2006年06月28日
6.28コラム 中田英寿が欧州で認められる理由
■中田が実行している当たり前のプレー
今日は久しぶりのワールドカップのオフ日。街に出るとたくさんの観光客であふれていた。日本代表が帰国して5日。「中田英寿」という存在を中心に、日本代表の今後について触れてみたい。ここをたどっていけば、成長する何かがつかめるはずだ。
日本代表は今回のドイツ大会で何を得たのか。それは、ピッチ上で起こるすべてのことに、個々の選手が責任を持って対応することだと感じた。フットボールは、戦いそのものがチーム対チームの図式だが、その末端にいるのは選手。つまり1対1の戦いの連続だ。では、今大会で日本代表がブラジルやオーストラリア、クロアチアといった実力のある国を相手に、1対1の勝負で勝っていたかというと、明らかに答えは「NO!」だ。しかし、中田英寿だけは違う。たしかに、まだまだ技術的に足らない点もたくさんある。でも、ピッチでプレーするうえでは、世界の一流選手たちが集まるワールドカップという大会で、彼らと対等に戦っていた。では、中田英寿とほかの日本人選手の違いはどこにあるのか。そこに、今後の日本代表の進むべき道、またワールドカップ・南アフリカ大会への成功のヒントが隠されている。
まず、中田英寿がなぜ欧州で認められているのかを検証していきたい。彼のプレーの持ち味は「①正確な状況判断 ②シンプルなプレー ③豊富な運動量 ④勝利への意志」この4点が大きな要素だ。チーム戦術の理解の良し悪しで、試合出場の頻度が大きく変わってくる欧州フットボールでは、この4点は特に必要とされること。スペースのないピッチ上では正確でシンプルなプレーが求められるし、攻守両面での貢献度が問われる現代フットボールではFWでもゴールするだけではなく、守備をする運動量を必要とされる。チームが負けていても、勝利への意志を持ってプレーすることは当たり前のこと。21歳でイタリアのペルージャに渡り、プロ生活のほとんどを欧州で過ごしている、中田にとっても当たり前のこと。はじめは戸惑いもあり、意識をしながら身につけていったことかもしれない。それは、ワールドカップという特別な大会でも、中田英寿はこの当たり前のプレーをしっかり実行していた。
■例えば、中村俊輔では…
では、ほかの選手たちがこの4点をクリアしていたか。例えば、中村俊輔で単純に○×で採点をしてみたい。「①正確な状況判断 × ②シンプルなプレー △ ③運動量 × ④勝利への意志 ×」と、私の独断と偏見だが、前述のようになってしまう。具体的にひとつずつ検証してみよう。①は、パスとドリブルでしかけるタイミング、ポジショニングにおいてほぼ正確な判断がなされていなかった。それは、日本代表の得点チャンスがなかった理由に表れている。3試合でたったの2点。彼がキッカケに生まれた得点は、オーストラリア戦の偶然のゴールだけ。あれもねらっていないので、実質的には0だ。②は、速攻を仕掛ける際、ワンタッチプレーで柳沢に叩いたりしていたので、ゴールにつながるプレーとしては少しだけ評価できるものだった。が、それ以外はムダにボールをキープし、ねらいもなく近くの選手にあずけるようなプレーの連続。これでは、司令塔としての役目は果たせていない。③は、まったく評価に値しない。ほぼ無に近かったのではないか。自らがポジションを下げるために、FWの高原や柳沢がその分のスペースの守備もしなければならなかった。暑さのために足元でボールをもらってばかり、クロアチア戦では中田英がスペースに出したボールに体力がないために追いつかないシーンも見られた。④については、彼から「勝利」の二文字を感じることはできなかったから。感覚的なものもあるかもしれないが、運動量にも表れているのではないか。本気でスポーツをしていた人ならわかるだろう。体力的なものは、精神力でカバーできるもの。彼からは勝利の前に、ゴールへの意志も感じられなかった。ゴールへ向かう直線的なパスもほとんど出ていなかったし、得意のはずのスルーパスやロングクロスも出ていなかった。簡単に分析したが、これだけでも何一つピッチ上で実践できていないことがわかる。
■自己責任を持ってプレーすることが、日本独自のスタイルを生み出すヒント
もちろん、中村だけでなく、ほかの選手で見てみても○や△が1つぐらいあって、あとはほぼ×が並ぶだろう。この4点だけをやれば、試合に勝てるわけではないが、最低限に必要なこと。では、どうしたら日本代表の選手たちが、試合で実践できるようになるのか。ここが大切なところだ。②は試合を重ねながら意識して行えばできるようになる。③はトレーニングするだけ。④は今回の最終予選のイラン戦やバーレーン戦でも見せたように、気持ちの問題だから個々で立て直せるレベル。しかし、①だけはとても難しい。常に試合に出場しなければいけない状況、客観的に自分のプレーを分析できる目…。あとは、日本社会などの風潮など深いレベルで重なり合う部分がある。自己責任を負うことをしない日本人に正確な状況判断を求めても厳しい。
