存在だ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 22:59 | コメント(0)| トラックバック(0)

ディディエ・ドログバ コートジボワール代表

ディディエ・ドログバ 
ポジション/FW
生年月日/1978・3・11 
身長・体重/180・84 
所属/チェルシー

 2004年にアブラモビッチ会長の強い希望でチェルシーに移籍。チェルシーでも十分に才能を発揮してチームの勝利に貢献し、リーグ優勝へ導いている。アフリカ人独特の高い身体能力を生かしたポストプレーで攻撃の起点となり、ゴール前でも泥臭くプレーしてフィニッシュを成功させる。しっかりと守備もするので、大黒柱として大車輪の活躍を見せてくれる。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 22:53 | コメント(0)| トラックバック(0)

リオネル・メッシ アルゼンチン代表

リオネル・メッシ 
ポジション/FW
生年月日/1987・6・24 
身長・体重/169cm・67kg 
所属/バルセロナ

メッシ


 才能を見込まれて、若くしてスペインの名門・バルセロナへ渡った、アルゼンチンの至宝。あのディエゴ・マラドーナが「マラドーナ2世」といったほど抜群のフットボールセンスをもっている。スピード、テクニック、意外性のあるプレーなど、すべてでパーフェクトだ。ゴールセンスも兼ね備え、05年のワールドユースでもアルゼンチンを優勝へ導いた若手の注目株だ。


ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 22:52 | コメント(5)| トラックバック(1)

ズランタン・イブラヒモヴィッチ スウェーデン代表

ズランタン・イブラヒモヴィッチ 
ポジション/FW
生年月日/1981・10・3 
身長・体重/192cm・84kg 
所属/ユベトス

 オランダの名門・アヤックスで才能を開花させ、イタリアの強豪・ユベントスへ移籍した注目のプレイヤー。なんといっても、独特の体の使い方が最大の魅力だ。軟体動物のようにやわらかい体で、DF陣のチェックを受けながら巧みにポストプレーをこなす。足元の技術、スピード、フィニッシュの能力、すべての点において今大会のFWでベスト3に入る選手だ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 22:51 | コメント(0)| トラックバック(0)

スティーブン・ジェラード  イングランド代表

スティーブン・ジェラード
ポジション/MF
生年月日/1980・5・30 
身長・体重/185cm・80kg 
所属/リバプール


ジェラード

 2002年のワールドカップ・日韓大会は、注目されながらもケガのため不出場。今回がワールドカップデビューとなるため、モチベーションが高い。豊富な運動量を武器に中盤の底から前線まで走り回り、攻守でチームに貢献する。右足から放たれる強烈なミドルシュートが最大の特徴。中長距離のパスを駆使してゲームメイクをする、新しいタイプの司令塔だ。
ドイツ大会注目選手 | 投稿者 木之下 潤 22:50 | コメント(0)| トラックバック(0)

ミヒャエル・バラック  ドイツ代表

ミヒャエル・バラック
ポジション/MF
生年月日/1976・9・26 
身長・体重/189cm・80kg 
所属/バイエルン・ミュンヘン



 旧東ドイツで、フットボール選手になるための英才教育を受けて花開いたプレイヤー。テクニックがすばらしいという訳ではないが、とにかくダイナミックなプレーが持ち味だ。フィジカルの強さを生かした、両足から繰り出される強烈なシュート、中盤からかけあがってからのヘディングシュート。