例えば、仕事で自分がミスをしても、会社の責任になり、上司の責任になる。別に、自分の給料が下がるようなシステムがあるわけではない。価値観の問題だが、協調性ばかり求めて、個性を尊重しない日本の社会事情がフットボールのプレーに表れている。たぶん、スポーツ全般ではないか。バレーボールであれ、バスケットボールであれ、日本の集団スポーツで成功している例は少ない。
唯一の成功例は野球だ。なぜWBCで日本が優勝できたのか。それは王監督が日本人選手の特徴を見極め、攻守に適材適所に選手を置いて、勝つ意識を植えつけていったからだ。大会前から王監督は語っていた「日本人の選手の特徴である、スピードと緻密で細かい野球で世界一をねらう」と。ジーコも日本人の特性を生かそうとしていた点では、そうだった。日本人の持つ創造性と勤勉さをピッチでうまく表現できれば成功すると。でも、日本人選手には正確な状況判断ができなかった。
野球と異なり、フットボールは90分間動いているスポーツ。常に頭を働かせ、判断を下し続けなければならない。一度やったことや決まっているパターンでは状況判断が下せても、それ以外の状況になった場合に正確に判断を下すことができない。中田英寿にはこれができるのだ。彼はパターンに当てはめず、時間やポジションなど、常に変わっていく状況のなかで正確な状況判断をして、それをプレーに実行することができる。パターンに当てはめずに柔軟な頭を持つ。これが中田英以外の選手に、一番必要なことだ。
マニュアル好きの、責任を背負わない日本人。これを作り出している社会。このなかで生きてきた選手たちに身につけることができるのかはわからないが、必要なこと。若手でも松井大輔のように柔軟な頭脳を持ち、欧州で実力を発揮している人間もいる。自分らしさを主張し、チームのために努力を惜しまないこと。簡単にできるようだが、できない。まず自分の行動に責任を持つこと。いろんな状況で答えをひとつではなく、たくさん考えてみること。こんな単純なことの積み重ねが、意外と大切なのかもしれない。
「ピッチ上で起こるすべてのことに柔軟に対応し、選手が責任を持ってプレーする」。どこかで聞いたことのあるセリフ。フッチボールアレグリを説いたフットボールの神様、ジーコが言ったのでは。選手たちは本当にジーコのいっていた発言を理解していたのか。それは今後のフットボール人生で、選手たちが少しずつ理解していくに違いない。そして、この本当の意味を理解して実践できたものが、2010年のワールドカップのピッチに立っているだろう。今後、中田英寿が代表に興味を示すのかはわからない。しかし、現段階でこれを実践できているのは中田だけ。彼を押しのけて、代表に入る、この4点を実践できるような選手がでてきたら、でてきたときが本当の日本のスタイルを世界に見せられるときだろう。
今日は久しぶりのワールドカップのオフ日。街に出るとたくさんの観光客であふれていた。日本代表が帰国して5日。「中田英寿」という存在を中心に、日本代表の今後について触れてみたい。ここをたどっていけば、成長する何かがつかめるはずだ。
日本代表は今回のドイツ大会で何を得たのか。それは、ピッチ上で起こるすべてのことに、個々の選手が責任を持って対応することだと感じた。フットボールは、戦いそのものがチーム対チームの図式だが、その末端にいるのは選手。つまり1対1の戦いの連続だ。では、今大会で日本代表がブラジルやオーストラリア、クロアチアといった実力のある国を相手に、1対1の勝負で勝っていたかというと、明らかに答えは「NO!」だ。しかし、中田英寿だけは違う。たしかに、まだまだ技術的に足らない点もたくさんある。でも、ピッチでプレーするうえでは、世界の一流選手たちが集まるワールドカップという大会で、彼らと対等に戦っていた。では、中田英寿とほかの日本人選手の違いはどこにあるのか。そこに、今後の日本代表の進むべき道、またワールドカップ・南アフリカ大会への成功のヒントが隠されている。
まず、中田英寿がなぜ欧州で認められているのかを検証していきたい。彼のプレーの持ち味は「①正確な状況判断 ②シンプルなプレー ③豊富な運動量 ④勝利への意志」この4点が大きな要素だ。チーム戦術の理解の良し悪しで、試合出場の頻度が大きく変わってくる欧州フットボールでは、この4点は特に必要とされること。スペースのないピッチ上では正確でシンプルなプレーが求められるし、攻守両面での貢献度が問われる現代フットボールではFWでもゴールするだけではなく、守備をする運動量を必要とされる。チームが負けていても、勝利への意志を持ってプレーすることは当たり前のこと。21歳でイタリアのペルージャに渡り、プロ生活のほとんどを欧州で過ごしている、中田にとっても当たり前のこと。はじめは戸惑いもあり、意識をしながら身につけていったことかもしれない。それは、ワールドカップという特別な大会でも、中田英寿はこの当たり前のプレーをしっかり実行していた。
■例えば、中村俊輔では…
では、ほかの選手たちがこの4点をクリアしていたか。例えば、中村俊輔で単純に○×で採点をしてみたい。「①正確な状況判断 × ②シンプルなプレー △ ③運動量 × ④勝利への意志 ×」と、私の独断と偏見だが、前述のようになってしまう。具体的にひとつずつ検証してみよう。①は、パスとドリブルでしかけるタイミング、ポジショニングにおいてほぼ正確な判断がなされていなかった。それは、日本代表の得点チャンスがなかった理由に表れている。3試合でたったの2点。彼がキッカケに生まれた得点は、オーストラリア戦の偶然のゴールだけ。あれもねらっていないので、実質的には0だ。②は、速攻を仕掛ける際、ワンタッチプレーで柳沢に叩いたりしていたので、ゴールにつながるプレーとしては少しだけ評価できるものだった。が、それ以外はムダにボールをキープし、ねらいもなく近くの選手にあずけるようなプレーの連続。これでは、司令塔としての役目は果たせていない。③は、まったく評価に値しない。ほぼ無に近かったのではないか。自らがポジションを下げるために、FWの高原や柳沢がその分のスペースの守備もしなければならなかった。暑さのために足元でボールをもらってばかり、クロアチア戦では中田英がスペースに出したボールに体力がないために追いつかないシーンも見られた。④については、彼から「勝利」の二文字を感じることはできなかったから。感覚的なものもあるかもしれないが、運動量にも表れているのではないか。本気でスポーツをしていた人ならわかるだろう。体力的なものは、精神力でカバーできるもの。彼からは勝利の前に、ゴールへの意志も感じられなかった。ゴールへ向かう直線的なパスもほとんど出ていなかったし、得意のはずのスルーパスやロングクロスも出ていなかった。簡単に分析したが、これだけでも何一つピッチ上で実践できていないことがわかる。
■自己責任を持ってプレーすることが、日本独自のスタイルを生み出すヒント
もちろん、中村だけでなく、ほかの選手で見てみても○や△が1つぐらいあって、あとはほぼ×が並ぶだろう。この4点だけをやれば、試合に勝てるわけではないが、最低限に必要なこと。では、どうしたら日本代表の選手たちが、試合で実践できるようになるのか。ここが大切なところだ。②は試合を重ねながら意識して行えばできるようになる。③はトレーニングするだけ。④は今回の最終予選のイラン戦やバーレーン戦でも見せたように、気持ちの問題だから個々で立て直せるレベル。しかし、①だけはとても難しい。常に試合に出場しなければいけない状況、客観的に自分のプレーを分析できる目…。あとは、日本社会などの風潮など深いレベルで重なり合う部分がある。自己責任を負うことをしない日本人に正確な状況判断を求めても厳しい。
例えば、仕事で自分がミスをしても、会社の責任になり、上司の責任になる。別に、自分の給料が下がるようなシステムがあるわけではない。価値観の問題だが、協調性ばかり求めて、個性を尊重しない日本の社会事情がフットボールのプレーに表れている。たぶん、スポーツ全般ではないか。バレーボールであれ、バスケットボールであれ、日本の集団スポーツで成功している例は少ない。
唯一の成功例は野球だ。なぜWBCで日本が優勝できたのか。それは王監督が日本人選手の特徴を見極め、攻守に適材適所に選手を置いて、勝つ意識を植えつけていったからだ。大会前から王監督は語っていた「日本人の選手の特徴である、スピードと緻密で細かい野球で世界一をねらう」と。ジーコも日本人の特性を生かそうとしていた点では、そうだった。日本人の持つ創造性と勤勉さをピッチでうまく表現できれば成功すると。でも、日本人選手には正確な状況判断ができなかった。
野球と異なり、フットボールは90分間動いているスポーツ。常に頭を働かせ、判断を下し続けなければならない。一度やったことや決まっているパターンでは状況判断が下せても、それ以外の状況になった場合に正確に判断を下すことができない。中田英寿にはこれができるのだ。彼はパターンに当てはめず、時間やポジションなど、常に変わっていく状況のなかで正確な状況判断をして、それをプレーに実行することができる。パターンに当てはめずに柔軟な頭を持つ。これが中田英以外の選手に、一番必要なことだ。
マニュアル好きの、責任を背負わない日本人。これを作り出している社会。このなかで生きてきた選手たちに身につけることができるのかはわからないが、必要なこと。若手でも松井大輔のように柔軟な頭脳を持ち、欧州で実力を発揮している人間もいる。自分らしさを主張し、チームのために努力を惜しまないこと。簡単にできるようだが、できない。まず自分の行動に責任を持つこと。いろんな状況で答えをひとつではなく、たくさん考えてみること。こんな単純なことの積み重ねが、意外と大切なのかもしれない。
「ピッチ上で起こるすべてのことに柔軟に対応し、選手が責任を持ってプレーする」。どこかで聞いたことのあるセリフ。フッチボールアレグリを説いたフットボールの神様、ジーコが言ったのでは。選手たちは本当にジーコのいっていた発言を理解していたのか。それは今後のフットボール人生で、選手たちが少しずつ理解していくに違いない。そして、この本当の意味を理解して実践できたものが、2010年のワールドカップのピッチに立っているだろう。今後、中田英寿が代表に興味を示すのかはわからない。しかし、現段階でこれを実践できているのは中田だけ。彼を押しのけて、代表に入る、この4点を実践できるような選手がでてきたら、でてきたときが本当の日本のスタイルを世界に見せられるときだろう。
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ryo777さん、木之下さん、 トラックバックをありがとうございます。 お二方とも独自の視点でご自分の意見を書かれているところに共感を覚えました。 これからもよろしくお願いいたします。
43歳 人生を語りたくなる年頃
2006/07/01 17:52
中田英寿 背番号7 MF 生年月日/1977.01.22 身長・体重/175cm・72kg 所属/ボルトン(イングランド) 国際Aマッチ数/72 ゴール/11 ..
ワールドカップブログ
2006/07/04 15:42







どちらも日本人の専売特許みたいなもんですね。
そのどちらも通用しないスポーツでは、日本は勝てない。
型に填っていないと、駄目なんですね。
日本チームのこのたびの3試合は見ていてとっても苦しかったです。「思い通りにいかない。何故?俺達ってこんなにダメだったっけ?」みたいなもどかしさがピッチ上から伝わってくる試合でした。
選手のレベルアップは必須だと思うんですが、それをサポートする技術スタッフやコンディショニングスタッフも日本はもっと充実させる必要があるように思いました。試合運びの上手さや戦術のアイデア、そして個々の欠点の克服なんかは選手の主体性が最も必要であることは言わずもがなですが、日本代表を最速で強化するにはスタッフ力も最大限に必要な気がしています。
中田選手、現役引退ですね。ひじょーに寂しいです。
自分に責任のない、が日本人の特徴ですが
会社では結構責任を感じます。
管理職が責任を取るのが当たり前ですが、
個人の仕事が会社の利益に繋がると考えれば
責任感も出ようというもの。
近年の終身雇用制が崩壊しつつある現在、
日本人が日本人らしさを失わず、かつ欧米の良い所を
吸収していけるのでは?
と考えます。
野球が世界に通じているのだからいずれサッカー、バスケ、
バレーでも世界のトップを張れる日が来ると思います。
技術系(自動車や精密機器など)の分野では日本は常にトップなのだから・・・
中田選手にはお疲れ様と直接言ってあげたい気分です。
このブログは事件記録用なのでメインのブログをURLにはりつけときます^^
「中田英寿が欧州で認められる理由」を興味深く拝見しました。
今、世界に本当に通用する日本人選手は中田だけ。それだけに今こそこれからの選手に伝えて欲しい。そういう思いで一杯です。
引退は撤回して欲しい・・・
(先程はTBがうまくいかずご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした)
中田選手だけでなく他の選手のことについても詳しく書かれていたので分かりやすかったです。
中田選手の熱い情熱あふれるプレーを見ることはもう出来ないと思うとやっぱり寂しいですよね。
中田選手だけでなく他の選手のことについても詳しく書かれていたので分かりやすかったです。
中田選手の熱い情熱あふれるプレーを見ることはもう出来ないと思うとやっぱり寂しいですよね。
ご挨拶遅れてごめんなさいですm(__)m
「ピッチ上で起こるすべてのことに、個々の選手が責任を持って対応すること」・・・ジーコさんも言っていたそのことを、彼らは全くと言っていいほどできてなかったのですね。
深い洞察力に感嘆です。またいろいろ教えてください。素晴らしいブログに感動してます。。。